■監修者・中島洋の深読み
中島洋 中島洋=マルチメディア総合研究所所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、日経BP社編集委員、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。


自動車事始

 最近の自動車は安全基準が厳しくなったせいか、車両火災の現場に遭遇することはめったになくなったような気がする。しかし、以前は、よく、車両火災を目撃した。

 実は、10数年前だが、大学生の子供が運転して、長野の山荘に向けて家族を運ぶ途中の乗用車が燃えてしまった。関越自動車道で、急に速度が落ちたので、一般道に下り、何度か、サービスセンターに寄って点検したが、原因が分からないまま、深夜になってようやく目指す山荘のある山中に入っていったそうだ。ところが、対向してくる自動車が皆、激しくクラクションを鳴らす。不思議に思っていたところ、とうとう2台の対向車が停止して、消火器をもって近づき、すぐに外に出ろというので振り返ると後部が火の海になっていたそうだ。消防車が駆けつけて、未明までに片付いたが、留守宅の私のところに電話がかかってきたのは明け方のことだった。

 幸い、子供にも、同行した家内や80前の義母にも怪我はなかったが、長い間、同型の車を見るのを怖がる後遺症がしばらく出た。

 メーカーで原因を調べたが、結局、出火場所は特定したものの、直接の原因は解明できず「原因不明」という調査結果が届いた。発売後5年。車検から返ってきた車を使って、初の走行だったので、車検を行った工場の担当者も参加して原因を調べたが、整備不良やミスはなく、メーカーの責任であるということは認めた。代わりの車を購入してくれと、燃えてしまった車を購入した販売会社に行くように指示を受けた。しかし、家内や子供は、同車種はいやだというので、一回り小型の車種を選んだ。驚いたのは販売店が見積もりを出してきて、燃えた車の下取りは特別にかなり高めにサービスしたが、といって、差し引き100数十万円の見積もりを出してきた。「これ以上安くすると、販社としては赤字になってしまう」と説明したのにはあきれ返った。

 燃えれば燃えるほど、メーカーは販売台数が増えてもうかる仕組みか、とクレームをつけて、しぶしぶ引き下がったが、その間、1週間ほどの交渉となった。その際に、知人の中古自動車ディーラーから、「国産車で車両火災は珍しいね。だけど、外車はよく燃えるよ」と事例をたくさん聞かせてもらった。

 もはや、そういう危険は対策ができているのだろうが、ここ10年、外国メーカーの乗用車が爆発的に増えたにもかかわらず、目撃することが少なくなったような気がするのは、やはり、安全対策が行き届いてきたのだろう。いよいよ、高級車の販売合戦が始まる。安全も自動車を選ぶ重要な基準になる。






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