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斎藤 道三 ──── 北大路欣也
美濃守道三。松波庄九郎など生涯、十三回名前を変える。
法蓮房と名乗る妙覚寺の僧だったが、京都の油問屋・奈良屋の美貌の後家、お万阿を篭絡し、油問屋・山崎屋主人となる。国盗りの夢を追い、美濃に渡り守護職・政頼の弟、頼芸の臣となる。頼芸と襖の虎の眼を長槍で射抜く賭けを行い、愛妾・深芳野を譲り受けるが、約束どおり政頼を追放する。が、後にその主君・頼芸をも放逐し美濃一国の国主となる。隣国・織田信秀との長い戦いの後、愛娘・帰蝶を、うつけものと噂の高い信長の嫁に送り、あわよくば尾張を手に入れようとする。が、信長と対面し、その器量・人物に触れ、自分の天下盗りの夢を継ぐのは、この信長と、幼い頃から英才教育を施した明智光秀しかいないと確信する。国主の座を息子・義竜に譲ったが、義竜は自分の父が土岐頼芸であると知ると、土岐家血統継承を旗印に、道三を討ち獲ろうとする。道三は、自らの死期を悟り、信長の援軍を断り壮絶な死を迎える。享年六十三歳。
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織田 信長 ──── 伊藤 英明
幼名吉法師、上総介、尾張守、右大臣。
幼少期から、うつけものと呼ばれていたが、父・信秀は、その才を理解していた。娘濃姫を送った義父・道三もまた、信長の類稀な能力を評価していた。桶狭間の戦いに例えられる独創的戦法の反面、負け戦は徹底して避けようとする冷静な合理主義者でもあり、この合理精神こそ義父・道三から受け継いだものである。戦国乱世に彗星の如く現れた全く新しいタイプの武将である。果断な決断力と行動力、合理精神に根ざした独創力、天才的なひらめき、巧みな人間把握術により最強の織田軍団を編成し、天下布武を進めていく。「デアルカ」が口癖。天下統一を目前にしながら、本能寺で、濃姫とともに生涯を閉じる。享年四十九歳。
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明智 光秀 ──── 渡部 篤郎
幼名桃丸。十兵衛光秀。濃姫とは従兄妹の関係。
幼少期から文武の才に富み、道三から徹底した武将としての英才教育を受けた。道三は、自らの天下盗りの夢をまず、この光秀に託した。濃姫を密かに想い、信長に嫁ぐ濃姫を哀しく見送らざるを得なかった。道三が義竜に討たれた後は、全国を遍歴したが、細川幽斎と出会い十五代将軍・足利義昭を擁して足利幕府再興のために奔走する。鉄砲術、城攻めなどの武略はもとより、連歌、茶道に秀でる天下一の博識家であり、さらに足利将軍と繋げる武将として、信長の信を得て家臣となり重用された。が、次第に、信長と気性、軍略など相容れず、本能寺を迎えることになる。享年五十六歳。
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お 万 阿 ──── 高島 礼子
京都、油問屋・奈良屋の若後家。司馬遼太郎創作の人物である。
当時、油を扱う問屋は小さな大名を凌ぐ程の財力を持ち、特に奈良屋は畿内でも有数の油問屋であった。原料である荏胡麻輸送の荷頭を頼んだ松波庄九郎に惚れ込み、奈良屋、後の山崎屋の身代を庄九郎に渡す。国主になりたいと庄九郎が美濃へ行った後も、その生涯を通じて、庄九郎こと道三を物心両面で支えていく。最後まで、道三の精神的な支えとなる女性であった。今回は、原作を越えて、このお万阿が、明智光秀の死まで見据える、「国盗り物語」全体を見る唯一の人物として位置付けようとする。
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濃 姫 ──── 菊川 怜
帰蝶。道三の娘。母は小見の方。光秀とは従兄妹の関係。
政略結婚で、織田信長に嫁ぐ。絶世の美女だが、道三の気性を継ぐ、激しい男まさりの気丈さを持つ。有名な名場面がある。道三が嫁ぐ帰蝶に短刀を与え、「……婿殿がいやになったら、その時はこの短刀で、信長を刺せ……」と命じたところ、濃姫は「この短刀は、……お父上を刺すお刀になるやも知れませぬ」と答えた。
気性の激しい信長と濃姫は、当初はぶつかりあったがいつしか深い愛情に結ばれ、お互いなくてはならぬ存在となっていく。生涯、子供は授からなかったが、夫唱婦随、信長にとっては、家臣の誰にもまさる相談相手であった。本能寺の変で、信長の「落ちよ」との命令を無視し、共に生涯を終える。
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深 芳 野 ──── 鈴木 杏樹
土岐頼芸の愛妾。姉は、同じ頼芸の正妻。
父は丹後宮津城主・一色左京太夫。その父の四十二歳の厄年子であった。当時、厄年子は生家に仇をなすと信じられていたために、姉が頼芸に輿入れした折に、一緒につけて貰われた。美濃一の絶世の美女であった。
道三が頼芸と酒宴の場で行った賭けの結果、道三の妾となったが、その時既に、深芳野のお腹には、頼芸の子を宿していた。後に、道三を討つことになる斎藤義竜である。妾から妾へと渡され、儚い運命に翻弄される悲劇のヒロインではあるが、後の美濃一国の鍵を握る重要な存在でもあった。
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お 槙 ──── 酒井 法子
明智光秀の正妻。
光秀は生涯、妾を取らず、愛妻・お槙を慈しんだ。諸国遍歴をする光秀の長い浪々生活の間も、これを支え続けた賢妻であった。清貧の暮らしを続ける有名な逸話として、来客の際に、お槙は自らの髪を売って客のもてなしを用意したという。迷い迷った後、最終的に信長を討つという決断をした光秀を、最も理解した存在であった。本能寺の後の光秀と、その一族に見舞われる悲劇を静かに受け止める女性でもあった。
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