高齢者の「諦め」を「希望」に…介護旅行と在宅復帰支援で“最後の願い”を叶えるプロ集団:ガイアの夜明け

6月6日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「“最後の願い”を叶えたい」。

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環境や健康状態により、多くの高齢者があきらめている“秘めた思い”。そんな願いを叶えるのが、介護事業を展開する「P-BASE」だ。
本人や家族の望む旅行を聞き取り、介護が必要な人でも利用できる施設の選定や旅のプランを作成。緊急時に応援を頼める医療機関への連絡など、万全の手配をしてくれる。
この旅行を目的にリハビリに励み、元気を取り戻す人も多いという。

一方、「人生の最後を自宅で迎えたい」という人も。自宅で最期を迎えたい人の割合は69.2%(厚生労働省2017年調査) 。しかし、実際に亡くなった場所を見ると、自宅は15.7%に過ぎず、68.3%の人々が病院で最期を迎えている(厚生労働省2020年調査)。
実は、高齢者が入院すると治療がメインとなるため、ベッドから動かない日々が続くことが多く、結果、介護に頼らず自宅で過ごす体力を失ってしまうのだ。
また、家族が介護に対する不安から、自宅に迎え入れることを拒むケースもあるという。

そんな中、一時入院からの在宅復帰率が88.9%に上るのが、東京・板橋区にある「おうちにかえろう。病院」。入院中、自宅で生活できるためのリハビリや手すりの取り付けなど、家の環境整備まで徹底的に支援する。
「最後の願い」を叶えるプロ集団の取り組みとその思いに迫った。

“あの場所へ行きたい”願いを叶えるプロ集団!


ガイアの夜明け
富山県の春の風物詩「となみチューリップフェア」(富山・砺波市)。
愛知県からやってきた同じデイサービスに通う仲良しグループ。ほとんどが要支援の認定を受け、手助けが必要な人たち。そのため移動には電動カートを使うなどしてチューリップを楽しんでいた。
その後は市内のホテルに移動。夕食は、富山湾で揚がったブリなど、海の幸を堪能できるバイキングを楽しむ。このホテルでは、高齢者に優しい「手押しカート」を夕食会場に常備。さらにツアーにはデイサービスのスタッフに加え看護師も同行するなど、高齢者が安心して楽しめるための工夫が盛り沢山。
今回のツアーは1泊2食付きで11万5500円。安くはないが、ツアーはすぐに売り切れるという。

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このパッケージツアーを手掛けているのが、皆さんが通うデイサービス「P-BASE」(愛知・豊田市)を運営する坂元玲介さん(41)。
「多くの人が、“旅行に行きたいけど行けない”と思い込んでいる。ニーズはあるだろうし、利用者さんのやりたいことを応援できるんじゃないかなと思って始めた」。

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坂元さんが運営するデイサービス「P-BASE」は市内に4カ所あり、約850人の利用者がいる。要介護の認定を受けた人ばかりだが、利用者が今の状況を維持し、悪化を防ぐことを目指している。そのための適度な運動は必要不可欠。坂元さんは、高齢者の旅が、国の介護費用(11兆5139億円 ※2023年度 出所:厚生労働省)を抑えることにつながると考えている。

「要介護にならないために、一生懸命運動したり、他の利用者さんとしゃべったり、旅行に行ったり。自分で楽しみを見つけて、今の要支援の状態で何とか食い止めようと頑張っている」(坂元さん)。

そんな坂元さんがいま力を入れているのが、オーダーメードツアー。

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今回の依頼主は小野田道子さん。
同居する99歳の母・よしみさんは3年前に足を骨折して以来、車いす生活を送っている。さらに認知症が進み、最近では出かけることも難しくなっていた。

「(母が)行きたい所は、在所(故郷)やお墓参り。五平餅が大好きだったので、五平餅が食べたい」と、娘の道子さん。よしみさんが長い間行けていない、夫・小野田静夫さん(享年82)が眠る場所へ連れて行きたいと坂元さんを頼ったのだ。

小野田さんの願いを叶えるため、坂元さんは事前に墓地を下見。段差の高さや車いすが通れる動線があるかどうか、徹底した下調べを行った。

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いよいよ、よしみさんの旅行当日。今回は、娘からひ孫まで4世代にわたる9人の旅だ。
まずは、夫の墓参りに。急な坂だが、坂元さんが想定した通り、タオルを使いお孫さんと引っ張ることで登ることができた。段差も車いすごと抱えて乗り越える。

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見晴らしの良い小野田家のお墓に到着し、念願だった墓参り。
すると「ありがとね」としっかり話すよしみさん。
その後は、近くの温泉旅館で食事会へ。「食べたい」と言っていた五平餅を坂元さんが特別に用意してもらうと、最近は食に興味を示さなくなっていたよしみさんが、なんとかぶりついた。ひ孫に車いすを押されて、久しぶりに温泉も楽しむことができた。
「認知症も進んで、最近は表情がうつむきがちだったが、今日は笑ってくれたし、いい思い出になった。おばあちゃんがはっきり『ありがとう』と言ってくれるのを聞けて、すごくうれしかった」(孫の宇野 咲さん)。

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そんな坂元さんのもとに、さらに難しい依頼が舞い込む。
依頼者は2年前、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された四方博之さん(64)。ALSは全身の筋肉が徐々に動かなくなる病気で、原因は解明されておらず、有効な治療法はほとんどない。

四方さんの願いは「家族と『大阪・関西万博』に行きたい」というもの。20年前、地元・愛知で開催された万博に家族で何度も通った四方さんは、体が動かなくなる前に「家族で万博に行きたい」と願っていた。
難しい介護が必要となる四方さん…坂元さんにとっても、これまでにない旅の依頼だ。
果たして、願いを叶えることはできるのか――。

“自分の家に帰りたい”願いを叶える病院とは!?


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東京・板橋区に、2021年にできた変わった名前の病院がある。その名も「おうちにかえろう。病院」。中も変わっており、ピアノのあるロビーではボランティアによる即席ライブが開かれ、聴き入る人たちの姿が。こだわりの豆を使ったカフェも併設し、近隣の住民も気ままにやって来る。

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「おうちにかえろう。病院」は、急性期病院での治療を終えた患者が速やかに退院し、在宅復帰するための病院。そのため、リハビリを中心に患者をサポートする。
厚生労働省の調査によると、「自宅で最期を迎えたい」と願っている人が約7割いるにもかかわらず、実際に叶えられるのは約2割。
「おうちにかえろう。病院」の病床数は120で、入院日数は平均25日。約9割の人は自宅などに帰ることができている。

院長の水野慎大さんは、「地域に帰るためには地域に慣れる、隣に知らない人、他人がいることに慣れることが必須。暮らしを取り戻すということを考えると、医療じゃない部分に橋渡しをしてつないでいく」と、病院の存在意義を話す。

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3月中旬、病院に新たな患者がやって来た。急性期病院から転院してきた鶴石登幾夫さん(76)は、3年前にがんで肺の3分の2を摘出。自宅に戻って生活していたが、今年1月、誤嚥性肺炎を起こして緊急入院した。
その後、「自宅に戻りたい」という本人の願いを叶えるため、「おうちにかえろう。病院」へ。2カ月間のリハビリを行うことになったのだ。

まずは主治医が、登幾夫さん、妻・真由美さん(84)、一人娘のみゆ紀さんと面談し、今後の方針を決める。「歩けるようになりたい」と登幾夫さん。面談の結果、「歩く」「食べる」という目標ができた。

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登幾夫さんは誤嚥性肺炎の再発を防ぐため、多い時で3時間に1度、痰(たん)の吸引が欠かせない。これは帰宅後も続けなければならない。
妻・真由美さんは「痰の吸引など誰かにサポートしてもらえるのか?」と自宅へ帰った後の介護に不安を抱えていたが、主治医が「介護保険があるので、訪問看護とか訪問診療の先生にサポートしてもらうのが安心」とアドバイス。こうした家族の不安を取り除くことも、この病院の役割だ。

いよいよ、登幾夫さんが家に帰るためのリハビリが始まった。
担当の理学療法士の志村侑哉さんと久しぶりの屋外でリフレッシュした後は、リハビリステーションで歩く訓練。久しぶりとは思えないほどしっかりとした足取りで歩くことが出来た。そして歩けたことに笑顔になる登幾夫さん。

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もう一つリハビリで大切なことが。やってきたのは同じグループの「ごはんがたべたい。歯科」の歯科医。合っていなかった入れ歯を矯正。これも誤嚥を防ぐために必要なこと。
歯科医が立ち会い、矯正した入れ歯で食事する。この日は、ペースト食に加えておかゆなどの固形物に挑戦。家に帰るためには食事のリハビリも不可欠だ。
「何が食べたいですか?」と聞かれると、「肉が食べたいね」と答える登幾夫さん。新たに家に帰った後の目標もできた。

帰宅に向けて、順調にリハビリが進んでいく登幾夫さん。人生最後の願い「おうちに帰る」までに密着した――。

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