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テレ東
現場で奮闘する人たちの姿を通して、さまざまな経済ニュースの裏側を伝えるドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」(毎週火曜夜10時)。11月6日(火)の放送では、移転が完了したばかりの豊洲市場に密着。2年間に及ぶ取材のVTRとともに、豊洲で新たなビジネスに挑む仲卸業者の戦いを追いかける。
移転に揺れた2年...「築地」を愛した男の決断
今年10月、築地市場は83年の歴史に幕を下ろし、豊洲市場が本格稼働した。築地は世界一の魚市場としてにぎわっていたが、一方では市場を通さない産地直送システムなどの影響で、年間取扱量は減少。豊洲への移転には多額の費用がかかることもあり、この3年間で約100社の仲卸業者が廃業している。移転後の事業継続を決めた仲卸にとっては、豊洲は生き残りをかけた戦いの舞台となるのだ。
築地最大級の仲卸「山治」も移転を決断した業者の一つで、番組は2年前から社長の山﨑康弘さん(49歳)に密着取材を行なっていた。築地と同様の広大な売り場を確保し、数千万円もの設備投資をした「山治」は、豊洲でも従来と変わらぬ"目利き"を武器に商売を続けていく。山﨑さんは「人情や言葉のやりとりがあってこそ市場」という思いを胸に、客との信頼関係や豊洲ブランドを作り上げていこうと気持ちを新たにする。
移転延期を経てようやくオープンした豊洲市場に対して、地方の漁業関係者の中には懐疑的な目を向けている人々も。東京都の職員たちは各地の漁港を訪れて、豊洲市場の特徴や魅力を改めて説明するなど、信頼回復のための努力を続けている。
鮮魚と青果がタッグを組んだ新プロジェクト始動
今回の移転を機に、新規客の開拓を積極的に狙う動きも出始めている。移転直前の8月、仲卸業者の小川万寿男さんは、豊洲市場近くのタワーマンションに魚を納品した。マンションの自治会が主催する夏祭りで海鮮焼きに使われるという。北海道で水揚げされた初サンマや肉厚のホタテなど、小川さんが用意した魚介類は人気を呼び、屋台には行列ができていた。仲卸業を家族3人で切り盛りする小川さんは、大手仲卸のようなスーパーマーケットを相手にする商売ではなく、マンションの自治会のような小規模な新規客を発掘しようと模索している。
10人の従業員を抱える「倉田商店」の倉田俊之さん(56歳)も、従来の仲卸業に独自のアイデアをプラスして、新たな商売に乗り出そうとしていた。豊洲市場には築地と同様、青果棟と呼ばれる青果市場が併設されている。倉田さんが狙っているのは、その中にある「小馬」という青果の仲卸業者とのタッグ。「小馬」の主力商品であるカット野菜と、倉田さんが扱う魚を切り身にしたものを組み合わせ、"カット済みの加工食材"という形で一般消費者に売り込もうと考えていた。
「小馬」の社長・関根孝さん(58歳)も倉田さんの呼びかけに応じ、10月上旬にプロジェクトが始動。販売を請け負うネットサイト「豊洲の目利き」を新たに立ち上げることを決める。
倉田さんは移転に合わせて、魚の切り身を作る職人を新たに雇用。関根さんもカット工場で材料の袋詰めのテストを重ねていく。
"築地"の大看板を捨てた今、魅力あふれる豊洲ブランドを生み出そうともがく仲卸業者たち。彼らが新天地で繰り広げている挑戦の日々を追った「ガイアの夜明け」は今晩放送。どうぞお見逃しなく!
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