【独自】物価高騰で「子ども食堂」が悲鳴 貧困家庭の実情…企業・NPO法人の挑戦:ガイアの夜明け
8月22日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「子どもの食卓を守りたい」。
【動画】独自 物価高騰で「子ども食堂」が悲鳴 貧困家庭の実情…企業・NPO法人の挑戦
現在、日本の子どもの9人に1人が貧困状態にあるという。貧困が進むことで、「孤食」や「食の格差」が深刻化し、子どもたちの「楽しい食卓」が奪われつつあるのだ。
こうした中、子どもに食や居場所を提供する「子ども食堂」が全国で増え続けている。
去年、子ども食堂の数は1万を突破し、公立中学校の数を上回った。
しかし、その多くは善意や限られた資源で運営されており、物価の高騰が食堂の運営者に大きなダメージを与えているのも事実。持続的な支援体制や、困った全ての子どもたちへ手を差し伸べるための新たな仕組みづくりが求められている。
ガイアは、子どもの貧困の実態や課題を描きながら、そこに立ち向かう人々や企業に密着。子どもの食卓を守るためのさまざまな取り組みを追った。
貧困家庭を支援する団体「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」の支援員・関口いづみさんは、子どもたちの未来を守るために見回りを続けている。
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この日、訪ねたのは埼玉県内のアパート。中に入ると、荒れた台所に明かりのつかないリビング…。中学1年生の愛さん(仮名)はこの家の住人で、関口さんは、2年間サポートを続けてきた。関口さんは県から委託されて、月に10回以上、こうした貧困家庭を訪問している。
愛さんの母・俊子さん(仮名)は10年前に離婚。以前は医療関係で働いていたが、精神疾患と糖尿病を理由に退職。外出が困難になり、生活保護を受けている。
俊子さんは食事を作ることができないため、冷蔵庫の食材はほとんどが賞味期限切れ。
「ごはんを食べない日もある。1日1食とかはざら。昨日はほうれん草のみそ汁だけだった」(俊子さん)。見かねた関口さんたちは、スーパーで買ったお弁当を関口さん親子へ。
しかしこの家には食卓もなく、家族の会話もない…。
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子どもに大切な温かい食卓が減り続けている日本。関口さんは「子どもが育つ環境がどんどん悪くなっていると思う。子どもたちは希望の塊、私はずっとそう信じて生きてきたが、その子どもたちが希望を語れないし、あまりにもひどい」と話す。
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日本は子どもの貧困率が11.5パーセントで、先進国の中で19番目に高い(出所:こども家庭庁 資料より)。9人に1人は満足な食事がとれていないのが現状だ。
千葉市内にある「TSUGAnoわこども食堂」は人気のスポットで、月1回、無料のお弁当を配布している。子ども食堂とは、子どもが1人でも行ける、無料または低額の食堂のこと。運営者はNPO法人やボランティア団体、飲食店などさまざまだ。
子どもの貧困対策として始まり、現在、全国に1万カ所以上。重要なコミュニティーの場になりつつある。
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東京大学 特任教授 湯浅 誠さんは、子ども食堂が急拡大した背景について「地域交流の衰退が最大の要因。少子高齢化が進み、子どもがいなくなる、高齢者が増える、人口減少が進む、小学校が廃校になる、商店街がシャッター通りになる…地域のつながりがなくなってきているので、自分たちでそのつながりを取り戻そうという動き。民間の取り組みなので、何の規格もない。自分たちの思い思いの規模、頻度、スタイルでやれることが(開設する)ハードルの低さに結びついている」と語る。
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「TSUGAnoわこども食堂」代表の田中照美さんは、社会福祉士という本業の傍ら、ボランティアでこの食堂を切り盛りしている。
運営を手伝うのは、近所の子どもたちだ。元々この食堂を利用しており、いつしか手伝ってくれるようになった。中には「家庭環境が悪すぎて、家にいたくないからここに来た」と話す青年も。
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今日のメニューは、うどん、ちくわの磯辺揚げ、豚肉入りのきんぴらなど…この品ぞろえで栄養満点。しかし最近は、コメの入手に苦労している。子どもたちには美味しいものをとコシヒカリを使っているが、先月買った10升が、すでに残り少なくなっていた。
食堂を開くのは月に1度、1回150食で食材費は約10万円。地元企業の寄付金が主な財源だが、物価高でギリギリのやりくりが続いている。さらに、お弁当箱などの資材も高騰。それでも田中さんが食堂を続けるのは、自身の経験から。
子どもの頃、田中さんの両親は共働きで、夜、帰りが遅くなることも多かった。
「隣に住むおばあちゃんが『今日はお父さん、お母さん遅いな~』と言って、夕飯を食べさせてくれた。そうやって私もこの地域で大きくなったので、その恩を返したいと思った」。“あの頃の自分のように、子どもたちに温かい食卓を…”と奮闘している。
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千葉市内の子ども食堂が利用する食材の集積所。この日は知り合いの企業が、スイカ70個を寄付してくれた。働き手も食材も人の輪が活動の支えになっているが、物価高騰の中、こうした無償の善意も限界を迎えつつある。
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政府はどう動くのか。子どもに関する政策を一元的に行うため、おととしに誕生したこども家庭庁。ガイアは、三原じゅん子 こども政策担当大臣を直撃した。
【動画】独自 物価高騰で「子ども食堂」が悲鳴 貧困家庭の実情…企業・NPO法人の挑戦
現在、日本の子どもの9人に1人が貧困状態にあるという。貧困が進むことで、「孤食」や「食の格差」が深刻化し、子どもたちの「楽しい食卓」が奪われつつあるのだ。
こうした中、子どもに食や居場所を提供する「子ども食堂」が全国で増え続けている。
去年、子ども食堂の数は1万を突破し、公立中学校の数を上回った。
しかし、その多くは善意や限られた資源で運営されており、物価の高騰が食堂の運営者に大きなダメージを与えているのも事実。持続的な支援体制や、困った全ての子どもたちへ手を差し伸べるための新たな仕組みづくりが求められている。
ガイアは、子どもの貧困の実態や課題を描きながら、そこに立ち向かう人々や企業に密着。子どもの食卓を守るためのさまざまな取り組みを追った。
貧困に苦しむ家庭、物価高に悩む子ども食堂に密着
貧困家庭を支援する団体「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」の支援員・関口いづみさんは、子どもたちの未来を守るために見回りを続けている。

この日、訪ねたのは埼玉県内のアパート。中に入ると、荒れた台所に明かりのつかないリビング…。中学1年生の愛さん(仮名)はこの家の住人で、関口さんは、2年間サポートを続けてきた。関口さんは県から委託されて、月に10回以上、こうした貧困家庭を訪問している。
愛さんの母・俊子さん(仮名)は10年前に離婚。以前は医療関係で働いていたが、精神疾患と糖尿病を理由に退職。外出が困難になり、生活保護を受けている。
俊子さんは食事を作ることができないため、冷蔵庫の食材はほとんどが賞味期限切れ。
「ごはんを食べない日もある。1日1食とかはざら。昨日はほうれん草のみそ汁だけだった」(俊子さん)。見かねた関口さんたちは、スーパーで買ったお弁当を関口さん親子へ。
しかしこの家には食卓もなく、家族の会話もない…。

子どもに大切な温かい食卓が減り続けている日本。関口さんは「子どもが育つ環境がどんどん悪くなっていると思う。子どもたちは希望の塊、私はずっとそう信じて生きてきたが、その子どもたちが希望を語れないし、あまりにもひどい」と話す。

日本は子どもの貧困率が11.5パーセントで、先進国の中で19番目に高い(出所:こども家庭庁 資料より)。9人に1人は満足な食事がとれていないのが現状だ。
千葉市内にある「TSUGAnoわこども食堂」は人気のスポットで、月1回、無料のお弁当を配布している。子ども食堂とは、子どもが1人でも行ける、無料または低額の食堂のこと。運営者はNPO法人やボランティア団体、飲食店などさまざまだ。
子どもの貧困対策として始まり、現在、全国に1万カ所以上。重要なコミュニティーの場になりつつある。

東京大学 特任教授 湯浅 誠さんは、子ども食堂が急拡大した背景について「地域交流の衰退が最大の要因。少子高齢化が進み、子どもがいなくなる、高齢者が増える、人口減少が進む、小学校が廃校になる、商店街がシャッター通りになる…地域のつながりがなくなってきているので、自分たちでそのつながりを取り戻そうという動き。民間の取り組みなので、何の規格もない。自分たちの思い思いの規模、頻度、スタイルでやれることが(開設する)ハードルの低さに結びついている」と語る。

「TSUGAnoわこども食堂」代表の田中照美さんは、社会福祉士という本業の傍ら、ボランティアでこの食堂を切り盛りしている。
運営を手伝うのは、近所の子どもたちだ。元々この食堂を利用しており、いつしか手伝ってくれるようになった。中には「家庭環境が悪すぎて、家にいたくないからここに来た」と話す青年も。

今日のメニューは、うどん、ちくわの磯辺揚げ、豚肉入りのきんぴらなど…この品ぞろえで栄養満点。しかし最近は、コメの入手に苦労している。子どもたちには美味しいものをとコシヒカリを使っているが、先月買った10升が、すでに残り少なくなっていた。
食堂を開くのは月に1度、1回150食で食材費は約10万円。地元企業の寄付金が主な財源だが、物価高でギリギリのやりくりが続いている。さらに、お弁当箱などの資材も高騰。それでも田中さんが食堂を続けるのは、自身の経験から。
子どもの頃、田中さんの両親は共働きで、夜、帰りが遅くなることも多かった。
「隣に住むおばあちゃんが『今日はお父さん、お母さん遅いな~』と言って、夕飯を食べさせてくれた。そうやって私もこの地域で大きくなったので、その恩を返したいと思った」。“あの頃の自分のように、子どもたちに温かい食卓を…”と奮闘している。

千葉市内の子ども食堂が利用する食材の集積所。この日は知り合いの企業が、スイカ70個を寄付してくれた。働き手も食材も人の輪が活動の支えになっているが、物価高騰の中、こうした無償の善意も限界を迎えつつある。

政府はどう動くのか。子どもに関する政策を一元的に行うため、おととしに誕生したこども家庭庁。ガイアは、三原じゅん子 こども政策担当大臣を直撃した。
食品の入手先を開拓せよ!フードバンクの挑戦
子ども食堂の苦しい懐に市井の人々も動き出している。
この日、倉庫から運び出されていたのは、お菓子やお茶、カレーうどんなど。受け取りに来たのは、東京・八王子市内にある子ども食堂のスタッフだ。

NPO法人「フードバンクTAMA」は、子ども食堂に食品を無料で提供。スタッフは12人で、寄付金に加え、国の補助金をもらって運営している。
全国に289団体(出所:農水省)あるフードバンクは、賞味期限が迫った食品を企業や個人から寄付してもらい、貧困家庭や子ども食堂に無料で配布している。
創設者で理事の芝田晴一朗さん(72)は、「優先順位の一番はひとり親家庭。普通のものが食べられない。お菓子は基本的には買えないと言っている」と話す。

フードバンクにとって難しいのは食品の保管場所の確保だが、「フードバンクTAMA」は、「日野市中央福祉センター」の一室を無償で使わせてもらっている。そこには、コメ不足を機に政府から放出された備蓄米も。2025年から、全国のフードバンクに無償で提供されるようになったのだ。
受け取る量は前年度の実績で決まり、「フードバンクTAMA」には半年間で20トン入る予定だが、足りないフードバンクにも渡している。

芝田さんは定年退職後、63歳でフードバンクを立ち上げた。“子どもたちの未来のために…まだ自分は働ける!”その一念でここまで走り続けてきた。
最初は苦労の連続で、芝田さんは「行く所、行く所で断られた。メーカーに電話をしても相手にされなかった」と当時を振り返る。
その後、フードロス対策が社会課題となり、芝田さんの活動も5年ほど前から軌道に乗ったが、今度は物価高であらゆる食品価格が上昇。おととしから去年にかけて、食品をもらう量、渡す量がともに約5割も減少した。
物価高で困窮する人はどんどん増える、このままでは子どもたちを救えない…。芝田さんは、次なる一手を打っていた。
銀行跡地が子どもの居場所に…三井住友FGが大企業とコラボ

子どもたちの食卓を守るために、メガバンクも動いていた。
4月にオープンした、子どもたちの学びや体験を支援する施設「アトリエ・バンライ ITABASHI」(東京・板橋区)。壁には約4000冊もの本が並び、小学生が勉強をしたり
漫画を読んだりしている。
対象は、近隣の4つの小学校に通う4~6年生まで。利用料は無料で、すでに約300人の児童が登録している。

運営するのは金融大手「三井住友フィナンシャルグループ」で、去年2月まで銀行の出張所、窓口として機能していた場所を子どもの居場所や体験ができるような施設に改装。
施設の責任者で社会的価値創造推進部に所属する大萱亮子さんは、「単に社会や地域にいいことをしているだけではなく、重点課題に決めている戦略に沿った活動をしている」と話す。
三井住友フィナンシャルグループは、おととし、「社会的価値の創造」を経営の中核に据えると発表。項目には「貧困・格差」の解消も盛り込まれており、貧困を予防する観点で、さまざまな教育の機会を提供する施設をつくった。
「子どもの食」にも重きを置いており、この日、施設の2階では子ども食堂が開かれていた。銀行時代、社員食堂だった場所を改装して、月に2回子ども食堂の運営団体に無償で貸し出している。
食堂を活用して、企業や団体が力を合わせた体験プログラムも開催。この日は、ケチャップ国内シェア1位「カゴメ」の食育教室が開かれていた。
施設の外で、子どもたちが3カ月かけて育てたミニトマトを収穫し、自由な発想で調理。都会に住む子どもには、貴重な体験だ。
現在、22の企業や団体が、持ち回りで体験プログラムを行っている。多くの取引先を持つ金融グループの強みが生かされているのだ。
そんな中、「アトリエ・バンライ ITABASHI」に、食品業界大手からあるオファーが舞い込む。その内容とは――。
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