
自閉症の少年詩人、東田直樹くん(16歳)を取材しはじめたのは2006年。
自立を目指す直樹くんが、どんな可能性を秘め、どんな出来事を乗り越えてきたのか――少しずつ大人になっていく直樹くんの3年間の記録です。
東田直樹くんは、自閉症という障害を抱える16歳です。
自閉症とは、発達障害の一種で、中枢神経系の働きになんらかの問題があるために起こる先天的な障害です。今の医学では完治することはありません。人と自由に話すことができず、感情を表に出すことが苦手です。
直樹くんも他人と会話をすることができません。しかし、自分の気持ちを伝えるために「書く」という手段を手に入れました。そして、自分の気持ちを伝えられない苦しさや、人と関われないつらさを、心の叫びとして物語や詩に表してきたのです。
「みんなは 自分の思ったことや やりたいことを 口で話しているのに ぼくは どうやれば それが出来るのか ぜんぜん わかりません」(絵本「自閉というぼくの世界」より。小学3年生の時に執筆)
絵本、童話、詩集、自らについてのエッセーなど、これまでに11冊の本を出版してきました。彼が書く感性豊かな文章は多くの人々を驚嘆させ、世間の注目を集めています。
特別支援学校中等部に通っていた直樹くん。クラスメートは併設の高等部へ進む中で、彼は「一般高校を受験する」という決断をします。普通学校とは違う授業内容のため、ほとんど自力で教科の勉強をし、家族や担任の先生、たくさんの人たちに支えられて、受験勉強に挑む直樹くん。
・・・・そして15の春。彼の前には、まだまだ乗り越えなければならない壁があります・・・。
自閉症という障害に向き合いながら、自分の決めた道を一歩ずつ歩む直樹くんを追った
ドキュメンタリーです。
《自閉症とは…》
自閉症は脳から脊髄までの中枢神経系に障害があるために起こる、
生まれつきの発達障害です。
その原因はまだわかっておらず、完全に治ることはありません。
障害の現れ方は人によって異なりますが、次のような特徴が見られます。
◆ことばの発達が遅れる
ことばは発達するとしても遅れます。ことばが発達する場合、話し方にはたいてい独特の
パターンがあり、普通とは違うことばの使い方をします。
◆人との関わり方が分からない
自閉症の子どもは、視線をそらしたり、抱っこされることを嫌がったり、周りの世界に無関心のように見えたりすることがよくあります。このため、自閉症の子どもは他の子どもと協調して遊ぶということがなく、友情を育んだり人の気持ちを理解することが苦手です。
◆感じ方に一貫性がない
自閉症の子どもは、まるで耳が聞こえず、ことばや音に反応しないように見えることが
よくあります。一方でその同じ子どもが、ある時には掃除機の音や犬の吠える声などをとても嫌がることがあります。また、痛みに鈍感であったり、寒さや暑さを感じなかったり、逆にこれらに過敏に反応したりします。
◆知的機能がかたよって発達する
自閉症の人は、描画・音楽・計算・記憶力などで全体の能力と比べると不均衡に突出した能力を持っていることがあります。
◆活動と興味が限られる
自閉症の人は、手をひらひらさせたり、体をくねらせたり、くるくる回ったり、前後に体を揺すったりなどの動作を繰り返すことがあります。また、同じ道順、同じ着替えの順序、同じ日課などのこだわりを持つこともあります。これらの決まり事に少しでも変更が加えられると、自閉症の人は、たいへんな苦痛を感じます。
一般に、自閉症の人は、構造化され、ある程度反復性のある仕事で最も成果をあげます。また、特殊な能力を生かし、芸術家やピアノの調律師、そして研究者として活躍している人もいます。
《東田直樹 作品歴》
1)自閉というぼくの世界(エスコアール出版 2004/9)
2)勇気はおいしいはず (小学館 2005/10)
3)みんなの知らない海の音 (朝日新聞社 2005/10)
4)この地球にすんでいる僕の仲間たちへ
〜12歳の僕が知っている自閉の世界〜 (エスコア−ル出版 2005/09)
5)きらんきらん(小学館 2006/04)
6)きかんしゃカンスケ(交通新聞社 2006/09)
7)カンスケとあかいはっぱ(交通新聞社 2006/12)
8)自閉症の僕が跳びはねる理由(エスコアール出版 2007/02)
9)カンスケとカタツムリくん (エスコアール出版 2007/07)
10)カンスケとゆきこちゃん (エスコアール出版 2007/12)
11)自閉症の僕が残してきた言葉たち (エスコアール出版 2008/3)