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テレ東

2018.3.9

JR九州が豪華列車「ななつ星」で紡ぎだす〝地域愛〟:カンブリア宮殿特別編 

カンブリア宮殿特別編 

JR九州が豪華列車「ななつ星」で紡ぎだす〝地域愛〟

いま注目の経営者や組織のトップに村上龍と小池栄子が迫る「カンブリア宮殿」。3月1日の放送に登場したのは、30億円を投じて作った豪華列車「ななつ星in九州」が話題のJR九州(九州旅客鉄道)の唐池恒二会長。「カンブリア宮殿特別編」では、番組では放送されなかった唐池会長のトークを公開する。

JR九州は豪華列車「ななつ星」を〝デザイン&ストーリー列車〟と呼ぶ。特別なデザインと走行する地域に関連したストーリーを表現した列車という意味だ。温泉リゾートの由布院の魅力を凝縮した「ゆふいんの森」や指宿の竜宮伝説をイメージした「指宿のたまて箱」など個性溢れる列車が九州各地を走っている。これらのデザイン&ストーリー列車は、九州の観光客増加に貢献しているという。

「1つ1つの列車に物語がある」

小池:JR九州のデザイン&ストーリー列車は全部で12種類。どれも個性的なデザインと面白い名前が付いていました。こうした観光列車はJR九州が先駆けなのですか?

唐池:そうですね、全体に広げたのがJR九州だと思いますし、一番数が多いのもJR九州です。私たちは観光列車と言わずデザイン&ストーリー列車ということで、1つ1つの列車が単に観光、単にリゾートではなく列車自体にデザインがきちんと備わっている。そして1つ1つの列車に物語があって、木ネジ(*「ななつ星」の車両にプラスでもマイナスでもない星形ネジを2万3000本使用)も、誰も気づかなければ見つけられないのですが、星形の木ネジを見つけた瞬間に物語を感じていただく。全てのデザイン&ストーリー列車には物語がふんだんに用意されています。

小池:12種類の物語があるということですね。

村上:物語が必要ではないかと思ったのは由布院との出会いだと書かれていましたね。

唐池:由布院は今でこそ全国区ですが、昭和50年頃までは近くにある別府に押されていました。由布院には鄙びた湯治場、鄙びた温泉街しかなかった。由布院の心ある人達が立ち上がって、巨大ホテルも入れずに手作りの和風旅館でずっとおもてなしをしてきた。それが今となっては由布院に学ぼうとか目指そうとか言うことで、全国の温泉都市のモデルになっていった。由布院を今のように作るまでの物語が本当に面白い。それが由布院に深みを与えているのではないかなと思いますね。

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博多駅と大分の温泉地、由布院駅を1日2往復しているのが「ゆふいんの森」。登場したのは1989年でデザイン&ストーリー列車の先駆けだった。車両の中は、座席のシートから天井まで緑の木々でいっぱい。名前通り、森の中にいるような列車だ。

村上:歴史だったり、その人達の地域に対する思いだったり、独特の雰囲気があるところ。由布院は町の人達が町のことを考えている感じがしないですか?

唐池:そうですね。最初に志のある2~3人の方が始めた町作りも、今はもう2代目、3代目と育って来ました。今は20代の若者が中心になって由布院をもっともっと面白い町にしようと、ほとんど連日、みんなで集まって「こんな町にしよう」とか盛り上がっている。そのプロセスがいい。町作りは出来上がったものではないと思うのです。そのプロセスにみんなの思いや情熱が入っていきますから。それが訪れる人に言わなくても伝わるんですよね。


小池:感じるってことですかね。

村上:変な言い方ですが、町全体に喜怒哀楽があるような感じがする。

唐池:町を人に例えれば町の人生を感じるみたいな、そんな町じゃないですか由布院は。

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「列車が町のシンボルに そして町作りの中心に」

村上:結局デザイン&ストーリー列車は、移動手段ではなく観光資源であり旅の目的にされますもんね。


唐池:「指宿のたまて箱」も他の列車も観光資源にとどまらなかった。町の人達はその「たまて箱」なり、「はやとの風」を町づくりの軸にしてきました。指宿のお祭りでは「たまて箱」という列車のお神輿が出る。それから指宿の旅館とホテルは、この列車ができた頃から女将さんたちが集まって「たまて箱」にちなんだメニューを考えることになって「たまて箱」メニューができました。色々工夫を凝らして、ある旅館は蓋を取ると湯気の出るような、そこに蒸したブタや魚があるとか。本当に列車が1つの町のシンボルになっていって、それを中心に町作りが繰り広げられている。私達もそこまでは想像しなかったです。

村上:そうなんですか。

唐池:はい、観光資源になるのは狙ったところですが、町の人達がそれを育ててくれたといいますか、それを町のシンボルとして価値を高めてくれたのは町の人の力です。

村上:町の人たちが町の価値を共有できてアイデアの軸になっていったってことですよね。

唐池:そうですね。「指宿のたまて箱」は終点が指宿駅で近くに指宿市役所がある。この列車が1日に2往復か3往復しますけれども、市役所の前を通るたびに市役所の方が市役所の前まで出て手を振ってくれるんです。

小池:へー。

唐池:その手前には指宿商業高校があって、その高校生も列車が通ると校舎の窓から乗り出して手をふってくれるんです。

小池:本当ですか。

唐池:それをお客様は一番喜ばれます。

小池:自分が乗車している立場だったら何かすごく嬉しいです。何か迎え入れられている気もするし。

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「地方創生とは地域の人が自分の地域に自信と誇りを持つこと」

7年連続で増収を続けているJR九州。実は収入の6割以上は鉄道以外の事業で稼いだものだ。これは本州のJR3社と比べても圧倒的に多い割合となっている。羽田空港にあるJR九州の直営店「うちのたまご」では親子丼(750円)が人気だが、使われる卵もJR九州の養鶏場で生産している。事業の多角化に力を入れるJR九州は、農業まで始めていた。

小池:鉄道会社が農業までやるのはちょっと驚く方がたくさんいらっしゃると思います。

唐池:九州は農業王国と言われ、日本の食物自給率は40%くらいですが九州は60%くらいですよね。福岡県を除くと、(九州の)自給率は100%を超えています。その農業王国の九州でさえ、農地が荒れ果てている。ところどころ。耕作放棄地で雑草が伸び放題の土地があまりにも目につく。これが農業王国かと悲しい。もう本当に悲しくなる。だから農業王国の九州を何とかできないかなと。聞きますと「後継者がいない」と言う。みんな若者は都会に出ておじいちゃんおばあちゃんだけが残された広大な農地を営んでいる。それで、どんどん耕作をしないで、ほっぽらかしにすると。JR九州は九州全ての地域で社員もOBもたくさん住んでいます。そうした人の力を使えば後継者不足もなんとか補えるのではないかと。そして農村風景という日本の観光にとって大事な宝物をキチッと維持できるのではないかと。いくつもの思いから農業に入りました。

村上:農業は都市部以外の再生を狙っているような単純な問題ではないんですね。

唐池:もう九州全域を元気にしたいということですよね。実際に農業に入ると、たくさんの雇用が生まれた。雇用が生まれるということは、ものすごく地域が元気になる。そして人の行き来が活発になりますから、これまた元気になると。「ななつ星」を走らせて、ある人から言われました。「『ななつ星』は地方の活性化のお手本」だと。「九州の人がみんな『ななつ星』を誇りに思って自信に思っている。自信と誇りこそが地方創生の一番の力」と言われ、私はその通りだと思う。町を元気にするとか地方創生とかいうのは、何も経済力が上がっていくとか、人が賑やかになるということではなく、住んでいる人が自分たちの地域に誇りと自信を持つ。これが一番、地方の創生にとって大事ではないかと思うのです。

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https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/





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カンブリア宮殿

カンブリア宮殿

多彩なゲストを迎え、村上龍が日本の今を切り取るトークライブ。

放送日時:放送日時:テレビ東京系列 毎週木曜 夜10時

出演者

ゲスト:九州旅客鉄道株式会社 代表取締役会長 唐池恒二 メインインタビュアー:村上龍  サブインタビュアー:小池栄子

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