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世界初「人工流れ星」実現間近...”娯楽”と”調査”で一石二鳥!?

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テレ東

2019.12.19 ワールドビジネスサテライト

「ワールドビジネスサテライト」 (毎週月曜~金曜 夜11時)のシリーズ特集「イノベンチャーズ列伝」では、社会にイノベーションを生み出そうとするベンチャー企業に焦点をあてる。「テレ東プラス」では、気になる第22回の放送をピックアップ。

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「流れ星、作ってます」――。普通なら耳を疑うような、こんな事業に大まじめに取り組んでいるベンチャー企業がある。人工流れ星を開発する、2011年創業のベンチャー企業「ALE」(エール)だ。実現できれば、もちろん世界初。いわば「打ち上げ花火」のように、好きな時に、好きな場所で見せることができ、大規模なイベントの演出などで活用を見込んでいる。

innoven_20191219_01.jpg※ALEが開発中の「人工流れ星」のイメージ。イベント演出などでの活用を想定。

「人工流れ星」づくりのプロセスはこうだ。まず独自開発の小型人工衛星を、高度400キロメートルの宇宙空間に打ち上げる。周回軌道に乗ったら、方向や角度を調整し、狙った場所に"流れ星のもと"となる金属製のボールを発射。それが地球の大気圏で燃焼する様子が、地上からは流れ星のように見える...というわけだ。なお、発射された金属ボールは高度60キロメートルあたりで燃え尽きるので、地上への影響はないという。

innoven_20191219_02.jpg※この小型人工衛星から"流れ星のもと"となる金属球を、狙った方向へ発射

innoven_20191219_03.jpg※金属球はこんなに小さい。材料は「企業秘密」。青や白など5色を表現できる

「人工流れ星は3秒から10秒の長さで、スピードはゆっくり流れる」。熱っぽく説明する女性が、創業者の岡島礼奈社長だ。流れ星を人の手で作り出すという、この常識外れのアイデアを思い付いたのは2001年のこと。当時、東京大学で天文学を専攻していた。「しし座流星群」を見に行った際、友人と交わした「流れ星って、理論的には人工で作れるよね」という会話が全ての始まりだった。博士号取得後、外資系金融機関への就職などを経て、2011年にALEを創業。賛同者は徐々に増え、多くの投資家、企業、大学の協力を得て開発を進めてきた。

innoven_20191219_04.jpg※ALE創業者の岡島社長。「人工流れ星」を思い付いたのは学生時代

そして2019年12月6日。人工流れ星の"もと"を発射できる人工衛星打ち上げの日を迎えた。多くの報道陣と、記者会見場のネット中継でロケット打ち上げを見守る。「5、4、3、2、1、ゴゴゴゴゴ...」。ロケットが空高く上がっていく。やがて燃料タンク部分が切り離され、宇宙空間での人工衛星をカメラが映し出した瞬間、会場全体に歓声が響き渡った。創業から8年、人工流れ星を「現実」のものとする衛星の打ち上げが、ついに成功した。

innoven_20191219_05.jpg※日本時間12月6日夜、アメリカの民間ロケットで衛星の打ち上げに成功。

innoven_20191219_06.jpg※宇宙空間に無事届けられ、カメラが映したALEの人工衛星「2号機」。

その夜のALE社内。社員らが「エール」ビールを手に取り、打ち上げを始めた。岡島社長が挨拶に立つ。「何だろう。2号機、本当に大変だった...」と、途中で声を詰まらせた。2号機とは今回の衛星のことで、実は打ち上げのタイミングを急に早められたり、延期されたりと、度重なるスケジュール変更を強いられていた。1週間前の11月29日には、打ち上げを控え記者会見まで開いていたのに、多くの記者の前で発射20分前に「延期」を自ら知らせる羽目になった。そうした苦労も、打ち上げ成功ですべて報われた。

innoven_20191219_07.jpg※ALE社内。度重なる打ち上げ日程の変更で、社員らはそのつど膨大な作業に追われた

これで、翌2020年の春にも世界初の「人工流れ星」をお披露目できそうだという。ただ、岡島氏らが見据えているものは、実はイベント演出などのエンターテインメントに加え、もう1つある。「データビジネス」だ。

流れ星が燃え尽きる大気圏あたりの高度は、環境データがなかなか取れない世界。そこに"流れ星のもと"を意図的に打ち込むALEは、燃え尽きるまでの様子を衛星や地上から測定することで、様々な"未知のデータ"を取得できるのだ。これを研究機関などに提供することで、気候変動メカニズムの解明や、気象予測などに役立てられるという。「流れ星が大気のデータを取りながら、地上を盛り上げて、人々に何かを感じてもらえる。それは、自分が届けたいものですね」(岡島社長)。"エンタメ"と"リサーチ"の両面で、人工流れ星は世界に大きなインパクトを与えることができるか。

innoven_20191219_08.jpg※ALEは人工流れ星で「娯楽」と「調査」2つのビジネスを展開へ(写真は創業当時)

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ビジネスや生活に役立つ「自分につながる」経済ニュース番組。ヒット商品を先取りした「トレンドたまご」、経済の最新情報を伝えるコーナーなど。

放送日時:テレビ東京系列 毎週月曜~金曜 夜11時

出演者

大江麻理子、滝田洋一、山川龍雄、相内優香、須黒清華、片渕茜、北村まあさ

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