■監修者・中島洋の深読み
中島洋 中島洋=MM総研代表取締役所長

1947年生まれ。東京大学大学院(倫理学)修士修了。73年日本経済新聞社入社。産業部で24年にわたり、ハイテク分野、総合商社、企業経営問題などを担当。1988年から編集委員。この間、日経マグロウヒル社に出向し、日経コンピュータ、日経パソコンの創刊に参加。97年-02年慶応義塾大学教授(大学院政策・メディア研究科特別研究担当)。02年-04年、国際大学(グローコム)教授を務める。現在、MM総研所長、国際大学(グローコム)主幹研究員などを兼務。

「チャイナリスク」の多様な側面

 日本と中国との付き合いは長い歴史がある。しかし、だからと言って理解しあえているか、というと、首を傾げざるを得ない。最も慎重にならざるを得ないことは、「中国は一つ」という錯覚である。中国は「ユナイテッド・ステイツ・オブ・チャイナ」である。いや、もっと正確には「ユナイテッド・ネーションズ・オブ・チャイナ」ではないか。これに似た国は米国ではなく、ロシアだろう。ロシアも以前は英語に訳せば「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ロシア(ソ連)」というような国名だったが、その後の民族独立運動をみると「ユナイテッド・ネーション」だったと思う。

 チャイナリスクを考えるとき、この民族問題も忘れてはいけない視点だろう。

 「中国人は・・・」という時に、どの民族を指すのか。現在は同一の民族だと想定して議論している。ところが、異なる民族同士は価値観も違うし、軍と共産党、行政府、省、市の組織でも価値観は多様である。価値観が多様であることを考えると、尖閣列島問題をきっかけに起こったとして日本のマスコミ報道が踊っている、中国の「反日感情」なるものも、本当に中国全体がそうなのかどうか、仮にアンケートなどでそのような結果があるとしても、どのような調査で、どのような深みがあるのか、何度も疑ってみた方がよい。

 リスクの一端をとらえて、全体に過剰な警戒感をもつのではなく、日本に観光や買い物に来る中国人の心の底に潜在する親日感情をとらえて、それを大きく育てるような付き合い方が必要なのではないか。

 どうあっても、中国とは今後、長い歴史をともにしなければいけない相手国である。視野を遠くに投げて、じっくりと日中の新しい関係を築き上げて行きたいものである。






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