イントロダクション

200年の時空を超え、
マエストロ西本が誘う美しき幻想世界

いまからちょうど200年前、ドイツの作家ホフマンが『くるみ割り人形とねずみの王さま』という小説を発表しました。クリスマス・イヴの夜、くるみ割り人形を手に入れた少女が不思議な人物ドロッセルマイヤーの導きで別世界への扉を開ける・・・そんな幻想的な物語です。

それから約30年後、この小説はフランスの作家デュマによる『はしばみ物語』というタイトルで翻案され、広く知られるようになりました。チャイコフスキーのバレエ『くるみ割り人形』は、主にこのデュマ版のストーリーを下敷きに作曲されています。ロシアの初演は1892年。以後、このバレエが世界中で上演され続けているのはご存じの通り。今日もどこかの街で『くるみ割り人形』の幕が上がっています・・・。

イルミナートバレエ/イルミナートフィルを率いる西本智実が『白鳥の湖』(2014年初演、2015年再演)に続いて挑むのは、西本自身が幼い時から愛してやまない『くるみ割り人形』です。

「部屋の家具の後ろには、小さな人たちが暮らす別の世界が広がっているんじゃないか・・。子どもの頃、私はそんな想像をしていました。これまで何とも思わずに生活をしていた場所が、ある日を境にまったく異なる世界に変わって見える。バレエを見終えた後、そうした不思議な感覚が芽生えるような舞台にしたいと思っています。

暗い背景をともなったホフマンの幻想物語に、秩序を与えたデュマ。時を超えて描かれた二つの原作を丁寧に読み込み、今回の舞台で再び一つの作品としています。これまでのバレエでは欠落していた原作のエピソードも、チャイコフスキーが作った音楽のモチーフと有機的に結びつけ、新たな演出として全体に散りばめました。

あらためて原作と音楽に向き合い、まっさらな状態から創り上げたイルミナートの『くるみ割り人形』に、どうぞご期待ください」

2016年・春・西本智実

主催:テレビ東京/オフィスTEN 特別協賛:積水ハウス株式会社