トップの条件
第十二回「アサヒビール 泉谷直木社長(11月5日放送)」 (2010.11.12)
2010年11月5日放送の「アサヒビール 目指すはグローバル食品企業トップ10」の内容はこちら
今回はアサヒビールの泉谷直木社長(62歳)です。
今年3月に社長に就任したばかりの泉谷社長は、とてもエネルギッシュ。仕事柄、夜遅い時間まで飲みに行く機会も多いようですが、毎朝5時半に起床し7時に出社。「会社にはベストコンディションで来なくてはならない」と語り、朝一からバリバリ働いているようです。
アサヒビールは、昨年12月に「長期ビジョン2015」&「中期経営計画2012」をまとめました。その中には、2015年までに売上高2兆~2.5兆円を達成するという目標が掲げています。目標達成には、現状から最低でも5000億円以上の売り上げ増が必要になります。
社長に課せられた使命は非常に重そうです。目標達成をどのような戦略で成し遂げていくかうかがったところ、まず国内の事業基盤を固めてキャッシュを生み出し、その果実を海外展開に投資をするというものでした。
開拓する海外市場の主要ターゲットは、アジア・オセアニア地域。そこでの展開には、M&A(合併・買収)も積極的に活躍していく方針です。既に、成長著しい中国市場においては中国第2位のビール会社である青島ビールや、食品・流通最大手の頂新ホールディングスに出資し、酒類だけではなく飲料や食品を中国全土に展開できる体制作りが進めています。
アサヒビールは2011年7月に、純粋持ち株会社体制に移行、社名をアサヒビールからアサヒグループホールディングスに変更します。その狙いは様々ですが、何よりも重視しているのがスピード感を持った経営の実現。
「経営環境の変化は想像以上に速い」。こうした環境でM&Aを実施するにも、迅速で柔軟な意思決定ができる体制が求められます。様々な状況を全社的な視点から適格に判断する役割を、持ち株会社が負っていくことになります。
実際の体制変更は来年7月ですが、アサヒビールでは1999年から本社に「グループ本社部門」を敷き、事業持ち株会社としての機能を持たせていました。純粋持ち株会社体制への移行は一大事のようにも見えますが、10年間の周到な準備期間を経たうえでの大改革。体制変更による混乱はどの会社もつきものですが、今回の転換ではそうした状況も最低限に収まるかもしれません。
泉谷社長の特徴は理論的で、話のテンポが抜群にいいことです。営業志望で入社したものの管理部門を歩むことになった泉谷社長は、悔しさを力に経営に関する猛勉強をしたそうです。それだけに経営論やマーケティング論には、「なるほど」をうならせる深みを感じます。
例えば、経営環境の変化にどのように対応していくのか、その方策について質問すると、「社会の変化に対応するためには、何を尺度に変わるかを社員に見せないといけない」と語ります。さらに現場が変わって行くには、「分かる」「理解する」「参加する」という段階を経て行かなくてはならないと訴えます。
こうした理論肌の一面が表れているのが、泉谷社長の社長室にあるホワイトボード。そこには、ビッシリと社長のビジョンが書き込まれています。ビジョンは重要ですがそれが過ぎると、理屈っぽくて、とっつきにくさも感じられてしまいますが、泉谷社長にはその心配はなさそうです。
これから海外展開を加速させて行くアサヒビール。新しい展開には、新しいリーダーも求められます。泉谷社長はグローバル社会を生き抜くためにはどこを切っても同じ顔が出てくる『金太郎飴』のような集団ではなくさまざまなタイプ・個性を持った集団にならなくてはいけないといいます。
その集団をまとめるリーダーには犬、雉(きじ)、猿を従えた桃太郎のように、異なる国や文化、慣習、そして個性を持った様々な人材の能力を最大限に発揮させて前に進む力が必要になります。
それには自分の考えを押しつけていく上意下達ではなく、考え方も行動様式もそれぞれに特徴がある部下の人たちに責任のある仕事を任せていく勇気と包容力が求められます。人を先行させて育てることが、事業成功の鍵だそうです!
11月12日の放送では、市場最低・最適価格で最新メガネを提供するJINSの田中仁社長に、「高品質で低価格」で業績アップの秘訣をたずねます。
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