次回予告

評論家おすすめ作品特集・後編

3/26

評論家おすすめ作品特集・後編

■映画の達人が選んだ「ミュージカル映画の名作」
芝山幹郎推薦は、天才ダンサー、フレッド・アステアの「トップ・ハット」。
渡辺、清藤は、いずれもオードリー・ヘプバーン主演のミュージカル作品。
渡辺祥子は「マイ・フェア・レディ」。
ヘプバーン命の清藤秀人は「パリの恋人」。
白木緑はアステアと並ぶ名ダンサー、ジーン・ケリーの「巴里のアメリカ人」を選んだ。

まずは芝山幹郎のおすすめ「トップ・ハット」
ハリウッドミュージカルの歴史を築いたキング・オブ・ダンサー、フレッド・アステアの代表作。音楽も「チーク・トゥ・チーク」をはじめ、スタンダードナンバーとなった名曲揃い。そしてアステアのタップダンスは、その後のミュージカル映画に残る伝説のダンスシーンとなった。

渡辺祥子おすすめのミュージカル「マイ・フェア・レディ」
ブロードウェイの大ヒットミュージカルを映画化。ヒロインのイライザ役には、オードリー・ヘプバーン。しかし、歌うシーンは、ほとんど吹き替え。それでも、アカデミー賞作品賞・編曲賞など8部門を受賞。舞台の魅力がそのまま映画にも受け継がれた名作。

オードリー・ヘプバーンを誰よりも愛する清藤秀人が選んだ作品「パリの恋人」
この作品ではヘプバーンの貴重な生歌声が聴けます。音楽はブロードウェイのヒットミュージカル作品を使用。脚本は、映画オリジナルのラブストーリー。名優、フレッド・アステアが花を添えています。

白木緑おすすめのミュージカル「巴里のアメリカ人」
ジョージ・ガーシュウインの名曲をふんだんに使い、曲のイメージを基に映像化したミュージカル映画。アカデミー作品・音楽賞など6部門を受賞。主演のジーン・ケリーが自ら振り付けを担当。ラスト17分半に及ぶダンスシーンに対して、当時39歳ながら、アカデミー名誉賞が贈られた一作。

■映画の達人が選んだ「クラシック音楽が印象に残る名作」
芝山幹郎、渡辺祥子の二人がともに選んだ作品がSF映画不朽の名作「2001年宇宙の旅」。
清藤秀人はプッチーニのオペラを使った「眺めのいい部屋」。
白木緑はマーラーの曲を有名にした「ベニスに死す」を選んだ。

「2001年宇宙の旅」
監督、鬼才スタンリー・キューブリック。「ワルツ王」と呼ばれたヨハン・シュトラウス2世の名曲「美しく青きドナウ」を、宇宙空間で大胆に使用。さらに、オープニングシーンでは、リヒャルト・シュトラウスの壮大な交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れるなどクラシック音楽をSF映画に散りばめた名作。

「眺めのいい部屋」
20世紀初め、イギリスの良家の令嬢がフィレンツェを訪れ、恋をし、大人の女性へと目覚めていく姿を描いた作品。全編に流れる音楽は、イタリアの作曲家プッチーニのオペラ集。ロマンティックなメロディが、ストーリーと溶け込んだ一作。

「ベニスに死す」
イタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督作品。年老いた作曲家が、静養のため訪れたベニスでふと出会った少年に理想の美を見出すストーリー。音楽は、オーストリアの作曲家マーラーの「交響曲第5番」主人公のモデルもまた、彼をイメージしている。そして公開当時、マーラーブームを起こした一作でもある。

「ひまわり」(1970年)
作曲ヘンリー・マンシーニ。監督ヴィットリオ・デ・シーカ。主演ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ。戦争で引き裂かれた夫婦の悲恋を描いた名作。川井さんの「ひまわり」を聞きながら、お別れです。皆さんありがとうございました。

今週の1曲
♪ひまわり
作曲 ヘンリー・マンシーニ
バイオリン 川井郁子
ピアノ 朝川朋之

評論家おすすめ作品特集・前編

3/19

評論家おすすめ作品特集・前編

これまで、100年残る名作映画を一本ずつ紹介してきましたが今回と最終回は特別編。
映画の達人が音楽を基準に選んだ「マイ・ベスト・ムービー」前編。「ヒット主題歌が生まれた名作」と「オリジナルスコアが印象深い名作」をそれぞれご紹介。映画の達人4名が、自身選定の名作音楽を熱く語る。時には、他人が選んだ名作に苦言を呈するトークバトルも。
川井郁子の演奏は、心に残ったプレゼンから一曲を披露。

■映画の達人が選んだ「ヒット主題歌が生まれた名作」
芝山幹郎 サイモン&ガーファンクルの「卒業」
ダスティン・ホフマン演じる主人公が結婚式に乗り込み、恋人を連れ戻す有名なラストシーン。全編にかかる音楽は当時人気が出てきたばかりのサイモン&ガーファンクル。主題歌「サウンド・オブ・サイレンス」で、一躍世界的なシンガーとなった。
  
渡辺祥子 コーリングユーが大ヒット「バグダットカフェ」
ラスベガス近郊の砂漠を訪れたドイツ人旅行者とうらぶれたカフェに集う人々との交流を描いた作品。主題歌の「コーリングユー」は、アカデミー賞にもノミネートされ、その後80組を超えるアーティストがカバーする大ヒット曲となった。

清藤秀人 アメリカンニューシネマの傑作「明日に向って撃て」
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードというスターコンビを生んだアメリカン・ニューシネマの傑作。20世紀初頭の実在した銀行強盗を描いた西部劇でありながら、作曲のバート・バカラックは、全編軽やかで美しいメロディを取り入れた。ポール・ニューマンとキャサリン・ロスのこのシーンで流れる「雨にぬれても」は、アカデミー主題歌賞を受賞。

白木緑 フランシス・レイ作曲「男と女」
(カンヌ映画祭グランプリ受賞)バツイチ同士の大人のラブストーリー。作曲のフランシス・レイは、これがデビュー作。いきなり映画史に残る、大ヒット曲を誕生させた。

■映画の達人が選んだ「オリジナルスコアが印象深い名作」
芝山幹郎 エンニオ・モリコーネ作曲「続・夕陽のガンマン」
今や名監督となったクリント・イーストウッドが、俳優としての地位を築いたマカロニ・ウエスタンの傑作。音楽は、随所に擬音を多用。「ニュー・シネマ・パラダイス」始めイタリアを代表する作曲家、エンニオ・モリコーネの原点とも言える作品。

渡辺祥子 ジョン・ウィリアムズ作曲「E.T.」
スティーブン・スピルバーグ監督作品。地球に取り残された宇宙人と、子供たちとの交流を描いたSFファンタジー。

清藤秀人 モーリス・ジャール作曲「アラビアのロレンス」
イギリスの巨匠デヴィッド・リーン監督の超大作歴史映画。音楽はモーリス・ジャール。作曲はスピルバーグ作品には欠かせない、巨匠ジョン・ウィリアムズ。壮大かつ感動のメロディスコアを得意とする達人の作品。アカデミー賞作曲賞受賞。未編集の映像と資料をもとに、6週間で壮大なオリジナルスコアを書き上げた。リーン監督とのコンビでは、その後2回アカデミー賞作曲賞を受賞している。(T:「ドクトル・ジバコ」「インドへの道」)

白木緑 アントン・カラス作曲「第三の男」 
第二次世界大戦直後のウィーンを舞台にしたサスペンス映画の傑作。作曲は、オーストリアの民族楽器ツィター奏者であったアントン・カラス。映画史に残る名ラストシーンの一作。カラスはこれだけで、今も残る名曲を生み出したが、そこにはこんなエピソードがあった。
監督がホテルの彼の部屋に大の字になって、お前が作るまでここを動かないって、延々缶詰状態にして作らせた。それでやっと出てきたこのメロディで、あの最後のラストシーンが出来上がる。

今週の1曲
♪男と女
作曲 フランシス・レイ
バイオリン 川井郁子
ピアノ 朝川朋之

雨に唄えば

3/5

雨に唄えば

■「雨に唄えば」が100年残る理由(1)
主演・監督・振付を手掛けるジーン・ケリーの魅力、エンタテインメント性のすごさは群を抜いている。
振付を考え、体で表現できて、絶対笑顔を絶やさない。すべての振り付けが独創的。

■「雨に唄えば」が100年残る理由(2)
「ミュージカル映画の決定版。アメリカが生んだエンタテインメントの原点。」
ウエスト・サイド・ストーリーをおさえ、アメリカ映画協会の選ぶ「最高のミュージカル映画」堂々の第1位である。
“映画の達人”であるアメリカは移民の国なので言葉がわからない人がたくさんいた。映画観客を増やすために共通語である英語にするのと、みんながわかる音楽を使う。その意味でミュージカルは発達した。
ミュージカルには舞台の映画版と映画オリジナルがある。フィルムミュージカルの最高傑作が「雨に唄えば」。芸の力、楽しさ、役者の魅力がみんな揃っている。

今週の1曲
♪Singin'in the rain
バイオリン 川井郁子
ピアノ 朝川朋之