日経スペシャル「ガイアの夜明け」 7月5日放送 第168回

サイバー攻撃との闘い
~IT犯罪から会社を守れ~
今やIT(情報技術)はビジネスや生活に欠かせないものとなったが、一方で、ITを悪用したサイバー攻撃が急増、その手口は巧妙化し、社会問題となっている。6月に米国で発生し世界的に被害が広がっているクレジットカードの個人情報流出は、決済データ処理会社のシステムへの不正侵入が原因とみられている。日本で起きた原子力発電所の内部情報流出も、点検を請け負った会社の社員の個人パソコンがウイルス感染していたことが原因だ。
5月には「価格比較サイト」の最大手、カカクコムがサイバー攻撃を受け、運営するウェブサイトをやむなく一時閉鎖した。ネット企業にとってサイトの閉鎖は、事業そのものの停止を意味する。また、攻撃を受けたサイトを閲覧した利用者が、コンピューターウイルスに感染するよう仕組まれていたこともわかった。同じ手口のサイバー攻撃は他の企業のサイトにも及び、企業と一般ユーザー双方に被害が及んだ。
利便性の裏に潜む、IT時代の闇――。企業は、それとどう向き合えばいいのか。
番組では、カカクコムの事業再開や信頼回復への取り組みを独占取材。さらに、サイバー犯罪の実態や、それを防ぐため戦う企業の取り組みを追う。
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5月、価格比較サイトの最大手・カカクコムをサイバー攻撃が襲った。何者かが同社のサーバーに不正にアクセスしたことが判明。しかも、ウェブサイトを閲覧した利用者にコンピューターウイルスを無差別に送りつけるよう、プログラムが改ざんされていたことも分かった。カカクコムはサイトの閉鎖に踏み切り、穐田誉輝(あきた・よしてる)社長は記者会見でユーザーや顧客企業に向けて謝罪した。
カカクコムは1997年創業。さまざまな商品やサービスの価格をインターネット上で手軽に比較できるサービスが人気となり急成長した。サイト利用者は月間約640万人。今年3月、創業後わずか8年で東証一部上場を果たしたばかりだ。
カカクコムの売り上げは、登録店舗から受け取る価格掲載料や広告料などによるもの。サイト閉鎖は、会社にとって危急存亡の事態を意味する。
穐田社長の陣頭指揮の下、サイト復旧へ向けた戦いが始まった。再発を防ぐためのセキュリティー対策、顧客企業やユーザーの信頼を取り戻すための対応――。会社の存亡を賭けた戦いを、独占密着取材した。
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カカクコムのサイバー攻撃でばらまかれたウイルスの正体とは何か? ウイルス対策ソフト大手のシマンテックによれば、そのウイルスに感染すると、あるオンラインゲームの起動中にキー入力情報を外部に送信されてしまうという。韓国で開発されたそのオンラインゲームは、日本にも約10万人のユーザーがいるという人気ソフトだ。
「あのウイルスはスパイウェアだ」と言うのは、日本のスパイウェア対策の草分けといえるITセキュリティー企業、アークンの渡部章社長だ。スパイウェアとは、ユーザーの同意なしに個人情報を収集して送信するソフトウェアのこと。しかし、本当にそんなことができるのだろうか? 番組では実験を試みた。
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カカクコムのサイト閉鎖後、同じ手口のサイバー攻撃が新聞社や出版社、ゲームメーカーなどの運営サイトにも相次いだ。しかし、犯人はなぜゲームユーザーの個人情報を集めようとするのか? そのオンラインゲームは、戦闘で通貨や武器を手に入れ、自分のキャラクターを強くするというもの。ところが最近、ゲーム内の通貨や武器が、現実の世界で高値で売買されるという奇妙な現象が起きている。特に中国では、それが裏ビジネスとなり大きな市場を形成しつつあるという。果たしてサイバー攻撃の目的は、このビジネスにあったのか?
【日経産業新聞に、「ガイアの夜明け サイバー攻撃との闘い」と連動した企画
「ネットの闇~攻防最前線」が連載されています 。番組と併せてお読みください】 |
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