日経スペシャル「ガイアの夜明け」 1月26日放送 第401回 シリーズ「デフレと闘う!」第2弾 売れない時代に売る極意
「低価格」をうたう商品やサービスが氾濫し、作り手や売り手にとっては消耗戦の様相さえ呈してきている。だがこうした中でも、安売りに走らずに売上げを伸ばしている企業は確かに存在する。 180種類ものレトルトカレーが並ぶ店――他社を圧倒する品揃えの豊富さで客を引きつけるスーパーは、消費不況の中でも出店攻勢を強めている。その裏では、多少高くても美味しいものを見出すバイヤーと店長とがタッグを組み、客を飽きさせない品揃えに挑み続けていた。そして新たに売り出された目玉商品の売れ行きは…?一方、悩める経営者たちに集客のノウハウを伝授する経営コンサルタントもいる。彼が新たに挑むのは、類似品が出回り苦しんでいる沖縄の菓子店。果たして店の苦境を打開できるのか。 出口の見えない“安売り戦国時代”の激流の中、オリジナルの“売る極意”で生き抜く人たちに密着、そこに潜むビジネスチャンスを解き明かす。
この消費不況で大手スーパーが不採算店の閉鎖を余儀なくされている中、出店攻勢を強めているスーパーがある。本社を兵庫県尼崎市に置き、近畿・関東の百貨店・駅ビルを中心に店舗を展開する『北野エース』だ。常務・統括事業本部長の高橋一実さんには、「安売り路線にしてはいけない。没個性的なスーパーへの転身では、お客様の満足には結びつかない」という強い思いがある。 この年末商戦、ある店舗には、かまぼこがずらりと並んだ。100種類近くのかまぼこ…それが飛ぶように売れて行く。品揃えの豊富さが真骨頂の北野エースの名物企画「かまぼこ祭り」だ。 その豊富な品揃えを支えているのが、腕利きのバイヤーたち。彼らは、“店の鮮度”を保つため常に新商品の発掘を続けている。一人のバイヤーが訪ねたのは、金沢では有名なあるハムメーカー。だが北野エースでは、バイヤーが仕入れたものがそのまま店頭に並ぶわけではない。バイヤーが見つけて来た商品のうちどれを店舗に置くかは、それぞれの店長の裁量に大きく委ねられているのだ。金沢のこだわりハムを見つけてきたバイヤーは、月に1度の商談会の場で、店長に売り込みをかける。その“攻防戦”の結末は…。 「首都圏売上げ100億円を達成させる」と意気込む北野エースの取り組みに、安売り戦国時代を勝ち抜く戦略を見る。
低価格化に消費者が慣れ切ってしまい、メーカーや小売りは消耗戦に突入している。こうした状況に頭を抱える経営者たちの駆け込み寺となっているのが、経営コンサルタントの藤村正宏さんだ。 その藤村さんが今取り組んでいるのは、沖縄県内に10店舗を展開する「お菓子のポルシェ」。創業1979年の小さな洋菓子店だったが、沖縄特産の「紅芋」に目を付け“紅いもタルト”を開発したのがこの会社。年商35億円にまで成長し、紅いもタルトは売上げの70%を占めるほどの人気商品となった。だがこの不況で観光客が減っている上に、類似の商品が出回っている。「紅いもタルト以外のものをいかに売るかが課題」と、店の危機感は強い。そこで藤村さんが指示したのは「売る側が商品を体験し、その価値をお客に伝える」こと。そこで店側は、新たな目玉商品にと考えた商品の良さを改めて“体験”するため、漁港へと向かう。実はその商品とは、沖縄特産の“あるもの”を使ったパイだった…。
「他社のできないことをやる…これが大手に勝つ唯一の方法。そのためには効率は二の次です」。こう語るのは、京都・福知山市にあるスーパーマーケットNISHIYAMAの西山社長。続々と攻勢をしかける大手スーパーに飲み込まれず、この不況下においても店内は大変なにぎわい。「私はこの店のファン」。そう客に言わしめる、店づくりの極意とは…? ニシヤマには他のスーパーにはない品が並び、異彩を放つ。しかもあちこちで実演販売。さらにニシヤマには協力な“武器”がある。手まり寿司やゆず胡椒、さんまの山椒煮、鍋用うどん…。現地に赴いて食材を仕入れ、さらに工場のあいている製造ラインを利用し加工までを手がけることで実現した数々の独自商品だ。 これを一手に引き受けるのが、大手百貨店の食品部に30年勤務していた古山勇起さん。昭和50年代からいち早く産地開発、商品開発を手がけ、現在の産地直送ブームの火付け役となった人物である。これまでに開発した商品は300 品目。ニシヤマの店作りを学ぼうと、大手スーパーまでもが視察に来るという。徹底した独自商品へのこだわりが、大手に負けないスーパーを作り出していた。次なる商品開発のため、古山さんが向かった先は…。