売上高は5年前の2.8倍!洗濯ブラシからスマートウォッチまで“スリーコインズ”:読んで分かる「カンブリア宮殿」
10月16日(木)に放送した「カンブリア宮殿」のテーマは、「洗濯ブラシからスマートウォッチまで“スリーコインズ”」。
【動画】出る杭は引き上げる~パル 小路順一社長 ~
![カンブリアコラム]()
物価高の現在、ひときわ躍進している生活雑貨チェーンが、300円の商品でおなじみの「スリーコインズ」だ。
大人気の「ジャケットホルダー」(330円)はバッグなどに装着すると、手がふさがらずにジャケットなどを持ち運べる。
シンプルなデザインの「クリアボックスバッグ(サイズL)」(330円)は季節ものの衣類などの収納にも使えるほか、水に強い素材でできているためアウトドアでも活躍する。
![カンブリアコラム]()
キッチンコーナーで見つけた「めくって使える薄手スポンジ」(330円)は、広げてみると小さな切れ目がいくつも入っていて、切り離すと薄手の使い捨てスポンジになる。
出先や旅行にあると便利な「ポータブル洗濯ブラシ」(330円)は、ワンプッシュで洗剤が出てきて食べこぼしや細かい汚れをピンポイントで洗えるアイデアグッズだ。
最近では300円以上の高価格帯の商品も。昨今のレトロブームにあやかった「レコードプレイヤー」(9900円)や、スマホと連動してメッセージの通知や心拍数などを確認することができるスマートウォッチ「デバイスバンドplus」(4180円)が人気だ。
![カンブリアコラム]()
最近は新たにメンズ売り場も設置し、多くの男性客を取り込んでいる。
こうした商品で「スリーコインズ」の2025年2月期の売り上げは5年前の約3倍、709億円まで伸びた。
ある「スリーコインズ」ファンは、当初は300円という安さに惹(ひ)かれたが、今では高価格帯の商品をよく買っているという。
お気に入りはサイズの違う2種類の「ツールボックス」(1100円、770円)。化粧品のような細々としたものが大量に収納でき、仕切りも自由に変えられて使い勝手がいいという。
キッチンで特に重宝しているのは「電子レンジ調理器」(2200円)。焼き魚や炒め物や蒸し物など、一つで6役こなす優れものだ。
![カンブリアコラム]()
「スリーコインズ」を運営するのは大阪に本社を構えるパル。本業はアパレルで、レディースを中心に扱うブランドは50を数える。
パルで初めての雑貨ブランドとして、1994年、大阪・茶屋町にオープンした「スリーコインズ」。本業で培ったデザイン性の高い商品が若い女性から支持され、全国へと広がっていった。
「スリーコインズ」の躍進はアパレルでの成功体験をもとにした戦略だと、社長・小路順一(62)は言う。
「ファッションというのはいろいろな業種、業界の中でも一番賞味期限が短い。我々は4週間で店頭を変えるという方針でやっていますが、雑貨のような定番が多い業種でも、新鮮さ、新しさが大事だということが分かってきた」(小路)
【動画】出る杭は引き上げる~パル 小路順一社長 ~

330円から高価格帯商品も~生活雑貨、電化製品も開発
物価高の現在、ひときわ躍進している生活雑貨チェーンが、300円の商品でおなじみの「スリーコインズ」だ。
大人気の「ジャケットホルダー」(330円)はバッグなどに装着すると、手がふさがらずにジャケットなどを持ち運べる。
シンプルなデザインの「クリアボックスバッグ(サイズL)」(330円)は季節ものの衣類などの収納にも使えるほか、水に強い素材でできているためアウトドアでも活躍する。

キッチンコーナーで見つけた「めくって使える薄手スポンジ」(330円)は、広げてみると小さな切れ目がいくつも入っていて、切り離すと薄手の使い捨てスポンジになる。
出先や旅行にあると便利な「ポータブル洗濯ブラシ」(330円)は、ワンプッシュで洗剤が出てきて食べこぼしや細かい汚れをピンポイントで洗えるアイデアグッズだ。
最近では300円以上の高価格帯の商品も。昨今のレトロブームにあやかった「レコードプレイヤー」(9900円)や、スマホと連動してメッセージの通知や心拍数などを確認することができるスマートウォッチ「デバイスバンドplus」(4180円)が人気だ。
最近は新たにメンズ売り場も設置し、多くの男性客を取り込んでいる。
こうした商品で「スリーコインズ」の2025年2月期の売り上げは5年前の約3倍、709億円まで伸びた。
ある「スリーコインズ」ファンは、当初は300円という安さに惹(ひ)かれたが、今では高価格帯の商品をよく買っているという。
お気に入りはサイズの違う2種類の「ツールボックス」(1100円、770円)。化粧品のような細々としたものが大量に収納でき、仕切りも自由に変えられて使い勝手がいいという。
キッチンで特に重宝しているのは「電子レンジ調理器」(2200円)。焼き魚や炒め物や蒸し物など、一つで6役こなす優れものだ。
「スリーコインズ」を運営するのは大阪に本社を構えるパル。本業はアパレルで、レディースを中心に扱うブランドは50を数える。
パルで初めての雑貨ブランドとして、1994年、大阪・茶屋町にオープンした「スリーコインズ」。本業で培ったデザイン性の高い商品が若い女性から支持され、全国へと広がっていった。
「スリーコインズ」の躍進はアパレルでの成功体験をもとにした戦略だと、社長・小路順一(62)は言う。
「ファッションというのはいろいろな業種、業界の中でも一番賞味期限が短い。我々は4週間で店頭を変えるという方針でやっていますが、雑貨のような定番が多い業種でも、新鮮さ、新しさが大事だということが分かってきた」(小路)
アパレル方式を取り入れて躍進~ヒット商品を生む3つの戦略
〇パル流アパレル方式1~売り場に鮮度、次々と新商品を開発
アパレル業界は一般的に季節ごと、3カ月に1回のペースで商品を入れ替えていくが、中でもパルは特に商品の入れ替えサイクルが早く、店頭に並ぶのはわずか1カ月間だ。その方式を「スリーコインズ」にも取り入れている。

ある日、閉店後「3COINS」原宿本店を訪ねてみると、翌日から売り出す新商品を陳列していた。「スリーコインズ」では毎月700以上の新商品を投入。売り場には常に新たな商品が並び、客を飽きさせないようにしている。
客の一人は「いいなと思ったら買わないと、次に来た時にはない」と言う。
商品の開発を担っているのが18人いるバイヤー。700の新商品ということは単純計算で月に一人あたり38個。毎日一つ以上、生み出さなければならない。だから四六時中、開発モードのスイッチは入れっぱなしだ。
トラベルグッズなどを担当するバイヤー・久守阿斗沙。手掛けた商品の中でも特に売れたのが「吸水アームバンド」(330円)だ。洗顔などの際、腕に水が垂れるのを防いでくれるアームバンドで、累計販売数200万個以上の大ヒット商品になった。
「お皿を洗っていて、服の袖が落ちてくるのがすごいストレスで」(久守)
久守は、常日頃、感じたことがあると、その場ですぐメモに残すことを習慣にしているという。日常生活のささいなヒントから次々と商品開発につなげているのだ。
〇パル流アパレル方式2~ヒット商品でも進化させ続ける
「スリーコインズ」では、どれだけ売れたヒット商品でも、翌年は同じものを出さないよう徹底している。
「アパレルでも去年売れた商品に執着するケースがあるんです。でも全く売れない。去年と同じ商品は売れないということは、すごく実感した」(小路)
その反省を生かして必ず行っているのが商品のブラッシュアップだ。
例えば近年、夏に大人気のミニ扇風機。

中でも特に売れているのが首にかけるタイプの「ペルチェ付きネックファン」(3300円)だ。
2023年のモデルは風量が調節できるだけのシンプルな作りだったが、2024年モデルは首にかける部分を収納できるように軽量化。さらに2025年は「首元に冷却プレートをつけました。下からは風が来ますし、首元は冷却プレートで冷やす。売れている良いところを詰め込んで新しく商品化しました」(バイヤー・堀内しおり)。
どれだけ売れた商品でも、同じものを出すことなく常に進化させ続けているのだ。
〇パル流アパレル方式3~商品の宣伝はスタッフ自ら行う
アパレル業界では、今やスタッフがSNSアカウントで商品をPRするのが一般的。パルでも「社内インフルエンサー制度」を導入。各ブランドにSNSスタッフがいる。
「ウィム ガゼット」というブランドで社内インフルエンサーを務める武藤綾のフォロワー数は18万人以上。こうしたスタッフがブランド力の向上に一役買っているのだ。
この方式を「スリーコインズ」にも取り入れている。
「3COINS+plus」イオンモール幕張新都心店で開店前に行われていたのは、39万人以上ものフォロワーを持つ「スリーコインズ」ブランドインフルエンサー・junkoによる、新商品を紹介するインスタのライブ配信だ。
「『スリーコインズ』はセルフ物販なので、アパレルと違ってお客様にご提案する機会はないと思いますが、ライブ配信はお客様と接して接客ができるツールだと思っています」(junko)
発信力を持つスタッフが生まれるのは、社内での教育に力を入れているからだという。
それを担う一人が、「ディスコート」というブランドでSNSを統括しているSNSディレクター・石田千尋。スタッフの投稿をチェックし、改善点などを指摘している。
例えば最新コーディネートを紹介したショート動画には、英語だった文字を日本語にしてフォントも大きく変えるようアドバイス。投稿頻度はもちろん、写真や動画の撮り方まで細かく指導するという。
こうした役割のスタッフは「スリーコインズ」にもいて、新たな顧客となるフォロワー数のアップにつなげている。
これらのアパレルで培った戦略で、売り上げは右肩上がりを続けているのだ。

出る杭を引き上げる社内活性術~“おもろい”人材を発掘して抜擢
東京・渋谷区にあるパルの東京本社ではアパレルブランドの新商品会議が開かれていた。チャレンジした商品に対して、小路が決まって口にするのが「おもろい」。「おもろい人」とは、創業当時から変わらずに大切にしている人材を指す。
今や売上高2078億円(2025年2月期)の巨大グループ企業であるパルグループホールディングスの創業者は井上英隆氏。スタートは1973年に大阪の堺市に開いた小さなジーンズショップ「パル青山」だった。
その後、海外で人気の洋服を仕入れるセレクトショップとして徐々に店舗数を拡大。現在、創業者の井上氏は一線から退いている。
「一代で社長になると、周囲にイエスマンをつくった方が楽じゃないですか。(創業者の井上は)イエスマンよりは何か意見とか文句を言ってくる人材を重宝していた」(小路)
一方、1963年、大阪に生まれた小路は大学時代からアパレル業界に興味があった。1986年、新卒でパルに入社すると、その斬新な社風に驚かされる。
年功序列ではなく、実力のある若手がどんどん出世していく成果主義。パルが手掛けているアパレルブランドのほとんどは、やる気のある若手スタッフの発案から始まったものだという。
「先行投資がかかるんです。1店舗をつくるだけでも。保証金などを入れたら億単位の費用がかかる。そういう人間に投資して失敗したらものすごく損をするが、チャレンジしないことには成長しないと創業者は考えたのだと思う。パルはそういう社風です」(小路)
そんなパルの社風は現在も受け継がれている。
「スリーコインズ」のバイヤーを務める乾奈緒美は中途採用の転職組。驚いたのは、どんな企画でも決してダメだと言われず、ほぼ必ず商品化まで行き着くことだったという。
「出る杭は引き抜くという社風があるんです。『それはダメだろう』と叩き潰ぶされるのではなく、『そういう視点もあるんだ』と(企画を)膨らませてもらいながら、みんなでやっていける環境があります」(乾)
小路自身も31歳の時に新たなブランドの立ち上げを会社に提案。採用されたのが「ルイス」というブランドだ。

「時代時代の格好いい憧れる男性像のお店にしようと思った」(小路)
初めてブランドの責任者になると、創業者の井上氏から大切な教えを説かれたという。
「人を登用するポイントで覚えているのは、『おもろい人をとれ』と。『おもしろい人』と『おもろい人』は違うんです」(小路)
「おもろい人」とは常識や前例にとらわれずに新しいアイデアを考え、それを他人にしっかり伝える力を持った者のこと。そんな「おもろい人材」を見つけ、どう抜擢するか、小路には、身をもって経験したことがあるという。
それは赤字だったアクセサリーブランドの立て直しを任された時のこと。ある店舗の視察に訪れると、「アクセサリーよりバッグを売る方がもうかると思うんです」と、ずけずけと物を言うアルバイトがいた。
アクセサリーは自社でデザインして製造していたが、バッグは他社から仕入れた商品だった。「単価も高いし、自分たちでバッグを作った方がいい」と言うのだ。
すると小路はその場でアルバイトをデザイナーに抜擢した。
「『なんでこんなことをやっているんですか』と生意気なことを言うので、『じゃあ、君がやれば』と。そういう人材は負けず嫌いなので、どんどんこなしていきます」(小路)
そのスタッフは、「USAGIバッグ」という仕事でもプライベートでも使えるバッグを開発し大ヒット。さらにノートパソコンが持ち運べる大きめの「樹脂パーツトートバッグ」も作り人気商品に。ヒット商品が生まれたことで人気ブランドに生まれ変わった。
「普通の会社は前例にないから『やめておけ』と。アルバイトに任せたら大変な部分はあるが、それをやらせる社風がパルだと思います」(小路)
社長就任早々の決断は「値上げ」~付加価値を付け商品を改良
2024年3月、パルの社長に就任した小路は、いきなり大問題にぶち当たる。それは「スリーコインズ」の利益率。売り上げは伸びていたのだが、営業利益率は2022年度に5.6%だったのが2023年度は2.7%と、半減していた。
原因は円安の進行。商品の多くが海外での製造だったため、利益を圧迫していた。
そこで社長に就任早々決断したのが「値上げ」だった。
「均一ショップはどれだけ円安になっても300円から上げられない。これはこれで大事で据え置きますが、1500円の価値があるのであれば1500円の値段を付けましょうと」(小路)
とはいえ、ただ値上げしたわけではなく、商品に新たな付加価値を付けたという。
例えばトラベルコーナーで人気の「キャリーオン折りたたみバッグ」は1100円を値上げして1650円に。ただしその際、変更を加えた。
「飲み物を入れられるように両サイドにメッシュのポケットを付けました」(前出・久守)
さらに、バッグのサイズも一回り大きくして、生地もよりシワになりにくいものに変えたという。
「ただ値上げをするのはバイヤー魂がちょっと許せなかった。やはり何かしらプラスアルファをしないとお客様に顔向けできない」(久守)
新たな付加価値を加えたことで売り上げは落ちず、営業利益率も2024年度は6.9%と、わずか1年で大幅に改善させた。
※価格は放送時の金額です。
~村上龍の編集後記~
収録から約3週間後、この原稿を書いているが、パルはすでに変化しているかも知れない。「乾物屋ではなく魚屋」と言い、「1ヶ月単位で在庫を持たずに商品を売り切る」という販売計画。ほぼ毎週新商品を投入する。「スリーコインズのインフルエンサーには約70人が登録していて、総フォロワーは約85万人」と収録時には言っていたが、「約70人」「約85万人」という数字が変わっている可能性がある。人を活かすことで、そういった変化が可能になる。新卒の初任給30万円らしい。「拝啓社長殿」というボトムアップの方法を持つ。
<出演者略歴>
小路順一(しょうじ・じゅんいち)1963年、大阪生まれ。1986年、天理大学体育学部卒業後、パル入社。専務取締役営業本部長、グループ内アパレルメーカー「ナイスクラップ」社長などを歴任。2024年、代表取締役社長就任。
見逃した方は、テレ東BIZへ!
※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。