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どんな場所も”映画館”に変える!新たな「楽しみ方」を生み出す挑戦:WBS

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テレ東

2018.6.28 ワールドビジネスサテライト

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「ワールドビジネスサテライト」 (毎週月曜~金曜 夜11時)では、新企画「イノベンチャーズ列伝」がスタート! 社会にイノベーションを生み出そうとするベンチャー企業に焦点をあてる。そこで、気になる第6回の放送をピックアップ。



興行収入10億円を超える「大ヒット」が相次ぎ、活況にみえる映画業界。全国のスクリーン数も増加傾向だが、実は「映画館の数」で見ると減っている。シネマコンプレックス(シネコン)と呼ばれる大型の映画館が増える一方、郊外や地方を中心に中小規模の映画館が減少の一途をたどっているためだ。多様な映画を鑑賞する「場」が失われつつある中、映画文化を守ろうと、ある"仕組み"を作り上げたベンチャー企業があった。


愛知県岡崎市にある、アウトドア用品大手「スノーピーク」グループが手がけるシェアオフィス。キャンプ用品やテントなどに囲まれて仕事をするという一風変わった空間に、この日は「オフ」の雰囲気を醸し出す約30人の客が集まった。


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※ シェアオフィス「Camping Office osoto」。奥にはテントが...


照明が落ち、始まったのは映画の上映会。この日はインドを舞台にした映画「聖者たちの食卓」が上映された。毎日10万食を無料で提供する寺院のドキュメンタリーだ。観客たちの目は釘付け。大手のシネコンなどでは見る機会がなさそうな旧作映画だが、客たちはもう1つ、普通の映画館との違いを感じていた。「上映中にカレーの匂いがする」(男性客)。


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※ インド映画の上映中、カレーの匂いが漂ってくる...


それもそのはず。この上映会は映画の後、舞台である「インド」に引っかけて、カレーを食べる"交流会"が付いていたのだ。見ず知らずの客同士がカレーをほおばりながらテーブルを囲み、先ほどまで見ていた映画について会話を交わす。ある女性客は「見てすぐに帰る普通の映画と違って、思ったことを共有できていい」と、普段とは違う映画の楽しみ方にご満悦。主催側も「普段来ない人が来てくれる」(スノーピークビジネスソリューションズの飯田圭氏)と、映画の"人を呼ぶ力"を実感している様子だ。


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※ インド映画を観た客同士が、カレーで交流。新しい映画の楽しみ方だ


今回、上映会を実施するために利用されたのが、「popcorn(ポップコーン)」というインターネットサービス。旧作を中心に約130の映画が用意されている。例えば、アスペルガー症候群を題材にしたスウェーデンの映画から、福島県の全町避難になった町に住み続ける男性のドキュメンタリー、1960年代の怪獣映画まで...。普通の映画館ではまずお目にかかれない、個性的な作品ばかりだ。


主催者はこの中から選んだ映画を、上映会の際、ポップコーンからストリーミング配信を受けて上映する。つまりインターネット環境とプロジェクターなど最低限の設備があれば、どこでも上映会を開くことができる仕組みだ。


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※ 「ポップコーン」が用意する約130の映画。旧作だが個性の強い作品が並ぶ


通常、このような上映会を個人が開こうとすると、主催者は高い場合で30万円ほどの上映料を支払う必要があり、チケットが十分に売れないと赤字になる。そこでポップコーンは、売れたチケットの「枚数に応じて」権利元に上映料を支払う仕組みを作り上げた。これを利用する主催者は初期費用の負担が少ないため、利益を確保しやすい。ポップコーンに払う手数料と、権利元への上映料は、合わせて800円ほど(作品によって異なる)。これに主催者は場所代や食べ物代、飲み物代などを自由に上乗せして、チケット代を設定できる。


このサービスを生んだのが、東京・江東区に本社を構えるベンチャー企業「ポップコーンシアター」だ。創業者の1人、大高健志共同代表は美大出身。元々は映画やアートなどのクリエイターが資金を募る、クラウドファンディングサイト「MotionGallery(モーションギャラリー)」を運営していた。「(映画やアートは)ビジネスと文化の両軸が必要だが、お金がついてこない難しさがある。それを解消したかった」(大高氏)。


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※ 創業者の1人、大高健志共同代表。映画づくりが「稼げない」ことに問題意識


このクラウドファンディング事業に手応えを感じ始めていた3年前、大高氏にある"転機"が訪れる。


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そんな大高氏の前に現れたのが、現在のポップコーンシアター共同代表、ナカムラケンタ氏だ。ナカムラ氏は以前から、全国の求人情報を載せるサイト「日本仕事百貨」を運営。サイトに載せる記事を書くため、全国の"職場"を訪ねて回っていた。その中で、「いろいろな地域で、昔は映画館があった、昔は人通りがすごかったという話を聞く。そういう人たちに、映画の上映会はとても求められている」と感じたという。


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※ ナカムラケンタ共同代表(右)。求人サイト運営を通じ、地方のニーズに気付く


映画を見る「場」が失われつつある地方で、逆に映画への欲求の高まりを感じたナカムラ氏は、クラウドファンディングを通じて知り合っていた大高氏に、ある提案をぶつけた。

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映画業界に明るい大高氏と、地方の事情に詳しいナカムラ氏。異色の2人が奔走し、2017年に新サービス「ポップコーン」が産声を上げた。今では、上映会の主催者や観客などを合わせた会員数は4000人。カフェや宿泊施設など多様な場所で600回以上の上映会が行われた。さらに今後、「観客だった人たちが"伝える側"に回れる仕組みとしてポップコーンが広がると、映画人口の裾野も広がるのでは」と大高氏は期待する。


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※ スタートから約1年で上映600回。場所も飲食店から宿泊施設まで多様化


「観客を"伝える側"に変える」。そのための取り組みはすでに始まっていた。大高氏らは去年から、上映会のノウハウを伝える講習会「ポップコーン・スクール」を開催。すでに50人ほどが受講した。その1人は「地方はイベントの機会がなく、そういう所に楽しいことを持っていきたい」(20代の学生)と上映会への意欲を語る。


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※ 映画業界の現状から、上映会を開くノウハウまでを伝える講習会を開催


映画を楽しむ「場所」や「スタイル」を多様化し、裾野を広げようとするポップコーンの取り組み。大高氏はその先に、こんな未来を描く。「地方にミニシアターが復活して、その周辺にポップコーンのシアターができる。それらを連動させて『新作はミニシアター、旧作はポップコーン』といった形で盛り上げていき、映画文化を"日常"にするのがゴールだ」。


詳しくは「テレビ東京ビジネスオンデマンド」へ!

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ビジネスや生活に役立つ「自分につながる」経済ニュース番組。ヒット商品を先取りした「トレンドたまご」、経済の最新情報を伝えるコーナーなど。

放送日時:テレビ東京系列 毎週月曜~金曜 夜11時

出演者

大江麻理子、滝田洋一、山川龍雄、相内優香、須黒清華、片渕茜、北村まあさ

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