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2017年5月4日 放送
GWスペシャル 激闘の箱根!
日本一の温泉地を作り上げた"乗り物屋"の執念

- 小田急電鉄 会長 山木 利満(やまき としみつ)
年間2000万人が訪れ、入湯客数日本一を誇る温泉地・箱根。実は、その人気を支えてきたのが、登山電車や海賊船など魅力あふれる乗り物を走らせ、ロマンスカーで都心から客を運ぶ小田急電鉄だ。首都の大動脈としての役割を果たしながらドル箱・観光地を作り上げてきた裏には、知られざる驚きの格闘があった。小田急の独自すぎる戦略と強さの秘密に迫る!
社長の金言
- チャレンジ精神こそDNATweet
-
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
首都東京の「日常」と「欲望」をつなげ!小田急の箱根戦略
日本一の急勾配を上る登山電車にロープウェイ、芦ノ湖の海賊船…箱根ゴールデンコース呼ばれる箱根のドル箱ルートで乗り物を運行する、小田急電鉄。寂れゆく他の温泉地とは違い、小田急は、箱根を観光事業の最重要拠点に位置付け10年で200億円を投資。その魅力を磨き続け、箱根を日本一の温泉地に育てあげた。そんな小田急が、観光と共に執念を燃やしてきたものが、首都の大動脈(年間乗車客数7億人)としての小田急線だ。新宿までの所要時間を短縮させるため、長年かけて進めてきた「複々線化」。これにより小田急線の魅力をさらにアップさせ、収益アップを目指しているという。都会の人々の「日常」を支え、余暇への「欲望」をかき立て、箱根へ誘う。他の鉄道会社とは一線を画す、独自戦略とは…
新幹線のモデルになった車両!執念のロマンスカー戦略
年間87万枚を売り上げる小田急の大ヒット商品「箱根フリーパス」。そのフリーパスを利用するリピーターを箱根に連れてくるロマンスカーは、小田急にとって並々ならぬ思い入れのある車両。
1935年に「週末温泉特急」として運行を開始して以来、小田急の箱根戦略の中心を担ってきた。その車両は、新幹線のモデルとなるほど、時代の最新技術を取り入れた車両だったという。今回のカンブリア宮殿では、初めてのテレビ取材となる新型車両の製造現場を独占取材した。
激闘!箱根山戦争…かくして日本一の温泉地は作られた
1950年代、箱根の交通インフラの主導権を巡って、小田急グループと西武グループが真っ向から対立していた歴史がある。箱根に向かう小田原駅前では、バスガイドが客を取り合うなど、熾烈な競争が繰り広げられ、両者の攻防は「箱根山戦争」と呼ばれるほど過熱していった。その後、小田急側が、ロープウェイを芦ノ湖に通す「ゴールデンコース」を完成させたことで事態は収束したという。真正面から競い合っていた小田急と西武だが、今では、小田急のバスが西武の施設に乗り入れるなど協力関係を築いている。日本一の温泉地となった箱根を作り上げた、激闘の歴史に迫る。
フジヤマ&オンセン!最強資源で世界を掴め
富士山と温泉の2枚看板を持つ箱根。いま外国人観光客が殺到し、3年連続で過去最高を更新しているという。実は、その裏には、小田急電鉄の緻密な海外戦略がある。新宿駅に18年前から外国人専門の旅行センターを設置、タイに現地駐在所を作るなど、果敢に箱根を売り込んでいるのだ。箱根の魅力を伝えようとする執念の取り組みを追った。
ゲストプロフィール
山木 利満
- 1947年神奈川県生まれ
- 1970年東京都立大学卒業後、小田急電鉄入社
- 1995年広報部部長
- 2011年社長就任
- 2017年会長就任
企業プロフィール
- 本社:東京都新宿区西新宿1-8-3
- 開業:1927年
- 年商:5298億円(2015年度)
- 従業員数:3593人

空の便も新幹線も充分に整備されていない時代、地方の人々にとって、箱根は遠い憧れの地だった。「ロマンスカー」という名称は、九州西端に住む少年にとって、艶めかしく、幸福なイメージをかきたてた。近年、インバウンドの観光客にも人気が高く、以前より身近になったが、富士を仰ぎ、峻険な峠が続き、静謐な湖に囲まれ、彼方に海を望むという、その多様な魅力は変わることがない。観光地として懐が深く、幅も広い。だから高級リゾートでもあり、庶民の行楽地の代表でもある。箱根は、大自然との共生の歴史そのものかもしれない。