「マツダ」社員2万3000人の意識を変える「企業風土改革」の舞台裏:ガイアの夜明け


9月5日(金)に放送した「ガイアの夜明け」のテーマは、「マツダ“企業風土”をつくる」。

【動画】「マツダ」社員2万3000人の意識を変える「企業風土改革」の舞台裏

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企業の不正・不祥事が起こるたびに指摘される「企業風土」。「上にものを言えない体質」「失敗が許されない職場環境」など…組織内だけのルールや価値観、行動様式に無自覚でいることは、企業の成長を阻み、不祥事などの温床にもなりかねない。
終身雇用や年功序列といった日本的経営が転換期を迎える今、多くの企業がこの根源的な課題に目を向け始めている。

電動化や自動運転、移動サービスの多様化など、100年に一度の大変革期と言われる自動車業界。そこにトランプ関税が大きなインパクトを与える中、この激動の時代を生き抜くため「企業風土改革」に本気で乗り出しているのが、自動車メーカーの「マツダ」だ。
全従業員約2万3000人を対象として、2年前から始まったマツダの改革。そこには、目に見えない「企業風土」を変えることへの難しさを感じながらも、困難に立ち向かう人々の挑戦の姿があった。そして、その先に見え始めた変化の兆しとは…?

マツダ 2万3000人の意識を変える挑戦!


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中国・四国地方最大の人口、約270万人を有する広島県。その広島を代表する企業が、自動車メーカー「マツダ」(従業員:約2万3000人 売上高:約5兆円)だ。自動車業界では、トヨタ、ホンダ、日産、スズキに次ぐ5番手(2025年3月期)。
1920年創業の老舗企業「マツダ」が、今、組織の内部から生まれ変わろうとしている。

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広島市にあるマツダの教育センター。研修に参加しているのはマツダの従業員で、講師も従業員が務めている。
最初に与えられたテーマは「風土とは何か」。まずは1人で考え、次は2人1組で意見を交わす。所属や役職はバラバラで、初めて会った者同士が「マツダの風土とは何か」を共に考え、最後に自分の考えをボードに貼り付けて全員に披露。これをさまざまなテーマごとに繰り返していく。
この研修の目的は「企業風土の改革」で、マツダは2023年11月から始めている。
2025年5月には地元のサッカースタジアムを借りて、約4000人に研修を実施。従業員のほぼ全員、約2万3000人が研修を受けた。

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プロジェクトは5カ年計画で、まずは「目指すべき風土」を研修によって導入する第1フェーズ。次に各職場で行動を起こし、浸透させる第2フェーズ。最後は、日常に定着させる第3フェーズ。現在のマツダは導入がほぼ終わり、浸透にむけて動き始めたところだ。

この企業風土改革は、マツダが社運をかけたプロジェクトで、2日間の研修を終えた社員の1人は「マツダで他部門の人の意見を聞くことは本当にない。みんなどういう気持ちや考えで働いているのかを聞けて良かった」と話す。

マツダが企業風土改革に乗り出した理由…それは電動化や環境への配慮など、100年に一度と言われる自動車業界の大変革期を生き抜くためだ。

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「我々は規模では大きくない会社。人の力、創造性、独自性をいかに生み出していくか、それが非常に重要。それらをさらに引き上げていけるように、組織文化をもう一度しっかりと耕し直す」(毛籠勝弘社長)。

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今、マツダが全社を挙げて取り組んでいるのが、企業風土改革プロジェクト「ブループリント」。オランダの企業が開発したプログラムを導入した。
指針となるのがこの設計図で、「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」という企業理念の実践を目指して「情熱を分かち合う」「オープンマインドで接する」 「認め合う」など、実践すべき16の基本行動が示されている。
これらは100人以上の従業員の意見を聞いて作ったもので、逆に言うと“これまでのマツダには足りなかった行動”ということになる。

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このブループリントを推進するためのアンバサダーを務めるのが、人事本部の塩見 洋さん。マツダが進める企業風土改革の司令塔だ。
「(ブループリントを)知ってもらった後に行動することの楽しさや、職場の仕事で実践するようにもっていくのが第2フェーズになる。ここからが大事」。

塩見さんは、故郷・岡山の大学を卒業後、1997年にマツダに入社。中国・長安での合弁会社の立ち上げや、ロシア・ウラジオストクでの工場建設に携わってきた。
ブループリントアンバサダーの前は経営企画本部の本部長を務めており、ジェフリー・エイチ・ガイトンCFO(最高財務責任者)からの要請で企業風土改革に関わるように。

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マツダは本気の改革を進めており、2023年10月、塩見さんを含む14人の社員がオランダへ。企業風土の改善をサポートする会社で、1カ月にわたるプログラムを学んだ。
「会社が儲かるなと思った。今の社員の力を合わせれば儲かる。それが風土だなと本当に思った」(塩見さん)。

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マツダのヨーロッパとアメリカの社長を務めたガイトンCFOは塩見さんの良き相談相手で、「第1フェーズは成功に終わった。今取り組んでいるのは第2フェーズ。大事なのは、この勢いを失わせないこと。ここで止めてはならない」とアドバイスする。
ガイトンさんは、なぜ塩見さんを改革の司令塔に選んだのか。
「注目したのは彼の日々の仕事ぶりだけでなく、同僚との向き合い方。そこには革新性がありオープンで、モチベーションの高い仕事の進め方があった。ブループリントに通じるものがある」。
そして今、このブループリントにより、社内に変化が起き始めていた。

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国内ブランドビジネス統括本部の河野 薫さんは、「ブループリントを受けて、お客様にどういう体験を届けたいのかを常に考えるようになった」と話す。
以前のマツダの広告は、車を前面に押し出し、デザインや価格をアピールするものがほとんど。しかし直近の広告の画像を見てみると、犬と一緒に暮らす人の生活の中に車があり、家族旅行のワンシーンを切り取ったものも。企業風土改革の影響で、一層、客の目線にたったブランディングに力を入れるようになっていた。

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現場の声を聞くため、これまで以上に販売店に足を運ぶようになった河野さん。この日は、東京・板橋区にあるマツダの直営販売店へ。
関東マツダ 執行役員の垣本紀推さんは、河野さんに「今まではメーカーが情報を発信する。発信したあと、お客様との接点は販売会社まかせが多かった。コミュニケーションが不足していると思っていた。(お客さんからの)フィードバックが開発部門に伝わっているかが疑問」と、率直な会社への思いをぶつける。
河野さんはブループリントによって販売店とのコミュニケーションを深め、一層お客さんの考えを意識するようになった。

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一方、各部署から60人以上の研究者が集まり、次世代の車に必要とされる技術を研究しているマツダの研究開発施設(横浜市)。
電気自動車に使われるモーターのベアリングを研究している堀端頌子さんは、「研究しつつ内側にこもるタイプだったが、人としゃべる、コミュニケーションを取る、特に社外の人と。いずれはお客様とコミュニケーションを取ろうというモチベーションが出てきたのは、ブループリントのおかげ」と、自身の意識の変化を語る。
上席研究員の佐藤圭峰さんは、今回の企業風土改革を機に、マツダをもっとオープンな企業にしたいと考えるようになっていた。

この日、佐藤さんや堀端さんは、研究者の仲間たちと“ある施設”を訪問。その意外な場所とは――。

マツダから日本企業へ …広がる企業風土改革


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7月上旬、塩見さんはブループリントを次の段階に進めるため、精力的に動いていた。
この日集めたのは、職場でブループリントの旗振り役を務める「ナビゲーター」たち。
塩見さんは自薦他薦で集まった候補者たちを指導し、すでに700人をナビゲーターに育て上げた。
ナビゲーターは職場に戻り、自らブループリントを実践するとともに、周りにそれを広げていく。
塩見さんは第2フェーズを成功させるカギは、ナビゲーターにあると考えていた。
重要な役割を担うからこそ、塩見さんの講義にも力が入る。

「マツダの本社の風土は悪い。他の企業と比べて極めて悪い。悪いということはのびしろが大きい。のびしろがマツダの本社にはある。テコ入れしたら、絶対に利益がもっと出る」。

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講義が終わった後、塩見さんはナビゲーターを集めて暑気払い。みんなそれぞれの職場で改革に取り組んでいるが、そこには悩みが生じていた。「冷めた人への対応が難しい」「多分、うちの本部長はブループリントを認めていないと思う」。

塩見さんはナビゲーターたちの悩みや本音を聞き、新たな企業風土をつくるには、幹部が変わることが必要だという思いを強くしていた。
早速行動に移し、マツダにいる本部長と部長、約300人に対してアンケートを行うが、そこで見えてきたのは、彼らの上司にあたる役員への不満。「思いつきで仕事をする」「言葉づかいがきつい」「役員同士が話してほしい」などの声が。役員の意識改革が迫られていた。

「やりたくないけど、やらないとと思っている。彼ら(役員)にとって嫌なこともあるかもしれない。笑顔で出迎えてくれるのは想像できない。そこはしんどい」(塩見さん)。

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7月下旬。役員と向き合う覚悟を決めた塩見さんは、大きなプレッシャーを感じながらも、研修を行うことに。果たして役員たちの反応は――。

日本経済を救う!オールジャパンで挑む企業風土改革


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8月上旬、六本木ヒルズ。この日、塩見さんが向かった会議室には、「いすゞ自動車」「ダイハツ工業」「SUBARU」ら自動車メーカーをはじめ、10社19人が集まっていた。
実は塩見さん、今春、他の企業を対象にしたブループリントの講義を行い、今回はそのメンバーが再集結。みんな、それぞれの企業で風土改革に取り組んでいる。
彼らが企業風土改革に込めた思いとは――。

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