KIRIN~美の巨人たち~

TVTOKYO:毎週土曜 夜10:00-10:30
BS JAPAN:毎週日曜 夜 7:30 - 8:00

バックナンバー

  • 一枚の絵
  • 取材風景
  • 美術館情報
  • 音楽情報

杉浦非水「三越呉服店 春の新柄陳列会」

今日の一枚は、日本のデザイン史に燦然と輝くモダンポスターの傑作『三越呉服店 春の新柄陳列会』です。 描いたのは、三越の図案部員として次々と傑作ポスターを世に送り出し、「三越の非水か、非水の三越か」と言われるほどの名声を得た近代グラフィックデザインの父・杉浦非水。日本で最初に商業美術という分野を切り拓き、多摩美術学校の初代校長兼図案科主任教授として日本にデザインを根付かせる為に生涯尽力した人物です。
非水はこの一枚によって、それまでは画家が絵画として描いたものを転用していたに過ぎなかった日本のポスターに、革命を起こしました。

しかし、最初から非水がこの道を志していたかというと、そうではありません。もともと非水は、伝統的な日本画家を目指していました。
16歳の時には、故郷・愛媛県松山で日本画家の門弟になり、その後東京芸大に進学。本格的に日本画を学び始めます。

しかし、そこで大きな転機を迎えるのです。当時、代表作「湖畔」を発表し既に洋画家の巨匠として活躍していた黒田清輝と交流を持つようになった非水は、パリ万博から帰って来た黒田の土産に大きな衝撃を受けます。それはパリで流行していたアール・ヌーヴォー様式の本や雑誌、ポスターでした。特に、アール・ヌーヴォーをポスターに取り入れた第一人者アルフォンス・ミュシャには強い衝撃を受けました。ミュシャ作品の模写に没頭するようになった非水の姿を見て、黒田はこんな言葉を掛けたと言います。
「日本には図案の形式というものがない。この際、欧州の図案を研究して、日本に新しい様式を生み出してみないか」と。
この言葉に背中を押される形で、非水は日本に新しい図案の様式を生み出すべく、図案の研究を始めます。そうして、生み出されたのが今日の一枚でした。

描かれているのは、ソファに腰掛けてちょっと休憩中といった様子の和服姿の貴婦人。着物は、大胆に蝶をあしらった春の新柄陳列会にふさわしい、優美で華やかなデザインです。クッションやソファ、椅子の張り地にもアール・ヌーヴォーの定番、植物をモチーフにした細やかな模様が描き込まれています。「和服姿の美人画」という、それまでの伝統的な日本のスタイルを継承しつつ、アール・ヌーヴォーを取り入れることで全く新しい表現の作品に仕上げています。
単に西洋の図案を模倣するのではなく、非水はあくまで「日本的な図案」を作るためのアイデアとしてアール・ヌーヴォーを作品に活かしているのです。
しかし、ポスターはあくまで企業広告。この絵を単なる美人画で終わらせないために、非水はこの絵に様々な仕掛けを施しました。
今回は、日本で最初の職業デザイナー杉浦非水の傑作をご紹介します。

PAGETOP

  • 解説
  • 今後の放送予定
  • バックナンバー
  • テーマ曲
  • よくあるご質問
  • ご意見・ご感想
  • TOPへ戻る
書籍販売情報 CD販売情報 ビデオ化待望の第二弾 豪華BOXセット発売中!