■監修者・中島洋の深読み
中島洋 中島洋=マルチメディア総合研究所所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、日経BP社編集委員、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。


変わり行く「病院」への期待

 南の国のある離島では、この地域に古くからある県立病院と民間のチェーン化された病院が並立している。どちらが島民のためになっているかは、評価基準の置き方によって左右されるのでなかなか難しいところだが、民間病院を頼る島民の声を聞くと参考にはなる。民間病院を便利だとするこの島民の判断基準は「島内完結」か否か、である。

 体調不良を訴える家族が病院に行った際、公立、民間の両病院の違いは、公立側では「本島の病院に移して精密検査をしたい、あるいは、本島に移して手術をしたい」と判断することが多いのに対し、民間の病院側では検査、手術ともにこの島の病院で行うことが圧倒的に多いことだそうだ。ヘリコプターなどを使って県立病院から本島に移送する姿はものものしく、何か手厚い治療を受けているような気がするが、民間病院と比較してみると、県立病院が手厚い扱いをしてくれている、というのは錯覚だ、とこの島民は指摘する。実際、本島に移送されると、付き添いや見舞いで家族や知人が本島の入院先に通うにも時間と交通費がかかることになる。本島に移送されることは、患者側に過大な負担を強いることになるのである。

 問題は、なぜ、この民間病院は離島の中で完結する治療活動を行えるか、である。謎解きは単純。レベルの高い医師をそろえて、自信をもって診断し、治療に当たることができるからである。その原動力は継続的な「研修」にある。この民間病院は通信衛星のチャンネルを借りて、最先端の医療技術を学ぶ講座を多数、開講しているそうだ。一人の医師が常に研究を重ねて専門技術の幅を広げる努力をしている。現場では離島で患者に向かっているが、その患者に治療を施すための知識は世界中から最先端のレベルを集めて習得する。

 こうした比較は離島だけではない。民間病院のこうした病院オペレーションのノウハウはいずれ、全国の自治体の参考になるだろう。この数年で、病院は大きく変化しそうな気がする。







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