2005.12.02

トリノ取材日誌 第3回


早いものでもう12月ですね。去年の今頃、スノーボードの世界選手権の事前取材で日本中の雪山を駆けずり回っておりました。一人でデジタルビデオカメラを持って取材に行ったことも・・。新人だった私は、当時いっぱいいっぱいになっていましたが、今となってはとても貴重な経験となっています。そんな時に出会ったのが、スノーボードの今井メロ選手でした。


今井選手は昨シーズンのW杯総合チャンピオン。今シーズンもすでにW杯で1勝をあげています。女子選手には難しいとされるダイナミックな縦回転の技「メロウ720」が彼女の強さの秘密です。


そんなメロ選手に密着し始めて間もなく、単独インタビューをする機会がありました。丁度、昨シーズンのW杯総合優勝を決めて帰国したその日のこと。トリノへの内定も出て、嬉しさ一杯のはずのメロ選手。しかしインタビューの答えは驚くほどに冷静でした。「総合優勝は素直に嬉しいです。でもこれは次にステップアップするためのひとつの段階だと思っています。」トリノでメダルは?という質問に対しても、「まだ考えていないです。自分が一番輝ける滑りが出来るようにするだけです。」と揺ぎ無い意思が感じられました。まだ二十歳にもなっていないのに、こんなにしっかりしているメロ選手。この精神力の秘密はどこにあるのでしょう?その一部を垣間見ることのできる出来事がありました。


それは今年の夏の取材で、メロ選手が大切にしているノートを見せてもらったときのことでした。そこには今までメロ選手がスノーボードを通じて考えたこと、感じたことが、ありのままに綴られていました。「今はただ笑えたらいいの。辛い時や悲しい時に流した涙の分だけ笑えたら、流した涙の全てに意味があるってことだよ」・・・想像もつかないくらいのプレッシャーに打ち勝つためのバイブルですよね。そして挑戦者のメロ選手はこう言います。「いつもいつでも前向きに自分の夢つかむために私達は走りつづけたい。どんなに辛くても目の前の壁が大きすぎても、乗り越えた時には自分に本当の幸せやってくる。」このノートは試合や遠征の時には必ず持っていき、いつも眺めているそうです。この話を聞いたとき、何故メロ選手が勝負に強いのか分かった気がしました。


すばらしい精神力とともに、技術面でも著しい成長を遂げているメロ選手。オリンピックの強豪に勝つために、さらに回転数を増やした新しい技に挑戦中だそうです。メダルに近い選手として周りからの期待が高まる中、ぜひメロ選手らしい演技で挙を成し遂げてもらいたいですね!!



TV東京