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「フカヨミ+」民泊は日本で普及するか 石鍋仁美論説委員に聞く

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BSテレ東

2018.3.19 日経プラス10

小谷: 住宅の空き部屋に旅行者らを有料で泊める「民泊」が6月に解禁されるのを受けて、15日から事業者の自治体への登録が始まります。凶悪犯罪に利用されるなど、信頼が揺らぐ事態もあるなか、法整備をきっかけに日本での普及は加速するのでしょうか。日本経済新聞の石鍋仁美論説委員に聞きます。民泊の解禁について、石鍋さんはどうとらえていますか。

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小谷キャスター
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石鍋論説委員(3月12日放送)


外国人観光客誘致の重要な要素

 「観光立国を目指す日本にとって民泊は、外国人観光客を呼び込むための重要な要素になります。法規制前の『グレー』なイメージを払拭して拡大していくためには、『合法民泊』の堅実な運営が行政や業者に求められます。そのために行政への登録が始まるわけです」

小谷:事業者が自治体に登録することによって、何が変わるのでしょうか?

 「行政に登録することで、深夜の騒音や、誤ったごみ出しなど、利用者と近隣住民との間にトラブルが生じた際の責任の所在を明確にしておき、迅速に対応できるようなシステムづくりが始まります。現在、民泊事業に関与するのは宿泊する人を除くと、『家を貸す人』とエアビーアンドビーのような『住宅宿泊仲介業者』の2者ですが、新しい仕組みでは『管理する人』が加わります」

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小谷:民泊での「管理」とはどういう役割でしょうか?

 「『家を貸す人』は、家主が滞在したまま空部屋を貸す『ホームステイ型』と、家主が家にいない『不在型』に分かれます。トラブルが生じやすい『不在型』の家主は、鍵の管理やトラブル対応を『住宅宿泊管理業者』に委託する決まりとなりました。住宅宿泊管理業者は鍵の管理のほか、清掃や名簿の管理、宿泊者へのマナーの説明など、非常に広範な範囲で業務を手掛け、責任を持つことになります。一定の知識を持つ個人でもやって良いことになっていますが、現実的には不動産会社など賃貸住宅などの管理経験のある企業が手掛けることになるでしょう。家を貸す人、仲介業者、管理業者、この3者すべてが行政に登録され、6月の民泊の本格スタートに備えることになります。ただ課題が一つあります。それは登録先がそれぞれ異なる点です。トラブル対応を強化する仕組みですが、3つの登録先がスムーズに情報共有でき、何かあった時に素早く対応できるのか、若干の不安が残ります」

小谷:この法整備によって、民泊市場はどう変わるのでしょうか?


自治体で民泊制限の動き

 「合法化されることで、今まで参入に躊躇していた大手企業などが、参加してくることが予想されます。しかし一方で、法整備により本格的に広がることを警戒した『民泊制限』の動きが各地で出ています。例えば、新法では営業ができる日数の上限を年間180日までと定めていますが、条例により上限を更に短くする自治体が続出しています。兵庫県や東京都大田区の規制は最も厳しく、住居専用地域での民泊を全面禁止としました。高い需要が見込まれる京都市でも、住居専用地域での営業は閑散期に限定しています。高級避暑地の長野県軽井沢町でも通年で全面禁止する意向です」

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小谷:軽井沢などには空いている別荘も相当あると思いますが、自治体が民泊を全面禁止の意向を示した背景には一体何があるのでしょうか?


過度の規制の「副作用」も

 「日経新聞が自治体を対象に実施した調査では、自治体が民泊取り締まりの課題として挙げた項目で一番多かったのが『人員や予算』でした。『不動産所有者の情報把握』や『住民の協力』を挙げる自治体も多いです。つまり民泊が本格化する6月以降、トラブルや苦情に対応できないとの不安から、先手を打って規制しているという側面があります。欧米では長期休暇中などに他人に家を貸す文化がありますが、そうした習慣のない日本では、管理する側も住民側も、まだ抵抗感が強いのです。しかし、過度な規制をすると逆に、行政に登録をせずに営業する『闇民泊』が増える危険性もあります」

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小谷:日本では民泊は、なかなか定着しないですね。

 「そうですね。まだ課題が多いのが事実です。一方、地方での農家の暮らしを体験できる民泊などは外国人観光客から大変人気を集めています。リピーターの外国人は、日本の普通の人の普通の暮らしを体験したいという意向が強いので、民泊は格好のサービスになるのです。これまでは法整備されておらず『グレー』な存在でしたが、合法化をきっかけに、こうした地方での成功事例が大きく宣伝され、真似をする自治体が増えてくるかもしれません。外国の人々と接することに慣れた若い世代が運営するようになれば、徐々に広がっていくと期待しています」

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【メインキャスター】小谷真生子 【サブキャスター】水原恵理(テレビ東京アナウンサー)、森本智子(テレビ東京アナウンサー)、林克征(テレビ東京アナウンサー)

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