インタビュー
明智光秀役 高橋和也さん


人気の武将である明智光秀を演じたご感想は。
調べると、いろんな異説がある人なんです。本当は生き残って(南光坊)天海になって、徳川家康を助けて、その礎を築いた…とか。
歴史というのは勝った側から語られていくので、本当のところは誰もわからないですし、たくさんの謎があるんですよね。そこが面白さであって、想像力が膨らむところでもあるんですが、今回の作品の中での明智光秀というのは、「竹薮の中で壮絶な最後を遂げる、三日天下の明智光秀」という、いわば基本の線です。
今回は台詞がとても少ないんです。語らないでいろいろなものを感じさせる演技というのは、とても難しいですし、力を試されている感じがします。目にきちんと表れているだろうか、ちゃんと伝わっているだろうかと、いつも自問していました。
ただ、赤羽監督が現場で導いてくださいましたし、スタッフの皆さんもすごく丁寧に映像を作られていたので、その場に入ると気持ちがすっと治まるという、まさにまな板の上の鯉のような感じでした。
監督のほうから、演じるにあたってのお話はありましたか?
赤羽監督にはデビューの時からお世話になっていて、今回、京都で初めて時代劇をお撮りになるということで、そのお手伝いができればという思いでやらせていただきましたが、「信長は、光秀ならもっとできると思ったからこそ厳しいことを言っていたんだけれど、光秀はそれを、非常に残酷な仕打ちに受け取ってしまったという“ズレ”がある」とおっしゃっていたんです。
確かに、自分の立場から役を見ていくと、信長から一方的な責めを受けているような感じがするんです。けれども、信長には信長の理由があって、決して痛めつけていたわけではなく、光秀に対して、ゆくゆくは自分を支える片腕となってほしいという思いがあった。その解釈は、現場で演じていて「なるほどな」と思いました。お互い、思っているところがズレていくという、そのズレが悲しいですよね。
加藤さん演じる織田信長はいかがでしたか。
いや、怖かったです(笑)。最初の日が、ドクロの金杯のシーンだったんですけれども、思いっきりガンっとこられたので、「何ていう上様だ!」と思いましたね(笑)。
でも、非常に迷いなく信長を演じられているという気迫が伝わってきて、自分としてはすんなり役に入っていくことができましたし、演じ甲斐もありました。
印象に残るシーンがあれば教えてください。
今日は本能寺へ向かうシーンを撮ったんですが、馬に泣かされちゃって(笑)。
本当に久しぶりに馬に乗ったので、なかなか言うことを聞いてくれなくて、軽い駆け足だったんですが御せなかったんです。それが悔しかったですね。
あと、光秀の最後のシーンは、台本では「天下が離れていく」という台詞だったんですが、監督からの提案で、あえて「天下…」の一言にしようということになったんです。「天下が離れていく」だと、光秀がまるで天下を意図的に狙ったという面が強くなってしまう。
けど、この作品で作り上げてきた光秀は、そういう人じゃないだろうと。「天下…」のあとに、光秀が何を言いたかったのか。謎の言葉を残して死んでいくという。そこは、現場で生まれたシーンになりました。
視聴者の方にメッセージを。
二人の軍師が秀吉を天下に祭り上げていく物語ですが、それを支える妻であったり、家族であったりという人間ドラマが描かれていて、台本を読んでとても感激しました。自分が関わっていないシーンでも、好きなシーンがあったりして、官兵衛と光の夫婦の愛情であったり、半兵衛というキャラクターもそうですし、「人間として美しく生きるということは、どういうことだろう」と感じさせてくれるところが、非常に好きです。
自己主張の強い、自己中心的な物の考え方が世の中でまかり通っている今の時代に、「一つ、何かに捧げる精神」という部分が、今回のドラマでは描けていて、僕自身、この作品に関わることができて良かったと思いました。
そこがどういうふうに仕上がるかを、僕もとても楽しみにしていますし、皆さんにも観ていただけたらと思います。時代劇ファンに喜んでいただけるような作品になっていますので、楽しみにしてください。