ジャパネスクvol.8東北

Japanesque外国人の目に異国情趣が感じられる純日本的な雰囲気

 

 「どうしよう、単位が足りない、卒業できない」単位の計算を間違えて焦り狂う夢を見て、冷や汗だらだらで目覚める事、よくあります。学業に不真面目だった私は、大学時代の緊張感がトラウマになっているのか。でも、去年の3月11日以降その夢をぱたりと見なくなりました。代わりにみるのが「注意を促すコメントが出てこない、被災地の地名の読み方が分からない、どうしよう」とスタジオで焦る夢。地震当時神奈川にいた私は、直接的な被害にはあっていませんが、その後の情報の伝え手としての緊張感が今でも心に刻まれています。

 

 震災から1年、今回の「ジャパネスク」のテーマは東北です。

 北国の冬は長く厳しい。だからこそ、冬の間の内職として優れた手仕事が生まれ、忍耐の中から力強い文化が育まれました。南部鉄器や竹細工、漆器や絵皿などなど。素材を最大限に生かす実直さや、実用に耐えうる頑丈さ、固有の習慣を重んじることで生まれる独自性。手仕事から生み出された作品は、東北の人々の生活や人柄をそのまま写しています。


日本各地の優れた手仕事を見出した柳宗悦も、東北の民藝品にはひときわ強く魅かれたといいます。「自然の威圧は材料を制限する。だから他の暖かい国では生まれない固有の工芸が与えられる」「品物を探し求めると、雪国は魅力ある地域となってきます。東北は日本にとって実に大切な地域なのであります」と。

 

その東北の手仕事の一部が、各地を巡り、今東京にやってきています。

アトムCSタワーで開かれている展示販売会「東北炎の作家・・・お茶の器、お酒の器。」震災で窯やアトリエが崩れ、店舗が流された作家が沢山います。日々の生活を営むことが困難な状況の中、日用品ではなく作家が作った作品を買うゆとりはありません。そこで、失意の中にいる作家を支援する動きが生まれ、「窯で火を使うアーティスト、すなわち炎の作家の展示会」が開かれました。


ギャラリーの斉藤さんは「作品を買ってもらうことは経済的な支援となります、出来れば全部売って帰りたい」と意気込みます。でも、その意気込みの真意はと言うと、「作家たちは、展示会までに作品を用意しなければと創作意欲に再び火をつけ、都心の厳しい目に勝るものを売るのだと闘争心に火をつけました」、その火を絶やしてはいけないという使命感。支援ではなく、実力で新しいファンを掴もうと、まさに炎の作家たちは燃えています!

事実、作品の表情はみな明るく力強い。「お茶の器、お酒の器。」のテーマの通り、食卓に話題を運んでくれそうな存在感のある器たち。無機質とは対照的な、温かく語りかけてくる器たち。東北の器に囲まれ、柳宗悦の言葉を思い出しました。「東北は日本にとって、実に大切な地域なのであります」。