フランソワ・ポンポン「シロクマ」

19世紀のパリに動物園が開設されたことで、「アニマリエ」と呼ばれた動物彫刻家が活躍。一世を風靡しました。彼らの特徴はリアルな描写。ところがフランソワ・ポンポンは、彼らとは真逆の表現法で動物彫刻に挑みました。中でも代表作となったのが今日の作品『シロクマ』。愛嬌のある仕草で子供から大人までを魅了する、シロクマの彫刻です。ほぼ実物大に大理石で作られた作品で、威風堂々とした凛々しい姿を捉えています。一見シンプルに見えますが、ポンポンが挑んでいたのは、それまで誰も思いつかなかった彫刻でした。

ブルゴーニュ地方出身のポンポンは、20歳でパリに移住し彫刻家を目指しますが、なかなか芽が出ず、あのロダンのもとへ弟子入りします。「本質を捉えることを深く学んだ」とその技を吸収し、ロダンの右腕的な存在に。しかし、ポンポンが挑んだ彫刻は、緻密な人間彫刻を手掛けるロダンとは真逆ともいえるシンプルな作品。なぜツルンとしたシンプルな彫刻になったのか?

さらに、作品に関わっているという“日本のあるもの”とは…?そして、ロダンとポンポン、真逆の作風の二人の大きな共通点とは?
徹底的に動物の動きを観察したからこそ生まれた新時代の彫刻。今までにない表現は見る者を驚かせました。一躍時の人となったポンポン。彼がシンプルな中で表現したかった、その思いに迫ります。