KIRIN~美の巨人たち~

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フォンテーヌブロー派「ガブリエル・デストレとその妹」

今日の一枚は、フォンテーヌブロー派の『ガブリエル・デストレとその妹』。ルーブル美術館に所蔵され、フランス絵画の中でも最も謎めいているとされる作品です。
カーテンが開かれ、まるで芝居を演じるかのように二人の美女が裸でバスタブの中にいます。右側にいる金髪の女性は、フランス国王アンリ4世の愛人、ガブリエル・デストレだといわれています。彼女は左手で、指輪をつまんでいます。そして左側にいる女性は、ガブリエル・デストレの妹だといわれています。彼女は何故か、ガブリエルの右の乳首をつまんでいるのです。奥の部屋では、年配の女性が何かを繕っています。傍らには、緑の布で覆われた、大きな箱のようなものがあります。背後の暖炉には火が燃え盛り、暖炉の上には上半分が隠された怪しげな絵が一枚あります。そして奥の壁には、何も写っていない鏡がかけられています。
この不思議な絵は、一体何のために、何を意図して描かれたのでしょうか?

16世紀のフランス国王フランソワ1世は、老いたレオナルド・ダ・ヴィンチを手厚くもてなし、ミケランジェロをフランスに招こうとするなど、イタリアのルネサンス芸術に心酔していました。彼がフォンテーヌブロー宮殿を建設する際に、イタリアの著名な画家たちに宮殿内の装飾を依頼しました。その後、画家たちの多くがフランスに帰化し、宮殿美術の様式を作り上げていきます。それが、フォンテーヌブロー派の誕生でした。彼らは後世に名を残すことはなく、作品のみが伝えられたのです。

今日の一枚は、アンリ4世の時代に生まれた作品です。アンリ4世は、すでに妻のマルゴがいたにもかかわらず、自分の腹心の恋人であったガブリエル・デストレに一目惚れをします。そして彼女を口説きに口説いた末に、愛人にしたといわれています。
ガブリエル・デストレは、有能な女性でした。アンリ4世は1589年に王位を継承しますが、当時はフランス全土でカトリックとプロテスタントの宗教戦争が行われていました。幾度も戦場に赴くアンリ4世の傍らで世話をしていたのが、ガブリエル・デストレでした。王の仕事を助け、政治や外交にも手腕をふるいました。アンリ4世はフランス国内の宗教対立を終結させますが、その陰の立役者がガブリエルだったといわれています。また、アンリ4世との間に3人の子供を授かったといわれています。ガブリエルを王妃にするため、アンリ4世はローマ教皇に、王妃マルゴとの結婚の無効を訴えました。

そして、今日の一枚が生まれます。一説では、左側の妹と伝えられている女性がガブリエル・デストレの乳首をつまむ仕草は、「多くの子どもを産むことができる女性だと示唆している」とされています。そして、ガブリエル・デストレが指輪をつまむ仕草も、「王と結婚したいという彼女の意思をほのめかしている」とされているのです。まるで結婚を待ち望む、健気な乙女心を表しているように解釈する事が出来ます。しかし、ガブリエル・デストレは結婚の3日前に、4人目の子供を身ごもりながら謎の死を遂げています。今日の一枚がいつ描かれたのかはっきりしていないのですが、仮にこの絵が彼女の死後に描かれているとすると、全く違う解釈となるのです。はたして、この不思議な絵が暗示しているものとは?

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