日経スペシャル「ガイアの夜明け」 5月5日放送 第364回 格安"の激震 ~衣料不振に価格革命で挑む~
消費不況の底が見えない。百貨店では、衣料品売り上げが21ヵ月連続で前年割れとなり、百貨店に販売を依存していた大手アパレルメーカーも窮地に追い込まれている。だが、こうした老舗に代わって不況の中でも業績を伸ばしているのが、ユニクロやH&Mをはじめとした格安の衣料専門店だ。これらは「ファストファッション」と呼ばれ、安さと商品開発のスピード感が売り。東京・原宿では外資系を中心としたファストファッションの店が次々とオープンし、競争が激化している。 こうした動きに大手スーパーも参戦。他社の人気の格安衣料を強く意識した、格安商品の開発に乗り出した。品質を維持しての"格安"はどこまで可能か?まさに限界への挑戦である。 一方、衣料品の値下げ圧力が強まって行き場を失っているのが、「高級ブランド品」だ。値段を下げて売ることもできず、在庫の山に苦しむ。そこへ、これを商機と見たアメリカ発のインターネットの会員制サイトが現れた。高級ブランド衣料を市場価格の5~7割引きで販売するこのサイトは、日本でのオープンからわずか1週間で10万人を超える会員を獲得し、数万円の服でさえ、あっという間に売ってみせる。 激震が走る衣料品業界。値下げ競争の果てにあるものとは――。
総合スーパー不振の足を引っ張る衣料品。各社は衣料品のテコ入れに動き出している。そうした中でこの3月話題をさらったのが、ファーストリテイリングが展開する低価格ブランド「g.u.(ジーユー)」の990円ジーンズだった。"市場最低価格"を謳ったこの商品の出現に、大手スーパー「西友」では衝撃が走ったという。西友も1470円の格安ジーンズを販売、売り上げを伸ばしていたが、完全に話題をさらわれた形となったのだ。 「価格安い=KY戦略」を打ち出し起死回生を図る西友は、安さで負けるわけには行かないと格安ジーンズの新商品開発に乗り出した。だが品質と価格をどう実現するのか。生産体制の見直しは必至だ。担当者が向かった先は…。 さらに見据えるのは、その先の秋冬物。飽くなき「格安」の追求、格安衣料の裏側を追った。
衣料品の値下げラッシュが続く中、高級ブランドは在庫を抱え苦しんでいる。そこに商機ありと現れたのが、高級ブランド衣料の米インターネット通販企業、「ギルト・グループ」。創業からわずか1年の、急成長企業だ。 その「ギルト」の日本サイトが3月にオープン。わずか1週間で10万人を超える会員を獲得した。商品を買えるのは会員のみで、その会員になるにも別の会員からの紹介が必要という仕組み。ギルトでは、新品のブランド衣料が通常価格の5~7割引きという破格の値段で売られ、大人気だ。 それにしても、安売りを敬遠する高級ブランドを、なぜこんなにも安く販売できるのか?最大の強みは、ブランドから直接買い付けることによる仕入れの力にあった。 ギルトの、東京都内のある倉庫にカメラが入った。するとそこには、販売予定のブランド衣料などが、ずらり…。だが、あまりの人気に、在庫が不足気味という事態も起きている。そこで、バイヤーに課せられたのが、新たなブランドの開拓だった。 「安売りによるイメージ低下を嫌うブランド」vs「ネット通販のギルト」。果たして、ブランド衣料の流通革命となり得るのか。