KIRIN~美の巨人たち~

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東山魁夷 「年暮る」

文豪・川端康成は、ある一人の日本画家にしきりに懇願したといいます。「京都は今、描いといていただかないとなくなります。京都のあるうちに描いておいて下さい」と。画家の名は、東山魁夷。風景画の巨匠です。その言葉を受け、50代半ばに差しかかっていた画家は京都を目指しました。そして6年後、この一枚で旅を終えます。しんしんと降る雪景色に、京都に寄せる切実な願いを込めて。

今日の一枚は、東山魁夷作『年暮る』。京都鴨川沿い、東山三条あたりの風景です。描かれているのは、低く連なる町屋の屋並み。雪がしんしんと降り積もり、空もなければ人の姿も描かれていません。でも、目をこらしてみると手前の家に灯る明かりが微かに見えます。伝わる温もり。彼方から響く除夜の鐘。年の瀬の京都、その繊細優美な世界です。

東山魁夷は遍歴を重ねてきた画家です。当初は洋画家になることを目指していましたが、父の反対に遭い、やむなく日本画の道に進みました。やがて美術学校を卒業すると、日本を飛び出しドイツへ留学。ベルリン大学で美術史を学びます。しかし、帰国後過酷な運命が画家を待ち受けていました。父の莫大な借金、相次ぐ肉親の死、そして敗戦…。落ちるところまで落ちた。そう実感したとき、一つの時代が終わりを告げ、画家は新たな遍歴の旅へと向かうのです。

京都を今のうちに描いておいてほしい。そう川端康成から言われたのは昭和30年代後半だったといいます。しかし、その頃魁夷は揺れていました。昭和25年、42歳で発表した『道』という作品によって押しも押されもせぬ人気画家になった魁夷でしたが、実はその陰で人知れず自問していたのです。「陽のあたる場所に出てくるにつれて、心の中にゆるみが出てきはしないか?」かつての自分を取り戻したい。向かった先は北欧でした。54歳の画家は大自然の静寂の中で、真剣に自らを省みるのです。やがて3ヶ月に渡る遍歴の果てに、画家は日本の美を追求したいとの気持ちにかられました。そして京都へと向かったのです。「今度こそ心をこめて京都を深く味わってみたい」。50代半ばにして始まった新たなる遍歴の旅。その旅の締めくくりとして描かれたこの一枚に、画家はどのような思いを込めたのでしょうか?

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