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「『ガイアの夜明け』はアニメと勘違いされていました(笑)」大久保直和チーフプロデューサーが語る”経済3番組”制作秘話

ビジネス

テレ東

2018.8.22

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テレ東"経済3番組"と呼ばれる「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)、「カンブリア宮殿」(毎週木曜夜10時)、「未来世紀ジパング」(毎週水曜夜10時)。その3番組すべてに携わり、今年6月には著書『テレ東のつくり方』(日本経済新聞出版社)を出版。話題となっているテレビ東京報道局 大久保直和チーフプロデューサーを直撃取材! 前後編にわたり、著書の見どころや番組の制作秘話をお届けします。


――著書『テレ東のつくり方』が話題を集めています。この本は、どのような思いで執筆されたのでしょうか?


「経済3番組を長年やってきたので、経験を後輩たちに残したいなと思ったのがきっかけです。これから、メディアを目指す学生たちにも参考になれば嬉しいです。ただこれは、本書にも書きましたが、僕はたまたまテレビ番組作りの舞台裏にいるだけで、この仕事のプロセスは、例えば食堂の人が新しいメニューを考えたり、ITの人が新しいアプリを考えたりすることにも相通ずる部分がたくさんあるのではないかと思っています。皆さんに読んで頂き、何かひとつでもアイデアづくりのヒントになるようなことがあれば嬉しいですね」


――これまで「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」「未来世紀ジパング」と、いわゆる「テレ東経済3番組」すべてに携わってきたわけですが、改めて、それぞれの番組の魅力はどこにあると思いますか? まずは「ガイアの夜明け」から...。


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「『ガイアの夜明け』は、経済の舞台裏で働く人たちに注目し、視聴者が"自分事"として捉えることができる内容なので、共感を集めたのではないでしょうか。トヨタ自動車のような大企業も取り上げつつ、回転寿司やリサイクルショップなど"身近なものもみんな経済なんですよ"という大きなくくりで取り上げたところが最たる魅力なのかなと...。経済は、大学の経済学のような難しい話ばかりでなく、"生きていればみんな関わっているんですよ"ということを、映像で見せることにこだわって制作しています。スタート当初は、『ガイアの夜明け』というタイトルが全く浸透しておらず、"アニメ?"と言われたり、"取材をさせてください"と電話をしても、外部の人はみんな"はぁ?何それ"という感じでした(笑)。『ガイアの夜明け』という名前だけで通じるようになったのは、番組開始から2~3年後でしょうか。そのあたりの秘話は、『テレ東のつくり方』にも書きましたので、よろしければご覧になって下さい(笑)。


あとは、先輩方がナビゲーターとして役所広司さんをキャスティングできたことも大きかったですね。番組の看板になりました。正直、僕らが構成作家と作った台本を、あれだけの名優にやってもらっていいのかな? と思いましたが、役所さんは、一人芝居を面白がってやって下さり、いろんな実験もさせていただきました。2代目の江口洋介さんも、毎回真剣に時間をかけて打ち合わせに応じていただき、すっかり番組の"顔"になっています」


――続いて、「カンブリア宮殿」の魅力は?


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「『カンブリア宮殿』は、『ガイアの夜明け』の4年後となる2006年4月に、"次をやるぞ"と僕の上司が立ち上げた番組です。もちろん、タイムリーな企業を取り上げるという企画面の魅力もありますが、"村上龍のトーク・ライブ"と銘打っているように、この番組は、村上さんの聞く力によるところが大きいと思いますね。村上さんが聞くと、普通の人が聞いても返ってこないような答えが相手から出てくるんですよ。いろんな角度から取材相手を研究し尽くしているからこそ、本音を引き出すことに成功しているんでしょうね。そしてそこに、超賢い小池栄子さんがいて...。小池さんは勘がいい方で、作り手が「そっち」と思う方向に行ってくれるので助かります。企業についても、よく勉強していらっしゃる。 村上さんと小池さんは、性格でいうとタイプが違うお2人だと思いますが、結果的には、ベストマッチングカップルだったということですね。スタートの段階でどこまで計算していたかはわからないですけど(笑)」


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――3つ目となる「未来世紀ジパング」は、大久保CPが中心となり、2011年11月に立ち上げた番組だそうですね。


「残っていた題材が"世界"だったので...(笑)。もちろん僕自身もそこをやりたかったんですけど、他の2番組と比べてテーマ的に遠いものを扱うので、今まで以上に苦労しましたね。広くて遠いものを近づける作業で格闘し、いつもギリギリまで粘って制作しています。一口に"経済3番組"と言っても、視聴者はあまり、"経済を学ぼう!"という目線で見ていないと思うんですよ。『ガイアの夜明け』だったら自分たちに近い人が頑張っているのを見て、自分も頑張ろうと刺激を受ける。『カンブリア宮殿』なら、"うちもこういう社長だったらいいのにな""こういう上司になりたいな"と共感したり反発したりしながら見る。僕自身、横川竟さん(すかいらーく創業者。現・高倉町珈琲会長)の回を作りながら、"80歳になってもあんなに元気で頑張るには、今、何をすべきなのだろう"と考えさせられましたから...。そして『未来世紀ジパング』は、"海外で起きていることも、日本の生活に何かしら影響を与えているんですよ"ということを伝えたい番組。特に若い人たちには、内向きにならず世界に目を向けてほしいですね。働く人、ひいては生活者にインスピレーションや刺激を与える番組を送り続けたいと思っています」


今回、無料見逃し配信サービス「ネットもテレ東」では、大久保CPが厳選した「カンブリア宮殿」6作品を、「傑作選」と題し、2回にわけてお届けします。これまで600回近く放送してきた中でも、選りすぐりの作品をまとめて見られるまたとないチャンス! そこで、各回の制作秘話を聞きました。


【傑作選】
9月11日(火)9時59分まで配信中
「RIZAPグループ社長 瀬戸健」(18年2月8日 OA)※『テレ東のつくり方』で紹介
「一澤信三郎帆布社長 一澤信三郎」(18年5月10日 OA)
「相澤病院理事長 相澤孝夫」(18年5月24日 OA) ※ギャラクシー賞5月月間賞


――各回の見どころや裏話などを聞かせて下さい。


●2018年2月8日放送「あのライザップ登場! 『結果にコミット』の全貌に迫る!」
RAIZAPグループ社長 瀬戸健


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「まず『ライザップ』は、皆さんご存じの会社ですけど、CMのインパクトが強すぎて、経営者がどんな人なのか知られていないんじゃないか、ということで制作した回です。社長の瀬戸健さんは、30代とあって若いですが、経営の勉強もかなりされていて、深い話が聞けたと思います。あんなにイケイケなCMを放送しているのに、ご本人は服にお金をかけていなかったり、家族でファミレスに出かけていたり、ギャップが大きかった回ですね。私が面白かったのは、村上龍さんと共通項があったこと。ライザップは"結果にコミットする"ために、トレーナーが利用者の話を聞くことを非常に大切にしています。村上さんは『日本の学校では、話の"聞き方"を教育していない』が持論で、『聞く力は大事ですよね』と、瀬戸社長に共感していました」


●2018年5月10日放送「京都オンリーワンのものづくり! 奇跡の老舗かばん店の全貌」一澤信三郎帆布社長 一澤信三郎


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――「一澤信三郎帆布」は、ご自身が手掛けた作品ですが...。


「思い入れがある回ですね。一澤帆布は、10年以上前に兄弟げんかで"骨肉の争い"とニュースになったんですね。その後ぱったり話を聞かなくなっていましたが、京都の制作会社から企画提案を受け、"へえ~そんな風に変わっていたのか"と思ったのが、制作のきっかけとなりました。社長の信三郎さんは相続争いで最高裁で負けながら、その後に半沢直樹みたいな大逆転があって今に至っています。そのいきさつは、信三郎さんもずっと表舞台で語られていなかったので、十数年ぶりにテレビに出て話したという意味でも価値のある回になったと思います。オンエア後には店の前に大行列ができ、店頭にあった鞄がほとんど売れてしまったそうです。番組では、"残業なしで5時半に帰る会社"と紹介していましたが、信三郎さんは『大久保さんのせいで社員たちも残業して、1か月くらい大変になってしまった(笑)』と言いながら喜んでおられました」


●2018年5月24日放送「「救急医療」で地域の信頼を勝ち取った 苦境・地方病院の復活劇!」相澤病院理事長 相澤孝夫


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――「相澤病院」の回は、きっかけが意外なところにあったそうですね。


「きっかけは、スピードスケートの金メダリスト 小平奈緒選手です。いつも新聞記事などで"小平奈緒(相澤病院)"と所属先が出ていたので、"何で病院なんだろう?"と気になっていたのが発端です。いざ取材を始めてみると、理事長の相澤孝夫さんは本当に素晴らしい地域医療を実践している方で、まさかこれほどの医療ドキュメントになるとは正直思っていなかったですね」


――この作品は、ギャラクシー賞(※)月間賞を受賞しました。


「テレビ業界は、普段視聴率しか評価の物差しがないので、こういう権威ある賞をいただけるというのは、テレビマンにとっては大変嬉しいことです。弊社でも『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』『YOUは何しに日本へ?』『家、ついて行ってイイですか?』なども受賞していますが、報道局の番組では久々で...。しかも、スタートして間もない番組が注目されがちな中、13年目にして初めて『カンブリア宮殿』が選ばれたというのも、感慨深かったですね」


※ギャラクシー賞とは...日本の放送文化の質的な向上に貢献した番組や人、団体に贈られる賞で、放送批評懇談会が1963年に創設。


制作秘話を踏まえつつ、この機会にぜひ、「カンブリア宮殿 傑作選」を「ネットもテレ東」で! 波乱万丈な社長たちからの金言を、新たな観点でさらに深く心に刻むことができるかもしれません。


大久保 直和
テレビ東京報道局報道番組センター チーフプロデューサー
1968年生まれ。91年テレビ東京入社。92年より報道局勤務、政治部で宮沢喜一首相、加藤紘一氏等の番記者を務め、97年北京支局長。2002年「ガイアの夜明け」ディレクター、09年同チーフプロデューサー(CP)、11年「未来世紀ジパング」CP、16年より「カンブリア宮殿」CPを担当。現在は、「日曜ゴールデン 池上彰の現代史を歩く」チーフプロデューサーも担当。著書に「テレ東のつくり方」(日本経済新聞出版社)がある。


【傑作選】
9月11日(火)9時59分まで配信中
「RIZAPグループ社長 瀬戸健」(18年2月8日 OA)※『テレ東のつくり方』で紹介
「一澤信三郎帆布社長 一澤信三郎」(18年5月10日 OA)
「相澤病院理事長 相澤孝夫」(18年5月24日 OA) ※ギャラクシー賞5月月間賞


※後編は9月12日(水)配信予定です。

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。

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