KIRIN~美の巨人たち~

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菱川師宣 「見返り美人図」

それは日本人なら誰もが一度は目にしたことのある作品です。今日の一枚、菱川師宣作『見返り美人図』。縦63cm、横31.2cm。浮世絵美人画の最高傑作といわれる肉筆画です。鮮やかな緋色の着物にあしらわれた菊と桜の細やかな模様。豊かな黒髪を優雅に垂らす元禄美人が、何かの拍子にふと足を止め、後ろを振り返った瞬間の美しさが描かれています。しかし、見返り美人とは言いながらも、女性の顔は横向きで視線も表情も判然としません。なぜ、師宣はこの向きで描いたのでしょうか?

浮世絵の創始者といわれる菱川師宣は安房の国(現在の千葉県)にある小さな海沿いの町に生まれました。生家の家業は縫箔師(ぬいはくし)。縫箔とは、布地に細やかな刺繍を施したり、金銀の箔で模様を描いたりする仕事です。少年の頃より下絵を任されていた師宣は、独学で絵を学びめきめきと頭角をあらわしていきました。やがて、師宣は「草紙」と呼ばれる風俗本の挿絵師の道を選びます。
そんな師宣に転機が訪れたのは、40歳の頃のことでした。「武家百人一首」という歌集の挿絵を任された師宣は、当時一介の絵師としては極めて異例ながら、奥付にその名を記されたのです。やがて師宣の名は広く知れわたり、当代一の人気挿絵師となっていきました。

その後、師宣は満を持したように従来の草紙本の常識を次々と覆していきます。それまでは文章の添え物に過ぎなかった挿絵を次第に主役へと押し出していくのです。格段に絵が多くなった本は、庶民から熱狂的に支持されました。やがて文字のない絵だけの本を作り、今度は本から絵を独立させる新しい試みも…。ついには、墨一色の版画に色をつけてしまいました。色彩を帯び、俄然イキイキと輝く版画。これが、のちの多色刷りの浮世絵につながるのです。

そこに描かれる美女たちに人々は喝采を送りました。「菱川ようの吾妻おもかげ」すなわち、師宣の描く美女こそ江戸の女だ、と。そんな江戸美人を描き続けた師宣の渾身の浮世絵が今日の一枚。最晩年の傑作『見返り美人図』です。しかし、師宣はなぜ美人画でありながら、顔が半分しか見えないような不自然な方向に女性を振り向かせたのでしょうか?師宣がこの美人画に込めた思いとは?

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