観光新時代SP!進化する富士山観光&人気の安くて自由な旅:カンブリア宮殿
今回の「カンブリア宮殿」は、夏休み直前SP! 富士山観光のプロ「富士急行」と、安くて自由な旅を提案する「旅籠屋」が登場。多くの観光客が訪れる富士山エリアの観光開発を100年続けてきた富士急行。何度行っても楽しめる富士山観光の戦略に迫る。一方、「旅籠屋」は、自由な旅を楽しんでほしいと全国各地のロードサイドに他にはないホテルを展開。家族4人で1万円からと価格も安くて、リピーターが続出している。
日本一の山を世界に拓くプロ 富士急行のエンターテインメント力
世界遺産となった富士山には、国内外から観光客が多く訪れる。山梨県内の大月駅から走る富士急行、毎日多くの観光客が利用する。富士山に一番近い鉄道の車窓からは、富士山が見え、絶景列車として人気だ。また、途中下車した観光客が向かった先には真っ赤な五重の塔があり、富士山と一緒に写真におさめるのが大人気となっている。
そして富士急といえばここ、年間220万人が訪れる富士急ハイランド。「フジヤマ」「ド・ドドンパ」などの不思議なネーミングの絶叫マシーンが有名だが、実は、ここからも富士山の絶景を望める。絶叫マシーンを次々と投入しているのが社長の堀内光一郎。幼少期からジェットコースターの英才教育を受けた堀内が仕掛ける観光戦略とは。
霊峰・富士山を身近な世界的観光地に!
『富士を世界に拓く』を創業精神として、運輸事業からレジャー・サービス事業、不動産など幅広い事業を展開する「富士山の伝道師」富士急行。富士の原野を1920 年代から開発。富士の荒野に1 本のレールを敷くことから始めた。今でこそ富士山と富士五湖は世界的観光地として脚光を浴びているが、富士急行が創業した大正末期は、富士山はまだ遠くから仰ぎ見る霊峰であり、富士五湖や山麓の景勝を知る人は稀だった。
麓に到達するにも大変な時代に「富士を世界に拓く」の精神を持って1926 年に創業した。
その後も進化の歩みを止めない富士急。絶叫マシーンと真逆で、3世代でも楽しめるリサとガスパールタウンや、ふじやま温泉、フジヤマミュージアムなどを展開するほか、さらに、手軽にホテルのような感覚でキャンプが楽しめる「グランピング」の施設もオープン。新たな富士山観光を切り拓き続けている。
日本唯一"アメリカ式モーテル"チェーン
賑わう高速のサービスエリアの隣に1軒の宿がある。ファミリーロッジ『旅籠屋』だ。家族4人で1泊1万円からと安い上、サービスも最小限なことから気軽で自由な旅ができると人気になっている。そんな旅籠屋のモデルは、アメリカの映画にもたびたび登場するロードサイドにある「モーテル」だ。全国65店舗になった旅籠屋は、観光地から車で45分以内のロードサイドや高速のサービスエリアの中にある。全国の旅籠屋を回って旅行を楽しむ"旅籠屋ファン"も増えている。長野県の宿に泊まっていた60代の夫婦も、年に3、4回、まるで別荘のように各地の旅籠屋を利用し、自由な旅を満喫している。一般的なホテルのリピート率が30%なのに対し、旅籠屋のリピート率は60%以上。その人気の秘密に迫る。
乗り越えた規制の壁 地方の町おこしの切り札に
アメリカのモーテルに泊まりその自由さに感銘を受けた甲斐は、アメリカ式モーテルを日本で始めたいと考えた。規制の壁にぶつかり、自治体の担当者からは「ラブホテルでしょ」と、とんでもないレッテルを貼られる。ここから、各自治体と交渉を繰り返し、建物を改良するなどして逆境を乗り越え、全国65店舗にまで拡大した。そして、これまでに撤退した店舗はない。赤字でもその地域のために必要ならば撤退しないと決めているのだ。
素泊まりの旅籠屋では、客は周辺の店で食事をしたり、買い物をしたりする。甲斐は、そのため旅籠屋が出店することは地域にもメリットがあるという。こうしたことが地方の町おこしにつながるのではないかと、今度は甲斐のもとに自治体関係者が出店のお願いに来るようになったのだ。
岡山県井原市に65軒目の旅籠屋がオープン。とくに観光地もない場所で採算が取れるのだろうかと思われるが、甲斐は"旅籠屋ファン"が予約して来ると自信を見せる。