カンブリア宮殿特別編「情報は隠さず公開する」 生活クラブが追求する安心安全
いま注目の経営者や組織のトップに村上龍と小池栄子が迫る「カンブリア宮殿」(毎週木曜夜10時~)。3月8日(木)の放送に登場したのは、生協の1つで毎年1万人も会員を増やしている「生活クラブ」。「カンブリア宮殿特別編」では、放送されなかった生活クラブ顧問・河野栄次さんのトークを公開する。
「コープみらい」「パルシステム」など全国には様々な生協=生活協同組合がある。そもそも生協とは、消費者が出資金を出して組合員になり協同で運営・利用する組織のこと。「生活クラブ」もその1つだが、徹底的にこだわるのが「安心安全」だ。農薬の使用からパッケージの材質まで500項目以上の厳しい基準を設けている。扱う食品や生活用品の9割以上はプライベートブランド商品で、なんと消費者である組合員自身が開発に携わってきた。組合員が市販の牛乳に不満を持てば自分たちで牛乳工場を建設し、鶏肉に不満があれば自らこだわりの品種の生産にまで乗り出してきたのだ。

「原材料選びから加工まで消費者が関わる」
小池:組合員の女性の方々が開発されたというウインナーをいただきましたが、組合員は素人さんですよね。実際どこまで商品開発に携わることになるんですか?
河野:どこまでっていうことじゃなく、原材料から始まって加工工程まで含めて、それから容量とか品質規格とか、そういうところまで全部。
小池:全部ですか。
河野:パッケージもやります。
小池:へえ。
河野:それは生産者との間において、かなり長い時間がかかります。
小池:何度も何度もやり取りしてということになりますもんね。

村上:生産の詳しい知識がない素人だから思い切ったことを生産者に対して主張できるということはないんですか?
河野:生産者にとってみれば考えられないことは常に起こるんですよ。なぜかと言うと食べる側から見た価値概念でものを言いますから。作る側にとってみればやっぱり効率よく、そういう意味で言うなら生産者の価値があるわけです。そこはものすごくぶつかりますね。
一番最初のウインナーを開発した時には、通常ならウインナーソーセージは羊の腸に詰めて、そして燻煙してからボイルするんですよ。ところが無添加にするため逆にしてくれって言ったんです。ボイルしてから燻煙してくれと。そうすると日持ちがよくなるんです。その代わりウインナーが重なりあうと、そこは色がつかないんです。
これ、なんかまったくど素人の発想ですね。燻煙が最後がいいという。そういうことも戦いですね。
村上:でも戦いと言っても、目的というか志が一緒じゃないとできない作業ですよね。
河野:全くそうです。だから、どこにもないことをやっているわけですから、常に仮説を立てながら一緒に実験していくようなもんです。
小池:でも楽しいですね。組合員の方も「無理だろう」と思いながら話し合いながらどんどん実現していくという達成感で商品に愛情がひときわ生まれるでしょうし。

「情報は隠さず公開すれば不安がない」
村上:民間企業と生活クラブのプライベートブランドというのは本質的にどこが違うんですか?
河野:一番違うのは、やっぱり原材料込みの情報公開です。生活クラブで取り扱っているものは全部インターネットで検索できるようになっていますから。何を使っているかも。もし防腐剤を使っていたら防腐剤を使っていることを書きます。一番いけないのは使っていて書かないことです。
今一番困っていることは、食品の放射能汚染の問題です。生活クラブは、もの凄く検査しているんですよ。もしかしたら日本で一番かもしれません。そして、基準値以下という概念がないんですよ。基準値は作りますけど、基準値より下でも情報開示します。そうすると不安がありません。
村上:確かにそうですけど、簡単じゃないですよね
河野:だから自分で最後は判断してもらって、食べ物は。僕が「安全」なんて言っても信用しなくていいんですよ。自分でたしかめてくださいというのが僕の考えです。
村上:「自分で」というのがキーワードですね。
河野:そうです。
村上:大手の小売がやるプライベートブランドは基本的に大量のロット数でコストを下げてですね、ナショナルブランドよりも安く売るというのが目的の1つのような気がするんですよ。生活クラブはちょっと違いますよね。
河野:生活クラブは基本的には"食料の安全保障"という考え方なんですよ。だからここで作っているものは、できるかぎり国産の原料です。国内で製造するものじゃないとたしかめに行けないじゃないですか。
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