“キャンピングカーを身近に”多彩な空間で客を魅了する「トイファクトリー」:読んで分かる「カンブリア宮殿」
10月9日(木)に放送した「カンブリア宮殿」のテーマは、「キャンピングカー業界の“革命児”」。
【動画】「旅」の可能性を広げる!キャンピングカー業界の“革命児”
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東京・町田市のショッピングモール「グランベリーパーク」に1台の車が。車内に食器洗いなどができるシンク、冷蔵庫、エアコンにベッドまで付いたキャンピングカーだ。近年、市場が拡大。コロナ禍で人気が高まり、2024年の販売額は約1126億円(出所:日本RV協会)と過去最高を記録した。
この店はキャンピングカーのビルダー、トイファクトリーがキャンピングカーを身近に感じてほしいと作ったものだ。
トイファクトリーは名古屋から車で1時間ほどの岐阜・可児市に製造拠点を置く。岐阜本店にはショールームも併設。都会から離れているが、客足は絶えない。
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創業は1995年。右肩上がりで成長を続け、いまや売り上げは約70億円に迫る。従業員は181人で年間約1000台を製造。現在は納車まで平均1年半待ちという人気ぶりだ。
創業者で代表の藤井昭文(54)は「プライベートで僕は5、6歳からキャンピングカーに乗っているので、もうすぐ50年になります。よく飽きもせずに付き合っているなと思いますが、やはりそれだけの魅力がある車です」と言う。
〇感動体験を生み出す秘密1~多彩な空間で魅了
製造するキャンピングカーは約30種類。業界ではかなり多いほうだ。
一番人気はトヨタの「ハイエース」をベースにした「バーデン」というモデル。子連れのファミリーがターゲットで、最大7人が乗れて、座席を動かせばリビングに変身。さらに座席や背もたれを動かして敷き詰めるとフルフラットになる。寝るもよし、くつろぐもよし、さまざまに使える。収納も充実していて価格は729万円~。
一方、「バンライフ」は定員2人。後ろに座席を作らず、リビングスペースを広くとっている。二人旅の夫婦やペット連れがターゲットで価格は1089万円~。
2024年にオープンした神奈川・相模原市の新店舗「ユーロトイ相模原」では、ワンランク上の車をそろえている。展示してあるキャンピングカーはすべて海外製で、輸入した車を日本仕様に変更して販売している。多くの車がトイレやシャワーを完備。寝室もゴージャスだ。
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取材の日に納車を迎えた客によると、所有するマンションを売りに出し購入資金に充てたという。価格は「2200万円」だそうだ。
「好みの車がないということはないように、少しでもお客の希望を形にしていく」と言う藤井。ラインアップが豊富だから、さまざまな人に気に入ってもらえる。
2025年3月に購入し、納車は2026年1月予定だというある家族は、レンタカーのサービス(4万5000円~/24時間)を利用して、どんなオプションをつけるかを検討することにした。
岐阜を出発して長野県へ。午後6時、目的地のキャンプ場に到着。雨でバーベキューはできないが、気にせず車内で家族だんらん。これもキャンピングカーの大きなメリットだ。
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当初はキャンピングカーの購入に反対していたという妻の感想は「すごくいい。キャンプだと、今日みたいに雨の日は夫がテントを立てるまでずっと車内で待たないといけない。キャンピングカーだとワクワクが2倍、3倍になります」だった。
〇感動体験を生み出す秘密2~「快適さを追求した断熱」
藤井はキャンピングカーづくりでいちばん大切にしていることは「断熱」だと言う。
車は金属で覆われ、暑さ寒さの影響を受けやすい。そこで、断熱効果を高めるためにあらゆる手を尽くす。
例えば窓はすべて取り替える。ガラス窓の代わりに取り付けるのは特殊な加工を施したアクリル製の窓だ。熱を伝えにくいアクリルを2枚重ねている。その中には空気が入っていて、空気によって断熱効果を高めている。
続いて、天井の部材を取り外し、防護服と防塵マスクを身にまとうと塗料を吹きかける。
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吹き付けているのは、断熱効果の高い特殊セラミックを塗料に加工したもの。JAXAがロケット向けに開発した技術を応用し生まれた塗料だ。
さらに、ウールとポリエステルでできた断熱材をくまなく貼っていく。徹底した断熱対策で、暑さ寒さだけでなく、雨音なども軽減できるという。
「表面的に飾るのは簡単にできると思いますが、見えないところからこだわりを詰め込んでいく。断熱をまずしっかりして、それから家具とかを搭載していく」(藤井)
家具もほとんどが自社で設計・製造したもの。こうして10日間ほどをかけてキャンピングカーを製造している。
〇感動体験を生み出す秘密3~「利用者限定のキャンプ場」
岐阜・瑞浪市の「トイの森」は2016年にオープンしたオーナーと社員専用のキャンプ場。
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みんなトイファクトリーの仲間だから、利用者は安心して交流できる。
13年前にオーナーになった夫妻は、ここでの交流を通じてますますトイファクトリーが好きになったという。
「先輩たちはいろいろなところへ行かれているので、『あそこに行ったら、あれを食べなよ』と教えてもらった店に行くのも楽しみ」(夫)
「スタッフの人柄がいいです。売って終わりではなくて、納車の時に『これからがお付き合いです』と言っていただいたのがすごいなって思って」(妻)
夜になってやって来たのはトイファクトリーの社員たち。オーナーたちとの交流には、絆を深めるだけでなく、オーナーが利用している中で自ら改良した点などを聞き、そのアイデアを次の開発につなげるという効果も。ファンの声がより良い車を生み出していく。
「僕たちも考えて作っているんですけど、やはり使う側の人たちの声は強いですね。同じような立場で同じように話をして、同じ気持ちで取り組むことができれば、より良いものができるのかなと」(藤井)
【動画】「旅」の可能性を広げる!キャンピングカー業界の“革命児”

“一軒家”みたいな車~感動体験を生み出す秘密
東京・町田市のショッピングモール「グランベリーパーク」に1台の車が。車内に食器洗いなどができるシンク、冷蔵庫、エアコンにベッドまで付いたキャンピングカーだ。近年、市場が拡大。コロナ禍で人気が高まり、2024年の販売額は約1126億円(出所:日本RV協会)と過去最高を記録した。
この店はキャンピングカーのビルダー、トイファクトリーがキャンピングカーを身近に感じてほしいと作ったものだ。
トイファクトリーは名古屋から車で1時間ほどの岐阜・可児市に製造拠点を置く。岐阜本店にはショールームも併設。都会から離れているが、客足は絶えない。

創業は1995年。右肩上がりで成長を続け、いまや売り上げは約70億円に迫る。従業員は181人で年間約1000台を製造。現在は納車まで平均1年半待ちという人気ぶりだ。
創業者で代表の藤井昭文(54)は「プライベートで僕は5、6歳からキャンピングカーに乗っているので、もうすぐ50年になります。よく飽きもせずに付き合っているなと思いますが、やはりそれだけの魅力がある車です」と言う。
〇感動体験を生み出す秘密1~多彩な空間で魅了
製造するキャンピングカーは約30種類。業界ではかなり多いほうだ。
一番人気はトヨタの「ハイエース」をベースにした「バーデン」というモデル。子連れのファミリーがターゲットで、最大7人が乗れて、座席を動かせばリビングに変身。さらに座席や背もたれを動かして敷き詰めるとフルフラットになる。寝るもよし、くつろぐもよし、さまざまに使える。収納も充実していて価格は729万円~。
一方、「バンライフ」は定員2人。後ろに座席を作らず、リビングスペースを広くとっている。二人旅の夫婦やペット連れがターゲットで価格は1089万円~。
2024年にオープンした神奈川・相模原市の新店舗「ユーロトイ相模原」では、ワンランク上の車をそろえている。展示してあるキャンピングカーはすべて海外製で、輸入した車を日本仕様に変更して販売している。多くの車がトイレやシャワーを完備。寝室もゴージャスだ。

取材の日に納車を迎えた客によると、所有するマンションを売りに出し購入資金に充てたという。価格は「2200万円」だそうだ。
「好みの車がないということはないように、少しでもお客の希望を形にしていく」と言う藤井。ラインアップが豊富だから、さまざまな人に気に入ってもらえる。
2025年3月に購入し、納車は2026年1月予定だというある家族は、レンタカーのサービス(4万5000円~/24時間)を利用して、どんなオプションをつけるかを検討することにした。
岐阜を出発して長野県へ。午後6時、目的地のキャンプ場に到着。雨でバーベキューはできないが、気にせず車内で家族だんらん。これもキャンピングカーの大きなメリットだ。

当初はキャンピングカーの購入に反対していたという妻の感想は「すごくいい。キャンプだと、今日みたいに雨の日は夫がテントを立てるまでずっと車内で待たないといけない。キャンピングカーだとワクワクが2倍、3倍になります」だった。
「快適さ」を追求した断熱&利用者限定のキャンプ場
〇感動体験を生み出す秘密2~「快適さを追求した断熱」
藤井はキャンピングカーづくりでいちばん大切にしていることは「断熱」だと言う。
車は金属で覆われ、暑さ寒さの影響を受けやすい。そこで、断熱効果を高めるためにあらゆる手を尽くす。
例えば窓はすべて取り替える。ガラス窓の代わりに取り付けるのは特殊な加工を施したアクリル製の窓だ。熱を伝えにくいアクリルを2枚重ねている。その中には空気が入っていて、空気によって断熱効果を高めている。
続いて、天井の部材を取り外し、防護服と防塵マスクを身にまとうと塗料を吹きかける。

吹き付けているのは、断熱効果の高い特殊セラミックを塗料に加工したもの。JAXAがロケット向けに開発した技術を応用し生まれた塗料だ。
さらに、ウールとポリエステルでできた断熱材をくまなく貼っていく。徹底した断熱対策で、暑さ寒さだけでなく、雨音なども軽減できるという。
「表面的に飾るのは簡単にできると思いますが、見えないところからこだわりを詰め込んでいく。断熱をまずしっかりして、それから家具とかを搭載していく」(藤井)
家具もほとんどが自社で設計・製造したもの。こうして10日間ほどをかけてキャンピングカーを製造している。
〇感動体験を生み出す秘密3~「利用者限定のキャンプ場」
岐阜・瑞浪市の「トイの森」は2016年にオープンしたオーナーと社員専用のキャンプ場。

みんなトイファクトリーの仲間だから、利用者は安心して交流できる。
13年前にオーナーになった夫妻は、ここでの交流を通じてますますトイファクトリーが好きになったという。
「先輩たちはいろいろなところへ行かれているので、『あそこに行ったら、あれを食べなよ』と教えてもらった店に行くのも楽しみ」(夫)
「スタッフの人柄がいいです。売って終わりではなくて、納車の時に『これからがお付き合いです』と言っていただいたのがすごいなって思って」(妻)
夜になってやって来たのはトイファクトリーの社員たち。オーナーたちとの交流には、絆を深めるだけでなく、オーナーが利用している中で自ら改良した点などを聞き、そのアイデアを次の開発につなげるという効果も。ファンの声がより良い車を生み出していく。
「僕たちも考えて作っているんですけど、やはり使う側の人たちの声は強いですね。同じような立場で同じように話をして、同じ気持ちで取り組むことができれば、より良いものができるのかなと」(藤井)
スタートは物置小屋~こだわりの車誕生秘話
藤井は時間があればキャンピングカーで旅に出る。自ら体験し、改善点を探るためだ。妻・りつ子は「こだわりが強くてやりたいことだらけの人なので、やりたいと思ったら、何を言ってもたぶん突き進みます。やらないと気が済まないと思うので」と言う。
藤井は1971年、岐阜県生まれ。幼い頃から、内装業を営む父・昭二が手作りしたキャンピングカーで、休みのたびに家族でキャンプへ行った。
その後、デザインの専門学校に進むが、交通事故で大けがをして中退。将来に悩む中、よみがえってきたのが、少年時代にワクワクしたキャンピングカーだった。
1995年、岐阜・八百津町の山の中に物置小屋を建ててトイファクトリーを創業した。
「小屋の前にハイエースを並べ、ブルーテントで屋根を作って、親父と、途中からは妻も手伝ってくれて、本当に手作りで夜中の1時、2時までやっていました」(藤井)
創業時を支えた父・昭二は、営んでいた内装業の店を畳んで息子を手伝った。
「まさかこんなに立派になると思いませんでした」(昭二)
工場の奥には当時の思い出が眠っている。一家が最初に作った車だ。業界に革命を起こしたいと、飛行家「リンドバーグ」の名をつけた。
「当時、家具を取り付ける時には、僕たち夫婦が(家具を)持ち上げて、両親がネジを打ち込んでいった」(藤井)
「カーテンなんかも、昔、僕の妻が作ってそのままですよ」(昭二)
最初からこだわったのが快適性。特に断熱性だった。それは幼い頃の体験が関係している。家族でのキャンプは楽しかったが、唯一つらかったのが冬の寒さ。眠れぬ夜を何度も過ごしたという。
「初めて嫌だなと思ったんです、車の中に泊まることが。もう冬場には泊まりたくないというところから、父親の仕事が建築関係だったので『断熱材を入れてみようか』と」(藤井)
快適な車なのに売れない~運命の出会いで大逆転
断熱性や快適性にこだわり抜いたが、デザインは地味。バブルの名残で、見栄えのいい車が売れた時代に、無骨な藤井の車は見向きもされなかった。
「これでダメなら廃業も考えよう」という覚悟で臨んだ東京での展示会で、後に会社を大きく変えることになる、ある人物と出会う。
千葉県に住む猪瀬博さん。トイファクトリーの車を購入した初期のオーナーだ。
「長くキャンプをやっているから、何が必要で何がいらないかが自分で分かる。他社の車は、いらないものはいっぱいあるけど、いるものがなかったりした。そういう意味で、すごくシンプルだけど良くできていたので、もう一択でした。その場で決めて『注文する』と言ったらびっくりしていた」(猪瀬さん)
「そうそう、注文書の書き方も分からなかったくらいだから(笑)」(藤井)

猪瀬さんは経営が上向くためのアドバイスもしてくれた。例えば、ブランドを知ってもらうには首都圏に進出したほうがいいと、物件まで一緒に探して出店を実現。現在は移転したが、首都圏に店を持ったことで、少しずつだが知名度も上がっていった。
そして、猪瀬さんは思いもよらないことを申し出る。
「ある日突然、『社員になるよ』と、ご自身で経営していた会社もやめて」(藤井)
55歳で入社した猪瀬さんは日本IBMの元営業マン。トイファクトリーの車をもっと多くの人に知ってもらう手助けをしたいと思ったのだ。
「いいものをつくればブランドになるかといったら、そうではない。ブランドって『愛』と『共感』だと思うんです。愛情は(藤井から)嫌というほど湧き出てくるけど、『共感』はお客さん側からくるわけです。その共感をつくるためには、ある種いくつかの仕掛けをしないとブランドは出来上がらない」(猪瀬さん)
経営者としては不器用だったが、造り手としての「発想力」には長けていた藤井。猪瀬さんはそこに注目した。
例えば、現在会社の大きな強みとなっているキャンピングカー用の「ソーラーパネル」。「シャープ」と引き合わせ、共同開発すると、沖縄の高校生とチームを組み、オーストラリアを縦断する世界最高峰のソーラーカーレースに出場。1カ月にわたり、帯同車で高校生をサポートしながら、ソーラーパネルの性能をテストした。
技術力とブランド力を磨いたことで社員のモチベーションも高まっていった。こうして家族経営の零細ビルダーから「企業」になっていった。
画期的なトイレを搭載~変幻自在の車とは?
岐阜・可児市の隣町、御嵩町。2025年8月下旬、町役場にトイファクトリーが開発した、さまざまな場面で使える新型車両がやってきた。
車から座席を取り外すと、登場したのは白いトイレだ。
「一つ一つ、個室になるように作っています」(藤井)
「クレサナ」は、災害が起きて断水になっても使える、スイスの企業が開発した水を使わない次世代型のトイレだ。
用を足した後は凝固剤を便器に入れる。汚物の量に合わせて袋のサイズを選択すると、機械が袋を熱で圧着。7層になっているフィルムで完全に密閉する。
「固まった状態になる。(袋ごと)触ると『おしめ』みたいな状態です。凝固した状態で一個一個がパッケージされますので、大人の男性が引っ張っても破れないくらい強い。なおかつバクテリアが発生しにくいので、におわないです」(藤井)
トイレカー開発のきっかけは2024年1月に起きた能登半島地震。被災者がトイレに困っていることを知り、わずか3日でトイレの専用車を開発、被災地に入った。

「現地にいらっしゃるお子さんとご年配の人にめちゃくちゃ喜んでいただいた。自分がしたものは自分で処理できれば、常にきれいなトイレが使えます。1カ月で7000サイクルほど使っていただいた」(藤井)
そのことを知った全国の自治体から引き合いが増えているという。
用途を災害時に限定せず、「平時でも有事でも使える」ことが最大のウリだ。通常の移動車としてはもちろん、オフィスやイベントのブース、移動図書館に救護室まで、さまざまな場面で用途に合わせてレイアウトを変えられる。
「マルチで使えるっていうのが魅力ですね。だから、もっと想定していないような使い方もできるかもしれません」(御嵩町・渡辺幸伸町長)
※価格は放送時の金額です。
~村上龍の編集後記~
昔、小さかった息子と、その友だち、家族でキャンプをした。わたしは、まず地面に穴を掘った。できるだけ深く、人がまたげる大きさにしなければならない。トイファクトリーは、そんな原始的なトイレとは無縁だ。水が不要なスイス製の「クレサナ」と契約している。水が不要というのがわかりづらい。独自の熱溶接システムを用いて防臭・防水された高品質なフィルムで処理される。オシッコもウンコも目立たない暗い色のビニールに入って出てくる。他に、断熱で、圧倒的な力を発揮する。「断熱のトイ」という評価を受ける。
<出演者略歴>
藤井昭文(ふじい・あきふみ)1971年、岐阜県生まれ。幼少期にキャンピングカーでの旅に魅了され、1995年、トイファクトリーを創業。
見逃した方は、テレ東BIZへ!
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