■監修者・中島洋の深読み
中島洋 中島洋=MM総研代表取締役所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。

高速道路無料化――本当に大丈夫か?

 日曜日、横浜に住む筆者は久々に東京湾の対岸、千葉のゴルフ場に誘われてアクアラインを渡った。昇り始めたばかりの朝日を浴びて快適にゴルフ場に向かった「行きは良い、良い」である。往路は1時間半で房総半島真ん中のゴルフ場に到着したが、帰りは地獄。アクアラインに到達する遥か手前から車は渋滞にはまった。

 朝早くの自宅スタート、この渋滞の中では睡魔に襲われる。助手席で居眠りしている同行者をたたき起して、何でも良いから話しかけてもらって何とか帰り着いたが、この渋滞、利用者数が低迷してきた高い通行料を休日だけ安くした春から始まった。一時、物珍しさも失せてきて渋滞が緩和されてきたようだが、8月から、さらに平日も含めて800円となって、渋滞が激しくなってきたようだ。

 今回の特集記事でも経済効果について検討したが、マイナスの影響については、なかなか検討材料が見つからなかった。あえて言えば、この大渋滞だろう。貨物を運ぶトラックは渋滞に巻き込まれて重大な影響のはずだ。高速バスも甚大な被害だ。その経済損失も計算に入れないとまずいだろう。

 一方で、自動車の大移動がここまで格安になれば、帰省客や国内観光客などは航空機や新幹線を見捨ててしまうので、航空会社やJRの売り上げも心配になってくる。もっと心配なのは、二酸化炭素の排出量の増大かもしれない。長距離移動に自動車使用が増えれば、当然、ガソリンの消費も拡大する。利用者にとって朗報は、地球にとっては悪い知らせ。ここを克服しなければ、高速道路無料化は問題含みになってしまう。

 高速道路は、本来、有料で建設費を回収する期間が終われば無料にして当然だ。しかし、無料にすれば渋滞が生じ、炭酸ガスが無用に増加する弊害も予想される。こうした課題を克服して無料化が実現できるのか。利用者としては無料にこしたことはないが、この付近の妙案も編み出さねばなるまい。






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