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世界初! 被災をリアルタイム予測 保険会社が自然災害に立ち向かう

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BSテレ東

2021.5.14

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環境問題、貧困、ジェンダー、働き方...。国際社会は今、数多くの難題に取り組んでいる。
こうした中、持続可能な社会の実現のために国連サミットで採択されたのが2016年から2030 年までの国際目標「SDGs」だ。

持続可能な社会・経済を作り上げるために、日本は何ができるのか。BSテレ東では『日経スペシャル SDGsが変えるミライ~小谷真生子の地球大調査』と題し、日本の進むべき道を考えるシリーズを2020年3月からスタートさせた。

2021年3月19日の放送では、SDGsを考える大手保険の取り組みを伝えた。

災害対策の一環から生まれた新たなサービス


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2月13日、宮城県と福島県で最大震度6強を観測した地震が発生しました。その2週間後、東京の「あいおいニッセイ同和損保」のオフィスにある災害対応バックアップセンターには、大きな地震の直後とあって、電話がひっきりなしにかかっていました。

実はこの災害対応バックアップセンターは、自然災害が起こったときだけではなく、常設されています。きっかけは、近畿地方を中心に甚大な被害をもたらした2018年の台風21号でした。

「2018年度は大阪地震や北海道地震もありました。台風も被害件数10万件クラスが2つ。東日本震災を除けば10万件以上の災害はなかったので、当社としても非常に対応に苦慮しました」(災害対応バックアップセンターの宮崎真一郎所長)

あいおいニッセイ同和損保では、予想を上回る膨大な書類の処理で支払い業務に支障をきたしました。そこで2019年から災害対応バックアップセンターを常設化し、支払いの自動化を図るなど、対応を強化してきました。

その一環で新たなサービスが生まれました。台風や地震などの自然災害に際し、リアルタイムで被害を予測できる「cmap(シーマップ)」です。

たとえば2019年9月、首都圏にも甚大な被害をもたらした台風15号。「cmap」の画面上には、台風の進路とともに、建物の被害予測がリアルタイムで示されます。

「この分母となる数字が各自治体の総建物数になります。そのうちどれくらい被災するかを想定して、被災件数率を出しています。天気予報と違い、陸上の被害まで見せるのがユニークなところです」(あいおいニッセイ同和損保の多嘉良朝恭さん)

2月の福島県沖地震の際、cmapは震度6弱を観測したエリアで半数以上の建物が被災すると予測しました。

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「早くに被災地規模を把握できる。しかも規模のみならず、主要な被災地域を特定できる。被害の重い地域、軽い地域が"見える化"されます」(多嘉良さん)

cmapのチームは多嘉良さん、黒田真由子さん、小谷彩佳さんの3人。研究者との開発過程で、cmapを保険加入者限定ではなく、ウェブ上で一般公開する道を選びました。スマートフォンでも見られます。

「これだけすごい情報なのだから、当社のお客様限定にすべきだという話もありましたが、いつでも見られる利便性を重視して一般公開しました」(多嘉良さん)

「目の前の課題を解決することしか考えていなかったのですが、出来上がってみたら社会と共有できる価値につながったのでよかったです」(黒田さん)

「これまで保険会社は被害が起きてからお支払いする。そこで初めてお客様対応が始まっていましたが、被災前からお役に立つことができるようになりました」(小谷さん)

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cmapは、MS&ADインシュアランスグループが実施しているサステナビリティコンテストで、2019年度の最優秀賞に輝きました。

MS&ADインシュアランスグループ、サステナビリティ推進室の沖宏治室長は、グループ全社を対象に、コンテストを開催する意味について次のように語ります。

「社会課題の解決という切り口から入る必要がありました。つまり、保険会社目線ではなく、まずお客様が抱えている課題、地域が抱えている課題を考えるところから着手することが重要です。保険会社の存在意義も含めて、発想を変えていかないといけません」

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サステナビリティコンテストで2020年度の最優秀賞に輝いたのは、さらに意外なサービスでした。

大分県杵築市にある牧場。600頭いる牛の首に巻き付けられているのは箱型のセンサー「U-motion(Uモーション)」です。センサーで牛の状態を24時間監視し、異常があればすぐにスマホに知らせてくれます。牛の異常をいち早く見つけ対処でき、治療費には民間の保険も適用されます。

牛1頭の損失額は約140万円。牧場を営む片桐和彦社長は「共済制度が変わって1割は農家負担と人間の保険みたいになった。センサーをつけることで、民間の保険がみてくれるシステムができている。かなりそこはプラスです」と話します。

システムを開発したのは都内にあるベンチャー企業「デザミス」。牛の首につけたセンサーで、立っているか、寝ているか、餌を食べて、反芻しているかなど、牛の状態を24時間監視します。

さらに「疾病」「起立困難」「発情」の3つのアラートをサービスとして提供。できるだけ早く見つけることで、重篤化をなくすことが最大の狙いです。

「牛の診療費補償サービス」という新しいサービス


「Uモーション」は2016年からサービスを開始し、現在約11万頭で活用されています。そこに損害保険会社から、システムと保険をセットにできないかと声がかかり、「牛の診療費補償サービス」という新しいサービスが生まれました。

その新しいサービスを「デザミス」とともに作り上げたのが三井住友海上火災保険です。

農水省担当の宮岸弘和さんと商社担当の村尾昂哉さん。部署の違う2人が、牛の診療費補償サービスを考えついたのは、農業のマーケットを新規に開拓したいと試行錯誤する過程のことでした。

村尾さんは「保険を通じて社会に貢献できることはないかというのは、ここ最近観点として持って営業しているので、その中では大きい取り組みだと思っています」と手応えを語ります。

また、宮岸さんは「保険料の大小以上に社会的な意義のある仕事だと感じています。試行錯誤する中で、保険の機能だけではなく、農家の皆様の経営支援という側面の方が大きいと、気づき始めました。今回の取り組みに限らず、保険会社の今後の機能として、事故の予防や損害からの迅速な回復を支援するサービスを拡大していかなければいけないと思っています」と話します。

「Uモーション」は今後の保険会社の一つのあり方を示すものとなりそうです。

※この番組は、テレ東BIZで無料配信中です。

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。

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