フロッピーにはスマホ写真が1枚も入らない:平成テック#4
バブル経済で始まった「平成」。その30年間は、"アナログ"から"デジタル"へ大変革を遂げた時代だった。パソコンやインターネットが一気に普及。コミュニケーションツールはポケベルから携帯、そしてスマートフォンへ。
便利なテクノロジーは、次々と世の中を席巻し、社会や文化に影響を与えた。私たちの生活を大きく変えたあのテクノロジーは、一体どのようなものだったのか?全4回シリーズで検証する。
SDカード、コンパクトフラッシュ、USBメモリなど、容量が大きくても小さな記録メディアが主流のいま、懐かしいアイテムと言えば、「フロッピーディスク」だ。
磁気ディスクの一種で、大きさは8インチ、5.5インチ、3.5インチの3種類。

フロッピーの容量は最大1.4メガバイト
容量は最大で1.4MB。これは、スマートフォンで撮影した写真が1枚も入らないほどの容量だ。考えられないほどの小ささだが、1990年代、パソコンのデータ保存や受け渡しは、このフロッピーディスクが使われた。
その後、音楽や画像データが普及すると使われる機会も減り、2009年にはフロッピーを作っていた日立マクセルと三菱化学メディアが撤退。SONYも2011年に製造を中止する。
秋葉原でフロッピーを売る店を発見!
ところが、今でもフロッピーディスクを販売する店がある。
東京・秋葉原にある「MAG-LAB」。店内には、DVDやブルーレイディスク、CDなどと並びフロッピーディスクが。製造は中止されたはずなのになぜいまも売っているのか?
店員の大野一さんによると「元々、記録メディアを扱う卸業をしていたため、現在も在庫を販売している」という。
それでは、どんな人がフロッピーディスクを必要としているのだろうか。
「法人のお客様がほとんどです。医療関係の書類や制御システムで古いパソコンを使っている会社は、それにあわせフロッピーディスクを未だに使っているようです」
90年代はフロッピーディスク用のドライブが標準搭載されているパソコンが多く、フロッピーディスクを使わざるを得ないという理由のようだ。
フロッピーが伝統工芸を支えていた

そんなフロッピーディスクを使っている現場が京都市にあった。
訪ねたのは、上京区の西陣織の老舗「小川織物」。
店主の小川浩保さんによると、「フロッピーディスクにどんな模様を織っていくのか記録、コンピュータに読み込ませることで織り機に"縦糸と横糸の織り方を指示している」という。
以前は、「紋紙」と呼ばれる穴の空いた型紙が同じ役目を果たしていたそうだ。紋紙は、縦5cm・横30cmほどの型紙で、何枚も繋ぎ合わせて織機にかけることで、柄を作り上げていくというもの。しかし、柄が複雑になればなるほど紋紙の枚数が増え、重さは10~20kgにもなるという。
「繋ぎ合わせた紋紙は重くて、織機にかけるのもひと苦労でした。また柄にあわせ紋紙も変えなければならないので、70代の技術者の分も僕が変える、なんてこともありましたね」
小川織物では26年前にフロッピーディスクのシステムを導入。多いものでは1000枚以上にもなる紋紙が、フロッピーディスクわずか1枚にデータが収まったことで、運搬や保管の手間も解消されたそうだ。
今ではお目にかからなくなった"平成のテクノロジー"が、京都の伝統工芸を支えていた。
*この記事と映像は3月17日に放送した「ミライダネ」を再構成したものです。
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