日経スペシャル「ガイアの夜明け」 12月11日放送 第293回

広がるゲームの可能性~勉強…スポーツ…そして医療~
今や世界を代表するゲーム大国となった日本。
そして今、ゲームは子供向けエンターテイメントとしてだけではなく、学習、スポーツなど様々な分野に広がり、対象者も子どもから中高年、そして高齢者まで広がってきているという。
そのきっかけとなったのが、「ニンテンドーDS」。
操作が簡単なことと、「脳トレ」(記憶力・想像力など脳を鍛えるゲームソフト)を始めとして学習・教育ゲームが続々と開発され、これまでゲームにあまり縁のなかった中高年層にも支持が広がったのである。
また「Wii(ウィー)」のようにコントローラーを使ってテニスやボーリングなどスポーツを楽しめるゲームも出現。さらにゲームの多様性、可能性は広がり始めている。
番組ではゲームソフト会社大手の、「スクウェア・エニックス」の「ニンテンドーDS」向けのソフトを専門に開発するプロジェクトチームに密着。どのようにして新しいソフトを開発しているのかを探る。
また、更にゲームは、医療などの分野にも活用され始めている。アメリカでは既に各分野の研究者、医師などがゲーム業界と協力し、医療・政治や社会問題をテーマにした「シリアスゲーム」という分野が確立している。
こうした中、ゲームセンターで知られるナムコは「太鼓ゲーム」や「もぐらたたき」のようなゲームを改良し、医師の協力を得て高齢者向けにリハビリ用ゲーム機器を開発。福祉医療施設にゲームセンターを設置し、高齢者が楽しみながらリハビリ・健康維持できるよう試みを始めている。
ゲームは単なる娯楽を越えてどこまで可能性を広げていくのか・・・そのゆくえを追う。
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【目指すは“大人のゲーム”――ソフト会社の新たな挑戦】 |
2004年12月に発売された「ニンテンドーDS」。日本国内での売上総数は約2000万台、世界で約6200万台の大ヒットを記録した。ゲーム業界紙のデータによると、ニンテンドーDSは、今まで一度もゲームに触れたことのない人がユーザーの3分の1、また、3分の1が30歳以上。今までのゲームとは違う層に広がり始めているのだ。
この傾向に、ゲームソフト業界大手の(株)スクウェア・エニックスも動き出した。新しく立ち上げられた「DSスタイル」プロジェクトチームは、ターゲットをこれまでとは全く違う、30~50代のサラリーマン、OLや主婦にしぼっている。一体メンバーはどうやって新しいゲームソフトを発想しているのか、密着する。そしてチームリーダーの柴貴正さんが、今回手掛けるのは、「ワインのはじめかたDS」。ワインをもっと身近にしようというゲームである。一体それはどんなものなのか?
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【「シリアスゲーム」の登場――新しいゲームのかたち】 |
2007年9月、日本で初めてDiGRA(デジタルゲーム学術会議)が東京大学で開催された。世界中から、医療、教育、法律、環境など様々な分野から400人以上が集まった。「遊び」にとどまらない目的をもったゲームを「シリアスゲーム」と呼び、様々な分野でのゲームの可能性が研究されているのだ。
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【病院にゲームセンター!?-----ゲームでリハビリする高齢者たち】 |
ゲーム大国日本も、シリアスゲームの開発に乗り出した。
神奈川県綾瀬市のデイサービスセンター(介護施設)は、なんとゲームセンターで知られるナムコが経営している。やってくる高齢者たちが夢中になっているのは、太鼓を叩くリズムゲーム「太鼓の達人」、出てくるワニをハンマーで叩く「ワニワニパニック」。これらは、もともとあったゲームを叩くものをやわらかくしたり、座ってできるようにしたり高齢者のリハビリ用に改良されたものなのだ。
協力するのは、九州大学医学部の高杉医師。ゲームが高齢者のリハビリに効果があるという医学的効果の分析を行う。高齢者の転倒事故が多いことから、下半身を鍛えるゲームを思いつき、ナムコと共に開発。出てくるヘビを踏みつける「ドキドキへび退治」が完成した。一体ゲームは日本の医療の現場を変えるのか?
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