“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情:ガイアの夜明け
8月1日(金)に放送した「ガイアの夜明け」のテーマは「空き家列島ニッポン〜身近に迫る空き家の危険〜」。
【動画】“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情
何十年ものローンを組み、ようやく手に入れた“夢のマイホーム”が、今、次々と空き家になっている。
総務省の調査では、全国の空き家は約900万戸(2023年10月時点)。日本の総住宅数は約6500万戸で、全住宅の13.8パーセントが空き家になっている。このまま対策がなされなければ、2038年には3軒に1軒が空き家になるという試算も。
市区町村別に見ると、全国で最も空き家が多いのは、東京都世田谷区だという。その数、約5万戸。空き家は地方の問題と思われがちだが、東京でも空き家が増え続けているのだ。
しかも空き家はそのまま放っておくと、支払う税金が数倍に上がったり、劣化して高額な修繕費がかかったり、その近辺の資産価値が下がる可能性もあるなど、さまざまな危険をはらんでいる。
今回は、増え続ける空き家の実態をニッポン全国で取材。そこに見え隠れするリスクを考えるとともに、問題に立ち向かう企業や自治体の取り組み、初めて家の終活に直面することになった人々の葛藤や決断を追った。
![“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情:ガイアの夜明け]()
東京23区で最も人口が多い世田谷区。三軒茶屋や二子玉川など人気の街がたくさんあり、約51万世帯が暮らしている。
一方、空き家の数も全国トップで、その数は約5万8000戸(出所:令和5年住宅・土地統計調査)。世帯数日本一の世田谷区でも、この数年で高齢化が進み、空き家が増えていた。
この日、「空き家対策専門チーム」のリーダーで、世田谷区 空家・老朽建築物対策担当係長・千葉妙子さんは、ツタに覆われた物件へ。屋根は崩れ落ち、残った壁にツタがまとわりついていた。
![“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情:ガイアの夜明け]()
現場に立ち会った千葉さんは、「立入証がないと入れない。道も『特定空き家』の所有者の土地なので」と話す。「特定空き家」とは、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家のこと。
世田谷区はこの物件に対し、「除却=取り壊し」を命じたが、所有者はそれに応じていない。
この日は建物を除却するための調査を行ったが、玄関へと続く通路の幅を計ると、わずか97センチほど。解体時、通常の重機が入れない厄介な物件だ。
空き家は、害虫・害獣の発生場所になるだけでなく、犯罪の温床になる危険性もはらんでいる。
世田谷区は、これまで13棟を特定空き家に指定。指定された所有者は、住宅に対する優遇措置を失い、固定資産税を約6倍払うことになる。さらに所有者が対応しないと行政が解体し、その代金を徴収される。
他人事ではない空き家の問題。空き家が1軒あると、周囲の資産価値が3パーセント下がるという調査結果も。
「二子玉川分庁舎」(東京・世田谷区)内にある空家・老朽建築物対策担当部署で、千葉さんが見せてくれたのは、壁一面を埋め尽くす空き家のファイルだ。空き家とは、概ね1年以上使われていない建物のことを指す。
「(空き家は)その方の所有物なので、区が勝手に買い取ったり、何かに活用したりはできない。所有者の方がどういう意向なのか、どう決断するのか、そこを応援することになる」(千葉さん)。
![“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情:ガイアの夜明け]()
そこで民間の力を借りようと、世田谷区が協定を結んだのが「空き家活用株式会社」だった。会長の和田貴充さんは、自身が持つ専門知識で、世田谷区の空き家対策をサポートしている。
![“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情:ガイアの夜明け]()
和田さんと千葉さんが4年前に立ち上げたのが、「せたがや空き家活用ナビ」。行政と民間がタッグを組み、空き家処分の相談ができる駆け込み寺をつくった。
利用料は無料で、リフォームや解体など、さまざまな解決方法を提案してもらえる。
空き家問題で和田さんが注目するのは、所有者の心の問題だ。
「自分が意思決定できないため、モヤモヤしている状態。だからこそ空き家になっている。面倒くさいから放っておこう、もうちょっと待っておこうとか」(和田さん)。
「空き家になってからではなく、なる前にどうするか。予防に向けて動いている」(千葉さん)。
そんな思いから、2人は毎月「住まいと空き家のセミナー」を開催。「“家の終活”指南書」も作成した。
セミナー参加者の1人、小川さん(62)は「せたがや空き家活用ナビ」を利用し、無料で相談している。小川さんが相談している家は、築65年、延べ床面積70平米の2階建て。
所有者は小川さんの母で、4年前から施設に入っている。
![“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情:ガイアの夜明け]()
小川さんは、月に数回神奈川県にある自宅から通い、戸や窓を開けて家の中に風を通していた。この日は2カ月ぶりに母親(84)の姿も。自宅にある古いミシンをかけながら、「自分の家があって、1つの自慢だったような気がする」と話す。2人の息子を育て上げたこの家は、自分が生きた証だ。
家族が暮らした家の処分について、小川さんは、母と弟と1年前から話し合ってきた。
果たして、3人が下した決断とは――。
【動画】“空き家数日本一”は世田谷区「壊せない…」所有者が抱える家の事情
何十年ものローンを組み、ようやく手に入れた“夢のマイホーム”が、今、次々と空き家になっている。
総務省の調査では、全国の空き家は約900万戸(2023年10月時点)。日本の総住宅数は約6500万戸で、全住宅の13.8パーセントが空き家になっている。このまま対策がなされなければ、2038年には3軒に1軒が空き家になるという試算も。
市区町村別に見ると、全国で最も空き家が多いのは、東京都世田谷区だという。その数、約5万戸。空き家は地方の問題と思われがちだが、東京でも空き家が増え続けているのだ。
しかも空き家はそのまま放っておくと、支払う税金が数倍に上がったり、劣化して高額な修繕費がかかったり、その近辺の資産価値が下がる可能性もあるなど、さまざまな危険をはらんでいる。
今回は、増え続ける空き家の実態をニッポン全国で取材。そこに見え隠れするリスクを考えるとともに、問題に立ち向かう企業や自治体の取り組み、初めて家の終活に直面することになった人々の葛藤や決断を追った。
“空き家数日本一”世田谷区…それぞれの家の事情とは?

東京23区で最も人口が多い世田谷区。三軒茶屋や二子玉川など人気の街がたくさんあり、約51万世帯が暮らしている。
一方、空き家の数も全国トップで、その数は約5万8000戸(出所:令和5年住宅・土地統計調査)。世帯数日本一の世田谷区でも、この数年で高齢化が進み、空き家が増えていた。
この日、「空き家対策専門チーム」のリーダーで、世田谷区 空家・老朽建築物対策担当係長・千葉妙子さんは、ツタに覆われた物件へ。屋根は崩れ落ち、残った壁にツタがまとわりついていた。

現場に立ち会った千葉さんは、「立入証がないと入れない。道も『特定空き家』の所有者の土地なので」と話す。「特定空き家」とは、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家のこと。
世田谷区はこの物件に対し、「除却=取り壊し」を命じたが、所有者はそれに応じていない。
この日は建物を除却するための調査を行ったが、玄関へと続く通路の幅を計ると、わずか97センチほど。解体時、通常の重機が入れない厄介な物件だ。
空き家は、害虫・害獣の発生場所になるだけでなく、犯罪の温床になる危険性もはらんでいる。
世田谷区は、これまで13棟を特定空き家に指定。指定された所有者は、住宅に対する優遇措置を失い、固定資産税を約6倍払うことになる。さらに所有者が対応しないと行政が解体し、その代金を徴収される。
他人事ではない空き家の問題。空き家が1軒あると、周囲の資産価値が3パーセント下がるという調査結果も。
「二子玉川分庁舎」(東京・世田谷区)内にある空家・老朽建築物対策担当部署で、千葉さんが見せてくれたのは、壁一面を埋め尽くす空き家のファイルだ。空き家とは、概ね1年以上使われていない建物のことを指す。
「(空き家は)その方の所有物なので、区が勝手に買い取ったり、何かに活用したりはできない。所有者の方がどういう意向なのか、どう決断するのか、そこを応援することになる」(千葉さん)。

そこで民間の力を借りようと、世田谷区が協定を結んだのが「空き家活用株式会社」だった。会長の和田貴充さんは、自身が持つ専門知識で、世田谷区の空き家対策をサポートしている。

和田さんと千葉さんが4年前に立ち上げたのが、「せたがや空き家活用ナビ」。行政と民間がタッグを組み、空き家処分の相談ができる駆け込み寺をつくった。
利用料は無料で、リフォームや解体など、さまざまな解決方法を提案してもらえる。
空き家問題で和田さんが注目するのは、所有者の心の問題だ。
「自分が意思決定できないため、モヤモヤしている状態。だからこそ空き家になっている。面倒くさいから放っておこう、もうちょっと待っておこうとか」(和田さん)。
「空き家になってからではなく、なる前にどうするか。予防に向けて動いている」(千葉さん)。
そんな思いから、2人は毎月「住まいと空き家のセミナー」を開催。「“家の終活”指南書」も作成した。
セミナー参加者の1人、小川さん(62)は「せたがや空き家活用ナビ」を利用し、無料で相談している。小川さんが相談している家は、築65年、延べ床面積70平米の2階建て。
所有者は小川さんの母で、4年前から施設に入っている。

小川さんは、月に数回神奈川県にある自宅から通い、戸や窓を開けて家の中に風を通していた。この日は2カ月ぶりに母親(84)の姿も。自宅にある古いミシンをかけながら、「自分の家があって、1つの自慢だったような気がする」と話す。2人の息子を育て上げたこの家は、自分が生きた証だ。
家族が暮らした家の処分について、小川さんは、母と弟と1年前から話し合ってきた。
果たして、3人が下した決断とは――。
空き家列島の現実…「売れない・貸せない・壊せない」

空き家は、地方都市でも増え続けている。交通の便も良い、群馬県最大の人口を誇る高崎市。この街に、空き家を扱う日本一の企業がある。中古住宅を買い取って再び販売する「カチタス」だ。
「カチタス」の販売戸数は12年連続で日本一。空き家再生ではダントツの実績を誇る。
そんな「カチタス」でエースと呼ばれるのが、群馬エリア課 課長・人見和之さんだ。

買い取った空き家を、まるで新築物件のようにリフォームする。例えば、延床面積81平米の3LDKで、約1400万円。この辺りで新築なら、2000万円前後かかる。

別の日、買い取り依頼があり、協力会社と一緒に空き家に乗り込んだ人見さん。しかし、同行した1人が床下に潜り込むと、大引(床板を支える横木)がボロボロだった。シロアリの被害だという。
さらに家の傾きを計測すると、「すごく悪い。1メートルで14〜15ミリ違う」とのこと。
「全て買い取りたいという目線で見ているが、(買い取れるのは)約1割で9割はお断りする」と人見さん。
最大手でさえ、相談があった9割は買い取れない…増え続ける空き家の現実がここにある。

一方、南アルプスの山々に囲まれた静岡県川根本町(人口約5600人)。
静岡市の中心地から車で1時間半、“日本一の吊り橋密集地”とも言われ、「夢のつり橋」は、「世界の徒歩吊り橋10選」に。環境省認定「澄んだ星空」で全国2位になったこともある町だ。
静岡を代表する銘茶「川根茶」の産地としても知られているが、現状、この町の4軒に1軒が空き家になっている。

「川根本町役場」で対応に追われるのが、経営戦略課 定住・移住推進室の小笠原聡さん。町では「空き家バンク」という登録制度をつくり、所有者が売りたい物件を紹介している。
「空き家が増えると、ゴーストタウンみたいな感じになってしまう。町の活力、元気、活気が失われていく」(小笠原さん)。
そこで小笠原さんが頼ったのが、静岡県内の空き家を買い取り、リフォームして再販する「空き家買取専科」(静岡市)だ。早速、新規事業担当の石川優治さん、査定担当の黒田淳将さんとともに三輪早苗さんが、空き家バンクに登録されている物件を見て回る。

こちらの物件は築93年、延床面積162平米の2階建て。建物の中はきれいで歴史や味が感じられるが、石川さんと黒田さんの査定はシビアだ。本格的な造りの大きな家は改修費用が高くなり、買い取りにくいという。
「川根本町自体、売買が難しい。高い値段で売れるエリアではないので、リノベーション費用に対して(販売価格が)負けてしまう。(通常)100件査定して、実際に買うのは4軒くらい」と石川さん。小笠原さんは、現実の厳しさを知ることに。
空き家は町の景観を損ねるだけでなく、防犯上の問題もはらんでいる。
三輪さんは「誰かがやらないと空き家だらけになってしまう。このエリアだけじゃなく、日本の未来もマイナスになる」と不安を口にする。

役場に戻った小笠原さんは、石川さんたちに、空き家バンクに登録している物件をリフォームする場合、「町が最大200万円を助成する」と条件を提示。切羽詰まっての施策だが、果たして、「空き家買取専科」側の反応は――。
大分・竹田市「訳あり空き家」再生プロジェクト

人口約1万8000人の大分県竹田市。瀧廉太郎作曲「荒城の月」のモデルといわれる岡城。今も武家屋敷や町屋が連なる城下町が有名だが、市内の空き家は3320戸(2024年10月時点)。空き家率は30パーセントを超え、その数値は県内でも突出している。

そんな竹田を体現しているのが、重厚な石垣の上に建てられた、築113年の眞部邸だ。
所有者は眞部正治さん(71)で、長年大分市に住んでいる。大正元年に祖父がこの家を建てた。

そんな眞部邸にやって来たのが、竹田市と協定を結んだ「アルバリンク」地方創生担当の原裕太郎さんだ。「アルバリンク」は、“訳あり物件”に特化した買い取り販売を行っている。
眞部邸が空き家になったのは8~9年前だが、実はかなりの“訳あり空き家”だった。
立派な石垣の上に建っており、重機を簡単には持ち込めない立地。裏側には山が迫っている。さらに老朽化が著しいため、修繕箇所だらけ。解体、改修の難易度が非常に高いのだ。
「じいちゃんたちがつくってここまで来たのに、『はい、さよなら』と壊すのは心惜しい。何か継続してくれたらなという気持ちがある」(眞部さん)。
どうすればこの家を守っていけるのか…。そこで、原さんが考えた一大プロジェクトとは――。
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