日経スペシャル「ガイアの夜明け」 2月3日放送 第351回

オフィス移転で勝機つかめ ~“企業再生”に秘策あり
先の見えない大不況… そんな中、都心のオフィスに異変が起きている。
去年12月、東京ビジネス地区の平均空室率は4.72%、前年同月比で2.07%も上昇、11ヵ月連続で都心のオフィスビルの空室率が上昇しているのだ。その背景にあるのが、リーマンショック以来の相次ぐ企業倒産だ。そして空室率の上昇は、都心のオフィス賃料の下落を呼び込んでいる。
厳しい不況の中、少しでも賃料の安いオフィスに移り、コスト削減をはかりたい…。今、不況を勝ちぬく新たな経営戦略として『オフィス移転』が注目を集めている。大手通信会社は、都心に9つあった拠点を巨大な1つのビルに集約することで、大幅なコスト削減と更なる仕事の効率化を目指し、"巨大集約移転"をはじめた。巨大移転に隠された驚くべき狙いとは… 社員4000名の大移動に密着した。
一方で、人員削減や派遣の首切りが叫ばれる中、業績不振に陥った中小アパレル企業の社長は、会社を再生させるため"縮小移転"を選択した。赤坂一等地から山手線の外へ。オフィス面積を約半分にカットし再生を目指す、名付けてリベンジ移転。「不況でも社員は切りたくない。縮小移転で必ず会社を建て直してみせる」社員一丸となって挑戦するリベンジ移転を追った。
厳しい不況の嵐が吹き荒れ、更なる企業の倒産さえも予測される2009年。
"オフィス移転"によって企業は再生の糸口を掴むことができるのだろうか
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【機能集約で不況を勝ち抜け~大企業が仕掛ける"巨大集約移転"】 |
厳しい不況の嵐が吹き荒れる中、比較的好調な大手企業も、殿様商売をしている状況ではなくなってきた。大幅なリストラ、派遣社員の首切りなど、人員削減による不況対策が進むなか、あえて"社員の結束力"によって時代を生き抜こうとする企業があった。彼らがとる戦略とは、分散していた会社の機能を1箇所に集約し、"無駄なコストの削減"と"組織力の強化"をする、いわゆる"巨大集約移転"だ。
大手通信会社NTTコミュニケーションズもそんな会社の一つ。都内に9つの拠点を構えていた技術部隊を、田町の巨大ビルに集約。総勢4000名規模の大移転を行うという。この巨大集約移転の仕掛け人が、総務部担当部長の森下高志さん。「余分なものを削ぎ落として結束力を高め、厳しい時代を生き抜いてみせる」果たして、巨大集約移転とは、どれほどの成果を企業にもたらすことができるのか。そしてまた、社員たちは移転によってどのように変化していくのか。不況に対抗すべく取った、大企業のダイナミックな組織強化の舞台裏に密着し、その現場で奮闘する人々を追う。
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【"縮小移転"の中小企業~"リベンジ移転"で生き残れ!】 |
巨大企業が積極的に大規模な集約移転を繰り広げるのに対し、不況下で経営に苦しむ中小企業の間では、今、いわゆる"縮小移転"が急増している。東京・赤坂の一等地にオフィスを構えるアパレル通信販売会社・モダンブルーもそんな会社の一つ。
社長の加賀学さんは、今年9月のリーマンショック後の売上げを見て、唖然としたという。「このままでは厳しい。企業を存続させるためには、先手を打たなくては…」そう感じた加賀社長は、赤坂の一等地から隅田川沿いの床面積半分程のオフィスへ縮小移転する決断をした。この縮小移転により、オフィス賃料は年間一千万円以上の削減が実現する見込みだ。「不況の時代を切り抜けて、大きくジャンプするために決断した。社員は財産。人員削減以外のことはすべてやってみせる」 賃料など固定費を限界ぎりぎりまで削り落とし、競争力を向上、再生へのジャンプをはかる"リベンジ移転"に向けて、モダンブルーが動き出した。
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【2坪オフィスで不況乗り切れ!~急拡大する"レンタルオフィス"】 |
都心の空室率の上昇を追い風に急拡大しているのが"レンタルオフィス"だ。広いオフィスフロアーを間仕切りし、2坪ほどのオフィスとして貸し出すレンタルオフィス。不況下に独立をしたい起業家の入居が殺到し、大流行だ。レンタルオフィスで再起をはかる人々を追った。
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