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社員食堂からSDGsへ意識を高めるパナソニックの取り組み

ビジネス

BSテレ東

2021.1.11

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環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」だ。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。

12月18日の放送では、パナソニックのSDGsの取り組みを伝えた。

社員食堂に「サステナブル・シーフード」を導入


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大阪・門真市のパナソニック本社では2018年3月、日本企業としては初めて社員食堂のメニューに環境に配慮した持続可能な水産物「サステナブル・シーフード」を導入した。取材したこの日のメニューは環境に配慮して育てられた南三陸産の戸倉っ子カキを使ったカキフライだ。

パナソニックCSR、社会文化部の福田里香部長は「なぜパナソニックが海なのと思われるかもしれないんですが、網領に『社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す』とあり、1929年からこのような考え方でやってきています。食べることによって消費者としての行動を変革する。SDGs14番『海を守る』ということに貢献していけるのではないかと考えた次第です」と話す。

社員食堂からムーブメントを起こし、一企業市民として環境を守っていく。そんな思いから導入したサステナブル・シーフード。導入から2年半以上がたち、今では社員の間で「サスシー」という呼び名で認知度が高まっている。

パナソニックの社員食堂を運営するエームサービスの吉岡正登チーフは「普段ですと魚のメニューを食べられる率は5%から15%くらいなんですけれど、サステナブル・シーフードのメニューを提供すると多い時は30%を超える。魚食率が実質的に上がってきている」とその効果を語る。

パナソニックではサステナブル・シーフードについて、自社だけでなく他社へ積極的に周知する活動も行っている。

無線機器、電源モジュールなど電子部品の製造を手がけるタムラ製作所。この企業もパナソニックから「サステナブル・シーフード」の話を聞き、2020年1月に東京と埼玉にある2つの事業所の社員食堂に導入した。SDGsをいかに自分ごととしてとらえるか。全従業員への浸透を図るため、社員食堂が選ばれた。

社員の声を聞くと「海で獲れる魚とかが減っていることをこの取り組みで初めて知りました。継続的に美味しいものが食べられる、ずっと食べていけるというのがわかって、とてもよいことだなと思いました」とSDGsへの関心が高まっており、調理するシェフも「やはりこれを活かしていかないと今後の食に関して、魚が絶えてしまうのではないかと思う」と話す。

タムラ製作所CSR推進本部エルダーエキスパートの岡本恭一さんは「SDGsは単に生産とか販売するだけでなく、実際の社員への福利厚生やそういった行動も含まれ、SDGsへの貢献になる」とコメント。従業員がSDGsを意識して業務にあたることで、企業が考える社会課題の解決につながるとタムラ製作所は考えている。

パナソニックCSR・社会文化部の喜納厚介課長はサステナブル・シーフドを他社へも積極的に周知する取り組みについて「社員食堂という多くの企業が持っている場での活動なので、多くの企業が連携をして、海の豊かさを守ろうという大きな社会課題に向かって取り組むような事例になると考えている」と語る。

日本で初めてASC認証を得た養殖カキ


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パナソニックが力を注ぐサステナブル・シーフードの取り組み。きっかけは社会貢献活動で支援をしたカキの養殖が日本で初めてとなる国際認証「ASC認証」を取得したことだった。

「養殖いかだの数は3分の1に減ったんですけど収穫量は2倍に伸びました。もうびっくりですよね」

こう語るのは宮城県漁業共同組合志津川支所戸倉出張所カキ部会の後藤清広会長だ。

南三陸町に面する志津川湾のカキ養殖業は、環境や地域社会に配慮した養殖業だけに与えられるASC認証を2016年3月に日本で初めて取得したが、以前は生産量を増やすための過密養殖が深刻化していた。

カキは通常稚貝を仕込んでから出荷するまで1年かかる。しかし戸倉地区では過密養殖で栄養や酸素の循環が滞り、さらにカキのフンなどで水質が悪化。出荷できるサイズになるまで3年ほどかかっていた。

後藤会長はこの状況をなんとか打開しようと、養殖用のいかだの数を減らすことを提案。しかしそこには大きな壁が立ちはだかりました。

「漁師というのは魚を売って初めて収入ですからね。その収入を自ら減らすようなことをやるっていうことは普通なかなかできないことですよ」

そもそも漁師は自立した自営業者でライバル関係。後藤会長に賛同する漁師は一人もいなかった。ジレンマを抱える中、転機となったのは世界を震撼させた東日本大震災だった。震災により養殖いかだはもちろん、生活基盤も奪われてしまったが、後藤会長はこれを転機と捉え、いかだの数を減らすよう、もう一度仲間の漁師に提案した。

「やってみてダメだったらもう一回考えましょうという感じですすめたんですけど、そしたら想像以上の結果が出ましてね。それには驚きました」

養殖いかだを減らしたことでカキに栄養が行き渡り、品質は向上。成長するスピードも向上し、それまで3年かかっていたものが1年で出荷可能になった。それに伴い漁師たちの収入も以前より増えた。また、いかだを減らしたことで労働環境も向上。早朝から夕方までかかっていた作業が昼前には終わるようになった。

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こうした努力が実を結び、日本で初めてASC認証を取得。サステナブル・シーフードの称号を得た。

「一番大事な環境よりも経済の方に先走ってしまって、その結果やっぱり自分で自分の首をしめたということだったんですよね。私たちは一次生産者ですので環境なくして経済はないので。自然を守るというのは一番大事ですよね」

環境に配慮し、適切に管理されたサステナブル・シーフード。パナソニックは社員食堂を通じ普及に努め、持続可能な社会の実現を目指すという。

「当社だけでいうと従業員は10万人くらいですので、いろんな企業の多くの社員のみなさんに参加してもらうことで、社会的なインパクトが大きくなると考えています。社員の消費行動が変わっていくことで社会が変わっていく。2030年には当たり前になっていたいと考えて取り組みを進めています」(パナソニックCSR喜納課長)

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