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中国 いよいよ「高齢社会」へ  ITを活用する”スマート養老”とは?

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テレ東

2021.11.19

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長春仁大医院では監視プラットフォームで約250人もの在宅の高齢者のデータを一括で管理している。

中国では少子化が進む一方で、2022年にも65歳以上の人口が全体の14%を超える「高齢社会」になると言われています。大きな課題となっている高齢化に対応するため、中国政府は今、IT技術を活用した介護に力を入れています。"スマート養老"と呼ばれる、その取り組みを取材しました。

中国東北部に位置する吉林省長春市内のマンションに暮らす唐さん夫妻。結婚して50年以上の2人には、今ある願いがあります。

「私たちは長年連れ添っていて、お互いに思いやりがある。自宅はどんな老人ホームよりはるかにいい。中国人は自宅で老いていきたい」(唐さん)

76歳になる妻、孔祥菊さんは心臓に持病があります。一度は老人ホームへの入所も考えましたが、住み慣れた自宅で暮らし続けるため、あるハイテク技術を導入しました。布団の下から出てきたのは、灰色の小さなマットです。

「睡眠の状態、例えばいびき。夜に何回起きるかなど、全部記録される。呼吸が不規則な場合も記録される」(祥菊さん)

マット型センサーが検知しているのは、マットから出入りする空気の量。睡眠中の心拍数などのデータを収集します。さらに胸には小さなセンサーをつけています。

「これは"心電服"。どこでもいつでも心拍が測れる。鼓動が速い、動悸があるなど問題があるとすぐに連絡が来る」(祥菊さん)

先ほどのマット型センサーと違い、こちらは24時間計測。収集したデータはインターネットを通じて、ある場所で管理されています。

夫婦の自宅から車でおよそ20分の場所にある病院「長春仁大医院」。介護施設と高齢者向けの診療科を併設しています。中を進んでいくとーー。

「こちらは私たちの監視コントロールプラットフォームです」(長春仁大医院企画部の姜明マネージャー)

表示されているのは、この病院で管理する高齢者の情報。先ほどの祥菊さんの管理画面もあります。胸に装着していたセンサーによって計測した心拍数がリアルタイムで表示されています。

さらに、心臓や脳の血管などの発病リスクが高くなる睡眠中のデータを重点的に収集しています。その中の一つが呼吸データ。認知症に影響を与えやすいとされる睡眠時無呼吸症候群の症状も一目でわかるようになっています。

「結論も出す。血管内皮の機能が低下。心臓の血管にリスクありと書かれている」(姜マネージャー)

長春仁大医院では昨年、このシステムを導入。約250人もの在宅の高齢者を一括で管理し、異常があればすぐに対応できる体制を整えています。

「中国は早く、極端な高齢社会に突入するかもしれない。高齢化向けの設備、インフラ、人材の蓄積。サービスの蓄積が大量に必要となる。極めて深刻な問題だ」(長春仁大医院の唐晨董事長)

2022年にも高齢社会に突入する中国。2033年には65歳以上が人口の21%を超える超高齢社会になると予測されています。

「老人ホームだけでは足りない。将来、全家庭、特に持病持ちの高齢者の家庭はバーチャルの老人ホームになる。在宅でも互いにつながる"スマート養老"設備の導入、プラットフォームの建設と連携は欠かせない」(唐董事長)

スマート養老の市場規模は約66兆円

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中国の"スマート養老"の市場規模はこの6年で2倍以上に増えている。

ITを活用し、ネットワーク化することで、在宅中心の中国流介護システム"スマート養老"を作るのです。こうした中国の"スマート養老"の市場規模はこの6年で2倍以上に増え、2020年には約66兆円。多くの企業が先端技術を競っています。

深圳に本社を置く「深圳瑞康瀚云科技」は4年前に養老事業に参入しました。尿を検知すると、即座に通報するシステムや、ベッドでの姿勢がリアルタイムでわかるセンサー付きのマットなど、介護現場向けの製品を開発してきました。

一方で、新たな分野にも力を入れています。例えばセンサーとAIを使ったシステムでは「異常心電のほかに、交感神経、副交感神経、心拍変動の信号も収集。精神的プレッシャーの程度も判定できる。対象はプレッシャーが大きく、仕事の負担が重い現役の人たちだ」(深圳瑞康瀚云科技の楊開湘総経理)と言います。

ビッグデータと照合して、AIが病気のリスクを判定。将来介護が必要になる高齢者を少しでも減らしたいのだといいます。

「多くの中年の人は(健康を)さほど気にしていない。でも仕事やライフスタイル、飲食などあらゆることが健康に影響する。このようなシステムを通じて、自分の健康に注目することができる」(楊総経理)

中国政府は高齢者ケアについて「9073」という数字を示しています。老後について、自宅で暮らす人を90%に、地域のコミュニティで介護される人が7%、施設で介護される人が3%という形を目指そうというものです。ただ、実際には"9割を自宅で介護しないと、高齢者が多すぎて手が回らなくなるだろう"というのが実態とされていて、その自宅介護のためにも介護のハイテク化が欠かせないということです。

※ワールドビジネスサテライト


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