■監修者・中島洋の深読み
中島洋 中島洋=マルチメディア総合研究所所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、日経BP社編集委員、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。


空港大競争の余話

 90年代中盤、日本経済新聞社の編集委員のころ、当時の運輸省の政策全般の研究会の委員を務めたことがある。交通機関全般について議論したので、一県一空港の構想も議論に上った。離島対策での空港建設の話題も上った。しかし、議論は空港建設よりも船舶と鉄道を利用した輸送体制の再構築へと移っていった。エネルギー効率の観点から考えれば空輸よりも鉄道のほうがずっと有利だ。いわゆる「モーダルシフト」の議論が活発に展開された。全体の空気は空路の開拓にはあまり熱意はなかったように思う。特に、採算性の面からも批判的な空気があった。

 一方、当時、やはり取材範囲にあった農林水産省は、農業振興策の一環として、「農道空港」がまじめに提案されていた。幅の広い直線の農道を建設して、これの道路を、時間を区切って飛行機の発着に使う、というアイデアである。もちろん、農林水産省の補助事業である。特産品を鮮度が高いまま消費地に届ける手段である。採算についてはどのような議論があったか知らないが、農林水産省も農業振興に予算を使うアイデアが枯渇してしまったに違いない。実現しなくて良かった。

 離島にとって、空港は社会活動、経済活動を活性化させる重要なインフラになる。北海道や沖縄を少し調べればその重要性は過小評価してはいけない。しかし、高速道路、新幹線がすでに敷設された環境を前提にすれば、どう逆立ちしても採算に乗らない空港、利用されない空港が大半である。もちろん、空港を誘致しようという地元の運動がないわけではないが、その運動の中心は土木関係業界の人が多いことは全国共通である。地元の誘致賛成派も、開港後の運用を自分たちの税金でまかなうことは条件に入っていない。ただで来てくれるならば、ないよりはマシだという軽いノリで賛成派に回る。

 もちろん、まだ、採算に乗る空港もないわけではないが、無理に地方空港をたくさん作るとそのツケは国民の税金に回ってくることを考えないとまずい。少し寒い話になってしまったが。







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