日銀黒田総裁が指摘する世界経済の構造問題「経済解説委員 池谷亨のページ(仮)」
今週(5月10日)は日銀の黒田総裁が都内で講演を行いました。物価目標や金融政策についての発言が注目されましたが、一方で世界経済が抱える構造問題を黒田総裁が今どうとらえているのか、その一端が見える興味深い発言もありました。
日銀・黒田東彦総裁
世界を悩ます「中間層の没落」
グローバリゼーションに対する嫌悪感の広がりが、世界的に、政治への影響力を
強めています。
トランプ大統領の誕生で、がぜん注目を集めたトピックスですが、
経済のグローバル化の流れが、アメリカ国民...特に中間層の職を奪った...
というのが彼の主張で、そのグローバゼーションに反発する形で、保護主義的な考えが
台頭してきています。
中間層の不満がトランプ大統領誕生につながった
この点について内外情勢調査会の講演(5月10日)の中で、日銀の黒田総裁が、質問に答える形で考えを述べたのですが、とても興味深いものでした。黒田総裁によると、この「中間層の没落」というテーマは、最近の国際的な会議で、常に議論になっているそうです。
この論点について、今、世界には、3つの実態があるようで...
まず、世界的な所得不平等は大幅に削減されているということ。
これは先進国と新興国の間にあった格差のことで、
この格差縮小はまさに「自由貿易」と「技術革新」のおかげだとしています。
その一方で、実は先進国だけではなく、新興国も、一つの国の中で見ると
所得不平等が起きているという事実。
で、三つ目として、この二つの実態に関して、その背後にある「グローバリゼーション」と「技術革新」にどんな関係性があるのか? それ自体もまだ解明されていない...との事。
とかく、我々は政治や金融政策に、今すぐにでも解決してもらいたい...と
願ってしまうものですが、
黒田さんの発言を聞いて、素直に「本当に難しい問題」で、長期戦になるのだろう...と、改めて実感しました。
原因と処方せんは同じ?
黒田総裁の話はまだ続き...
ご本人も、「たぶん...」と前置きしつつ、
この「中間層の没落」の主な理由は、先進国ではテクノロジーの進化、
新興国はまさにグローバリゼーションによるところが大きいとの見方でした。
技術革新は先進国で中間層の所得を奪った?
ただ、先ほどあった、先進国と新興国のギャップの縮小は、
このグローバリゼーションの恩恵によるところが大きく、
先進国でグローバリゼーションを逆行させても、それは解決にはならない。
もっと言えば、財政や社会保障の充実に必要に財源は、
まさにグローバリゼーションから生み出される富なのではないか...という見方でした。
グローバリゼーションが、「原因」でもあり「対応策」でもある...という点が、
問題をややこしくしています。
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プロフィール
池谷亨
テレビ東京 報道局 解説委員(経済担当)静岡県沼津市出身
慶應義塾大学・理工学部卒 スポーツ、バラエティー担当のアナウンサーから2000年に報道局に異動。以後「OPENING BELL」「NEWS モーニングサテライト」などのキャスターを歴任。2014年からの3年間はNY支局から世界経済の動向を伝える。
好きな食べ物...納豆 そば スイカ
きらいな食べ物...ニンジン
日々鍛錬を続ける奇跡の50歳。
