■監修者・中島洋の深読み
中島洋
=マルチメディア総合研究所所長
1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、日経BP社編集委員、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。
「韓流」と「日流」の実感
書店をのぞけば、「韓流」の爆発的な人気についてよく分かる。ベストセラーの棚には韓国の人気スターの笑顔がずらりと並ぶ。かつて、この棚にはSMAPの笑顔、ジャニーズ事務所のタレントの笑顔が並んでいたはずである。日本人の人気歌手の笑顔もすっかり追い払われてしまった。もっと昔には日活のスターや米ハリウッドの金髪、ブルーアイのスターの顔が並んだこともある。日本だけの現象ではない。すでに香港や台湾などアジア諸地域で「韓流」は社会現象になっている。
今回の「韓流」については、これまでの欧米の映画スターや日活、東宝の人気俳優へのブームと違った問題がある。それは欧米を追いかけてきた日本のコンテンツ業界が、日本の地位をまだ十分に確立しないうちに、今度は、早くも韓国に乗り越えられつつあるということだ。21世紀の日本の成長産業と期待されてきたコンテンツ産業だが、早くも強敵が眼前に出現した。これを懸念するのは、日本の国際的な文化戦略として、コンテンツ産業をもっと充実させるべきだと考えるからだ。
日本のテレビドラマやアニメがアジアや欧米で大ヒットしている現実がある。欧米では「クレヨンしんちゃん」や「サザエさん」などのテレビアニメ番組を子供たちが夢中で見ている。サザエさんの登場人物たちが吹き替えでそれぞれ欧米の言葉をしゃべり、かつおやわかめちゃんが玄関の戸を横にガラリと開け、靴を脱いで家に上がり、畳の上に正座をして食事をするという、世界でも珍しい日本の生活文化が、何事もないかのように受け入れられているというから、不思議である。各国のテレビ文化の中に日本アニメが定着して、日本文化を未来の主役になる子供たちに浸透させることは、将来の日本の国際的立場を向上させることを期待できる。
日本文化の生み出したものとしてはゲームもある。しかし、こうした子供向け以外のコンテンツ以外には、日本文化が発信するコンテンツがなかなか出てこない。そこに、この「韓流」ブームだ。その背景には、韓国政府の強力な支援政策がある。日本政府ももっと対極的な国際戦略として、「日流」の振興を考えるべきときではないか。
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