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おそるべき宝の山! 「人工衛星」のデータが私たちも無料で使えるってホント?

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テレ東プラス

2020.3.4

jinkoeisei_20200304_00.jpg画像素材:PIXTA

宇宙に浮かぶ大きな"目"「人工衛星」。天気予報やGPSでおなじみですが、宇宙ビジネスの市場規模は年々急成長している今、人工衛星に熱い視線を注ぐ起業家たちも増えているんだとか。

そんな折、「私たちも人工衛星を無料で使えるらしい」との情報を聞きつけました。使えるものなら使いたいけど、そもそも「人工衛星」ってなんですか? 宇宙ビジネスや人工衛星の最前線を伝えるメディア『宙畑』編集長の中村友弥さんに聞きました。

jinkoeisei_20200304_01.jpg▲『宙畑』編集長・中村友弥さん。

「人工衛星とは、ざっくりいうと猛スピードで地球の周りをくるくる回っているもの。気象庁が運用する気象衛星『ひまわり』は有名ですよね。一言で人工衛星といってもいろんな種類があるんですよ。大きく分ければ5種類の人工衛星が私たちの上空を飛んでいるのです」(中村さん)

1.山や海でも通信できる!BS放送や飛行機のWi-Fiでもおなじみ「通信衛星」
2.ポケモンGOや自動運転でも活躍!GPSで知られる「測位衛星」
3.天気予報や地形の情報などを教えてくれる「地球観測衛星」
4.宇宙人はいる? 天体観測や宇宙実験を行う「科学衛星」
5.新たな衛星技術の実証を行っている「技術試験衛星」

「ちなみに、Amazonが打ち上げを予定している3200機の人工衛星は『通信衛星』ですね。近い将来、さらにいろんな民間企業が人工衛星を打ち上げる時代がきます。そんな今、とくに注目が集まっているのは『地球観測衛星』です」(中村さん)

そんなことまでわかるの!?「地球観測衛星」ができること


では、「地球観測衛星(以下、衛星)」ではどんなことができるんでしょう? 中村さんのナビゲートのもと、私たちが衛星を使ってできることをまとめてみました。

すごいぞ衛星① 世界の様子が一目瞭然! グーグルアースのような世界が見える

jinkoeisei_20200304_02.jpg▲上空を飛んでいる衛星の目を通して、地上の様子が見えます。なお、積んでいるレンズの性能によって異なり、たとえば右のWorldViewなどは車の台数も余裕で数えられるほどの精度!(画像提供/宙畑)

すごいぞ衛星② 過去に撮られた写真も閲覧でき、定点観測ができる!

jinkoeisei_20200304_03.jpg▲衛星データは過去に遡って閲覧できます。この写真は2016年12月に着工し、2019年11月に竣工した国立競技場。解体されて、着々とできていく様子がわかります(画像提供/宙畑)

すごいぞ衛星③ 紫外線や赤外線、電波による世界も見える!

「私たちの目は可視光しか見えませんが、地球観測衛星の目は、可視光はもちろん、紫外線や赤外線、電波といったフィルターを通すことで、いろんな世界を見ることができるのです」(中村さん)

jinkoeisei_20200304_04.jpg▲オゾンホール、地表面、植物プランクトン、森林風倒被害、海面水温、土壌水分、降雨立体構造といった「できること」がずらり。これらはほんの一部というから驚きです(出典/JAXA)

航空写真のようなカラーの世界が見えるかと思えば、水や土、植物など、独自の波長があるモノは、その波長だけを抽出して見ることも。「ちょっとサクラの木だけ見るか」なんてこともできちゃうし、衛星から知られざるお花見スポットを探すことだって可能なんです。

また、光学のデータだけではなく、地上に向けて電波を放ち、跳ね返った世界を見ることができる衛星もあります。お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんを映すエコー写真と同じような仕組みで、たとえば航空写真では雲に覆われて見えない地表の様子が、白黒の画面で克明に見えたりします。だから、雨の日に起きている森林の違法伐採を見つけることもできるのです。

すごいぞ衛星④ 人間の命と財産を守るためにも活躍している!

jinkoeisei_20200304_05.jpg▲これは衛星で撮影したデータのうち、標高が低くなった(土が減った)部分と標高が高くなった(土が増えた)部分を抽出し、土砂災害の被害状況を示しています。(画像提供/宙畑)

洪水で浸水したエリアも明確にわかるため、保険の適用時に使われるケースも増えているとか。衛星は、人の命や財産を守るためにも活躍していたんですね。

衛星データ大集合! 誰でも使える『Tellus(テルース)』とは


「こうした地球観測衛星を中心とした衛星のデータが一箇所でみられるようになっているのが『Tellus(テルース)』です。これは経済産業省がさくらインターネットに委託して作った衛星プラットフォームと呼ばれるもの。ここにアクセスすれば、いろんな衛星のデータが無料でカンタンに見られるんですよ」(中村さん)

jinkoeisei_20200304_06.jpg▲2019年2月にリリースされた『Tellus(テルース)』

『Tellus』には、例えば0.5mの高性能光学衛星から撮られた情報のサンプルが公開されています。

「0.5mといえば、たとえば車も1台ずつ見える精度。高速道路のパーキングエリアやディズニーランドの駐車場の日々のデータを集めて、混雑の少ない日を予測するという使い方も可能かもしれません」(中村さん)

jinkoeisei_20200304_07.jpg▲「実際に使ってみましょうか!」と中村さん。『Tellus』にログインしました。

jinkoeisei_20200304_08.jpg▲右側にある「データ選択」をクリックし、「光学画像」にチェックを入れてみると...

jinkoeisei_20200304_09.jpg▲見えた! ここはお台場や新木場の埋立地エリア。雨上がりなのか、荒川からすごい色の土砂が海に流れ出しています。

jinkoeisei_20200304_10.jpg▲赤坂迎賓館を見てみました。庭園に植えられた松が規則正しく点々と並ぶ様子が見えます!

一瞬勘違いしてしまいそうになりますが、これらの画像はリアルタイムではありません。衛星が飛ぶ軌道によっては、再びその地点の上空を通過するまでには数日から数週間かかり、これを"回帰日数"というそう。

「たとえば回帰日数が4日の衛星なら、4日おきに観測することができる仕組みです。衛星画像を使うときは、地上のリアルタイムのデータに組み合わせたり、衛星が撮りためた過去のデータなども合わせて解析して使うことが多いですね」(中村さん)

『宙畑』編集部が選ぶ! 衛星データの活用アイデア


『Tellus』には、衛星データが見られるほかに、植物の植生データや標高データなど、地上のさまざまなデータが取り込まれています。こうしたデータを組み合わせることで、いろんな活用が可能になるそう。実際に宙畑編集部がチャレンジした衛星活用法を紹介しましょう!

衛星活用アイデア① 広い海で絶好の釣りポイント探し

jinkoeisei_20200304_11.jpg▲漁場は水温変化の激しい潮境に分布することから、衛星で「水温」をチェック(黄色の点は出港する港の位置)。なんと、この方法で『宙畑』は驚きの釣果を得たのです...!(画像提供/宙畑)

衛星活用アイデア② 透明度バツグンの天国ビーチ探し

jinkoeisei_20200304_12.jpg▲「淡い水色」を良いビーチの指標として全世界を探索してみると、国内外で数々ヒット。これはバハマ諸島のひとつ。サンゴ礁や気温、緑の多さなどを指標とすることも可能とか(画像提供/宙畑)

衛星活用アイデア③ 意外な穴場が見つかる? 春のお花見ポイント探し

jinkoeisei_20200304_13.jpg▲「桜」の波長に赤色を割り振り、春にだけ現れるものに絞ることで、「桜」のエリアを抽出。全国に拡大して探せば、意外なお花見スポットが見つかるかも?(画像提供/宙畑)

衛星データはアイデア次第で"宝の山"に!


私たちが気軽に使える無料の衛星データがたくさんある一方で、たとえばビーチにいる人の人数までわかるほどの高解像度データは1枚100万円を超える大金で取引されることもあるんだとか。こうした有償データは、どんな人がどんな目的で使っているの?

「ほとんどは、国が安全保障の面で購入するケースですね。あるいは、株の投資家が自動車企業の車の出荷台数を見るために購入したケースも聞いています。近年は、ゴールドマンサックスといった金融系企業も衛星データから得られる情報には注目しているようですよ」(中村さん)

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ビジネスの観点でいえば、2017年にアメリカの「Ursa Space Systems(アーサ スペースシステムズ)」が、衛星画像による世界中の石油の貯蔵量をレポートするサービスをリリース。つまり、空から石油の量をチェックできるってこと?

「そう、石油貯蔵タンクの屋根に映る影の深さを測ることで、タンク内の原油量を推測できるのです。まさに衛星データは、アイデア次第で宝の山なのです。衛星を使って世界中に散らばった情報を集めれば、将来の予測に役立てることも夢ではありません。私たちが主力となって発展させていける分野なんですよ!」(中村さん)

こうした人工衛星の最新ニュースをはじめ、ゼロから始める利用方法、活用アイデア、衛星画像の作り方などは『宙畑』でも数多く記事になっています。面白そうだと思った方はぜひのぞいてみて! 宇宙の技術が、すでに私たちの手の届く範囲に迫っていたということに、きっと驚くはずです。

【取材協力】
『宙畑』編集部

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