■監修者・中島洋の深読み
中島洋 中島洋=マルチメディア総合研究所所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、日経BP社編集委員、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。


 百貨店の前身を探ると、呉服屋と鉄道会社である。古い百貨店は呉服屋がほとんどで、それも歴史の長いところは江戸時代の初頭の創業もある。地方の有力藩の城下町にあった呉服屋がわざわざ江戸に出て店を張ったところが、明治以降に百貨店に発展したところもある。今回、調査をしてみて改めて感心した。

 次に百貨店進出の源流になったのは電鉄会社である。

 西武鉄道、東急電鉄、東武鉄道、小田急、阪急、京成、阪神、近鉄、京阪、南海、西鉄、一畑電鉄など、大都市近郊、地方鉄道、そのターミナル駅にはデパートのあるところが多い。最後は、遅れてきたJRである。民営化とともに流通業にも進出、大きなターミナル駅でのデパート進出が目立っている。電鉄会社の多角化事業としては順当なのだろうが、ターミナル駅は他の鉄道のデパートも出店するケースがあるので、競争は熾烈だ。さらに地方にいたっては人口の流出で鉄道の乗客が減る上にデパートの客も減るという二重苦に襲われるところもある。順調に回っているときには相乗効果になるところが一度、針が逆転すると状況の厳しさはひとしおである。

 しかし、多少の例外はあるにしても、100年のデパートの歴史で、源流を探ると呉服屋と鉄道の二つに絞り込まれるのは不思議である。いま話題のプロ野球は、鉄道、新聞社、映画会社、食品会社、金融、流通、さらにIT企業とバラエティに富み、さらに歴史とともに主役が交代してきているのに、それより歴史が長いデパートが、その源流の業種の幅の狭さが気になるところだ。江戸時期、明治期の流通の中で、最も資本蓄積が進んだのが呉服業だったということなのだろうが、材木や醸造、各種の食品など、大商人はたくさんいたはずなのに。

 それにしても主役の交代は速い。デパートはスーパーに流通の主役の座を奪われ、さらにスーパーはコンビニにトップいの座を奪われる。しかし、淘汰されうるうちに、デパートが生き残る道が見えてくる。今回、テレビ東京「ガイアの夜明け」で取り上げる三越、伊勢丹の両店は、それぞれ顧客を絞り込んで店舗の個性化を図る。もはや、人の集まるところに店舗を構えれば繁盛する時代は遠い。力ずくで顧客を集めなければ売り上げは上がらない。その必死の挑戦の姿を見た。







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