マンション「定額制リノベーション」の全貌 費用のブラックボックスを打ち破れるか:ガイアの夜明け
7月18日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「後悔しないリフォーム」。
【動画】マンション「定額制リノベーション」の全貌 費用のブラックボックスを打ち破れるか
都内の新築マンション価格は、この10年で約2倍に跳ね上がった。「家が高くて買えない」という切実な声が増える中で、心地よい住まいを求める人たちは、住宅のリノベーションやリフォームに夢を託している。国土交通省も「中古物件+リノベーション、またはリフォーム」という市場を、現状の12兆円から20兆円に伸ばす目標を掲げている。
一方で、ニーズの高まりに乗じた悪質な業者も存在し、リフォームを巡るトラブルが増加。コストが見通しにくいリフォーム・リノベーションの“どんぶり勘定”を打ち破り、「価格の透明化」は実現できるのか。リフォームが「こんなはずじゃなかった」と後悔する結果にならないための、業界の取り組みを追った。
価格の透明化に挑む「定額制リノベーション」

東京23区の新築マンションが、平均で1億円を超える住宅価格高騰が続く中、中古物件を購入し、自分好みの内装につくり変える“リノベーション”が注目されている。
国も期待し、2023年の時点で12.3兆円の市場規模を、将来的には20兆円まで引き上げる目標を示した(出所:国土交通省)。

この波に乗ろうと「無印良品」を展開する「良品計画」など、異業種からの参入も増加。
リノベーション専門の企業も多く存在する中で、画期的な取り組みを始めたのが、約1300軒もの施工実績がある「グルーブエージェント」(2011年設立)だ。
リノベーションとリフォームに関する調査によると、消費者が最初に想定した予算と比べ、実際の費用は平均5割増しになるという(出所:住宅リフォーム推進協議会)。
新築に比べて安く住まいが手に入るはずのリノベーションだが、費用の内訳が利用者に分かりにくいのが実情だ。
そこで「グルーブエージェント」は、今年、勝負を懸ける新サービス「定額制リノベーション」をスタートさせた。施工ごとに料金が変動する一般的なやり方ではなく、平米数に応じた料金をあらかじめ提示するというものだ。

「定額制リノベ」の開発責任者で、設計企画部の野田歩夢さんは、去年、優れたリノベーション物件を表彰する「リノベーション・オブ・ザ・イヤー」(施工金額1500万円未満部門)で最優秀作品賞を受賞。設計士を目指したのは高校生の頃で、スペインにあるサグラダ・ファミリア(スペイン)への憧れがきっかけだった。

定額制リノベでは、お客にあらかじめ決められた中から設備や建築素材を選んでもらう。床材は、野田さんが選び抜いた約60種類の中から1つ選択、壁紙は約1000種類の中から2種類選べる。「(金額が)高すぎても選ばれない。安くて良い素材があればそれで十分だと思うので、金額は気にしつつ、レパートリーを増やせるようにしている」(野田さん)。
野田さんは設計士としての現場での経験を生かし、約1年かけて素材を選んできた。
定額制なので、見積り書の作成期間は必要なくなり、打ち合わせを5回までにすることで人件費の目途も立てやすい。
「ブラックボックスになっていた費用が分かりやすくなって、自分たちのお家がつくれるようになるといい。やりがいを感じる」(野田さん)。
定額制は可能なのか――。早速、4組のモニターを募って検証することに。
2月中旬、東京・葛飾区。モニターの増田さん一家は、最寄り駅からバスで12分、築41年の物件を約1400万円で購入。キッチン、リビング、ダイニングを一つのスペースにすることで、子どもやペットが伸び伸び過ごせるようにしたいと考えている。
定額制とはいえ自由設計が可能なので、増田さん一家は大胆につくり変えようとしていた。

この日は、「グルーブエージェント」本社で、増田家の内装について打ち合わせ。キッチンで使うタイルの色や、寝室の一部壁紙の色の変更について話し合っていた。
設備にもこだわり、ガスコンロの選択では4万円を上乗せし、掃除がしやすいタイプにアップグレードした。

野田さんが作ったプランには、追加だけでなく、減額のオプションも用意されており、料金は一目で分かるようになっていた。
打ち合わせの結果、67平米に対する定額約1250万円(モニター割引込み)にオプションなど約50万円を加え、約1300万円の見積りに。

3月上旬、いよいよ工事が始まった。古い内装や設備が全て解体・撤去され、あっという間にコンクリートがむき出しの状態に。40年以上たった配管なども全て取り換えるフルリノベーションだ。

工事着工から2カ月。この日、増田さん夫婦が進捗を確認しにやって来た。
最後の打ち合わせで変更した壁紙が、部屋のいいアクセントになっていた。コンロの横には、油はねをしても掃除がしやすい光沢のあるタイルが貼られていた。完成後の暮らしが具体的にイメージできるようになっていたのだ。

しかし、ここで増田さんが目にしたのが、壁や天井、部屋の所々に空いた大きな穴。
マンションの建設当初に配管を通すために空けられていたもので、解体し、配管を移設したことで穴だけが残ってしまったのだ。その穴の数は、なんと15個以上…。
こうした穴が出てくるのはリノベーショではよくあることだが、今回はその数と大きさが想定外だった。
果たして、定額の約束は守られるのか――。完成したマイホームを見た増田さんの反応は?
悪質な「点検商法」のリスク

埼玉・川口市。この街で60年リフォームなどを手がけてきた鈴木 稔さん(77)は、スピーカーで「今、住宅リフォームで悪質な点検業者が横行しています」と、住民に呼びかける。問題になっているのは「点検商法」の広がり。正規の点検を装ってリフォームを迫り、高額請求する手口で、鈴木さんは悪質業者に対して憤りを禁じ得ない。
こうしたリフォームを巡るトラブルの相談件数が増えており、この数年は1万件前後で推移している(出所:国民生活センター)。
都内の閑静な住宅街にある山田さん(仮名・70代)の家。一昨年、山田さんのもとに、見知らぬ業者が訪ねてきた。
「ピンポンと来て、『屋根が痛んでいるようなので、ちょっと見せてください』と。3人で脚立を入れて屋根に上がって、スマホで写真をいっぱい撮って、『ここがこうなっています。かなり傷んでいます』と言うので、『じゃあ見積もりを取ってください』と言ったら、すぐにパソコンで計算して、コンビニで印刷して、見積書を作ってきた」(山田さん)。
その日のうちに契約した山田さんは、屋根と雨どいを交換し、A社(仮名)に600万円を支払った。しかし、価格を調査する団体などが示す水準によると、300万円ほどでできる工事だった(出所:一般財団法人 経済調査会)。
山田さんは「高いなとは思った。『材料費も上がっている』とか言い訳を言うから、そうなのかなと思って。安易にその日に契約したことを後悔している。だまされちゃった」と話す。
そのA社はすでに廃業していた。会社の関係者数人は、違法に高額な工事を請け負ったとして建設業法違反の罪に問われ罰金刑に。事件の中心人物は、一審で有罪判決を受けている。
ガイアは、A社から1年半にわたって仕事を請けていた業者を取材した。

18歳から15年以上、塗装業を続けてきた高橋さん(仮名)は、A社の報酬の多さに驚いたという。1カ月に6軒ほどの塗装工事で、振込額の合計は358万円、相場の1.5~2倍の額が支払われたからだ。
「最初から疑いはあったけど、俺に損がなかったので探りもしなかった。何かやっているのだろうと思っていた」(高橋さん)。
国民生活センターの集計では、点検商法の中でも「屋根」に関する相談が多いという。
「屋根工事は人生の中で何度も行うようなものではないので、訪問してきた業者に言われた金額を、高い、安いと判断するのが難しい」(相談情報部・藤田 樹さん)。
どうすれば、屋根のリフォームトラブルが防げるのか。
集まれ!信頼できる屋根職人
静岡市で屋根の工事を請け負う「長澤瓦商店」。この日、長澤宗範さんは、「雨漏りしているかもしれないので見てほしい」との依頼を受け、静岡市内にあるアパートに向かった。
案内された2階の角部屋の天井裏には、雨漏りが原因と思われる大きなシミが。
大家さんは5年前に雨漏りをしたため屋根を直したが、どういう修理をしたかは分からないという。

長澤さんは悪質な点検商法と差別化するため、まずはドローンを使って屋根の映像を依頼人に見せ、大まかな状況を確認してもらった上で、細部を見るため屋根に上る。

長澤さんが確認したところ、5年前の修理は屋根職人の仕事ではなさそうで、きれいに塗装したように見えるが、屋根板の隙間を塗り固めたことで、逆に水が逃げ場を失っていた。
「長澤瓦商店」が行う屋根の点検費用は5000円。丁寧な説明を心がけ、見積もりは後日作り、点検当日に契約することはない。

ドローンを使った点検でお客に安心してもらう…「長澤瓦商店」にこのやり方を提案したのが、長澤さんとは7年前からの付き合いがある、明正剛典さんだ。
以前、ドローンの会社に勤めていた明正さんは、屋根職人を集め、各地で講習会を開催。ドローンが点検商法撲滅の有効な手段になりえると提案しており、共感した長澤さんは、いち早く取り入れた。
明正さんは3年前に、屋根業者向けのデジタルサービスを提供する「ハウスケープ」(東京・品川区)を起業。顧客管理ソフトやAIを使ったシミュレーションソフトなどを開発・販売している。

さらに、「ストップ!リフォーム詐欺 やねプロ」というサイトを立ち上げ、点検商法撲滅の活動も。中でも力を入れているのが、信頼できる屋根業者のリストを作ることだ。
「消費者がいい屋根屋さんを見つける方法が少ない。僕たちみたいな第三者が紹介することで、“この会社は安心だな”となる」(明正さん)。
現在掲載しているのは、「長澤瓦商店」を含む17社で、職人が屋根の国家資格を持っていることや、修理の目安となる価格を明記。サイトでは、安心して依頼できる会社だとアピールしている。
「やねプロ」に掲載する職人を増やすため、全国を回っている明正さん。ガイアはその活動に密着した。
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