「ルミネ」「ニュウマン」「ルミネエスト」客層を分けるターゲット戦略とは:読んで分かる「カンブリア宮殿」

11月20日(木)に放送した「カンブリア宮殿」のテーマは、「客層を分けるターゲット戦略”ルミネ”」。

【動画】ニーズを先取るトレンド集団 「集客力1位」の舞台裏

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ファッションもグルメも~「流行が一挙に分かる」店づくり


2025年10月に発表されたアンケート「1都3県の集客力ランキング」(2025年版「施設と駅のセンサス 施設編」日経リサーチ調べ)で直近3カ月に行った商業施設を聞いたところ、10位から4位まではほぼ有名百貨店の名前が並んだ。

3位は女性向けグルメやファッションで人気の「渋谷ヒカリエ」。2位は東京駅の駅ナカに人気飲食店を集結させた「グランスタ東京」。そして1位が新宿の駅ビルの商業施設としておなじみの「ルミネ新宿」だった。

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「ルミネ新宿」は新宿駅に直結していて外に出ることなく入館できる、JR東日本のグループ会社・ルミネの施設だ。ファッションから雑貨まで246の店舗が入居する。

「面白い商品のラインアップで『1周すればトレンドが分かる』とお客様によく言われます」(ルミネ新宿店営業部長・中静はるか)

例えば「コスメキッチン」は世界中の美容雑貨を集めたセレクトショップ。おすすめは紅茶やヨーグルトなどに入れて楽しむ希少なハチミツ、マヌカハニーのペースト「ニュージーランド ミートゥデイ スーパーハニー」(1296円)。カモミールやレモンなど3種類を用意している。

「トゥデイズスペシャル シンジュク」は自由が丘生まれの毎日使える特別な雑貨の店。信楽焼の窯元とコラボした皿「SHIGARAKI FLAT PLATE」(1760円~)などが並ぶ。

「ハーリップトゥ」は元AKB48で今や経営者となった小嶋陽菜さんプロデュースのブランド。大人の女性からの人気も高く、「シャーロットツイードジャケット ミニスカート」(4万9000円)は「小嶋さんも着用する人気のセットアップ」という。

最新グルメにも出会える。2024年4月にオープンした「イイトルミネ」は話題の飲食店やスイーツ店、約30店を集めた売り場でのべ1500万人以上が来店した。

「ランディーズドーナツ」は2025年、日本に初上陸したロサンゼルス生まれのドーナツ店。マーブルチョコレートにマシュマロが乗った斬新なデコレーションが目をひく。

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大阪土産でおなじみ、「551蓬莱(ほうらい)」の、創業者の孫が手がける「羅家 東京豚饅(まん)」の「豚饅」(1個300円)はすでに人気沸騰。リピーター続出で1日4000個以上を売り上げる。

「ベイカーズシンフォニー」は関東にある1都3県の100店舗以上から毎日約400種類のパンを仕入れ日替わりで販売。新しい形のパンのセレクトショップだ。

駅ナカグルメ「らーめん鴨to葱」では「鴨らーめん」(1080円)を提供。「立鮨 すし横」は目の前で握ってくれる江戸前寿司で、赤酢のシャリに目利きのさえたネタがのる。

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「行列が絶えない人気の店が改札内にあって手軽に食べられる。お客様に喜んでいただけると確信しました」(ルミネ新宿店業態戦略グループリーダー・加藤萌子)

ティーンから大人の女性まで~「三つのビル」で客の成長を追う


ルミネは新宿駅の周りに名前の違う三つの施設があり、それぞれが異なる客層を呼び込んでいる。

若者が集まる歌舞伎町側の東口につくられたのが「ルミネエスト新宿」。20代前後の若い女性客が中心でそれに合わせた店舗が入っている。

ファッション雑貨の品ぞろえが豊富で、「ティニーティニー」にはヘア・アクセサリーなどが並ぶ。女性客が手に取った指輪は1290円。ピアスも1000円前後と買いやすい価格だ。

少し大人になった客が向かうのが先述の「ルミネ新宿」。よりこだわった商品が並ぶ。

香水の「トラック」は30種類以上の香料から好みに合わせて調合してくれる店。「マイ トラック」(100mL/7590円)の組み合わせは256通りにもなる。

新宿高島屋方面の落ち着いた年齢層が多い南口につくられた「ニュウマン新宿」は、「ルミネ新宿」を卒業した客の受け皿とも言える。大人の女性客が欲しくなる「特別な物」を販売する店を集めた。

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例えば「ザ ヴィンテージング」は一般的な古着店とは一線を画す品ぞろえで静かな人気となっている。

ルミネは同じ新宿の中で三つの駅ビルを色分け。客は成長に合わせてちょうどいい施設を選んでいけるのだ。

全部で18の施設を運営するルミネの本社も、新宿駅の程近くにある。売り上げは3890億円(2024年度)。従業員は約800人でその8割は女性だ。

ルミネ社長・表輝幸(61)にあえて「ルミネは地の利で客が来るのでは?」と尋ねてみた。

「我々は駅になくても来ていただける施設をつくらないといけないと思っています。そのためにそれぞれの施設ごとに細かくターゲットを決めている。半歩先、一歩先の提案をすることがルミネの価値なので」(表)

客の「欲しい」を先取り~知られざる名店の見つけ方


ルミネに入っている店舗のほとんどは、誘致してきたブランド。営業部長・佐藤菜菜子は店舗開発のスペシャリストだ。

「覆面調査というわけではないですが、自分たちで現地に歩いて行って『どんなすてきなお店があるのかな』とリサーチして見つけています」(佐藤)

そんなやり方で見つけた一つが先ほどの「ザ ヴィンテージング」。古着というよりヴィンテージ物と呼ぶのにふさわしいレディースウエアを世界中から集めている。

1980年代のイギリス製のニット(2万7280円)は、繊細なモヘア素材だが状態は良好。1960年代のイタリア製手編みニット(2万5080円)の襟の装飾は職人が刺繍して入れたものだという。子羊の皮を使った1990年代のイタリア製の皮のコート(4万7080円)も。「本革の服はもう大量に作れないので入手は難しい」という。

大人の女性の中には古着を敬遠する人もいるが、佐藤はあえて誘致した。

「女性らしい商品が非常に多く、素材やサイズ感、質感においてしっかり選定していただいている」(佐藤)

「ザ ヴィンテージング」の本店は東京・渋谷区の住宅街にたたずむ。店は小さいが熱烈なファンを持つ古着の名店だ。

商品は全てオーナーの佐藤美保さんが世界を回り買い付けてきたもの。一点物で値段もそれなりにするが、センスが良くよそでは買えないと、客の間で評判になっていたのだ。

「もともと一人で運営する小規模の企業だったんです。よくそんなブランドに声をかけていただいたなと。ニュウマン新宿の営業部さんはすごいなと思います」(佐藤さん)

さらにルミネには売り場を盛り上げる独自の取り組みもある。

「ルミネエスト新宿」に2025年9月にオープンしたキャラクター雑貨の店「ナルミヤ ハッピーパーク」。運営にあたるのはオリジナルキャラが売りのアパレルメーカー「ナルミヤ・インターナショナル」だ。

2000年代初頭、子どもたちの間でブームを起こしたキャラクターが、ブームから20年以上経った今、若い女性の間で再び人気になっている。限定キャラクターも作った。

「『ルミネエスト新宿』限定の『ミミリーちゃん』です。ここでしか会えないキャラクターの存在は大切になってくると思いまして」(「ナルミヤ・インターナショナル」漆畑祐樹さん)

このブームの再燃をメーカーとともに仕掛けたのがルミネの販売促進チーム。若者の間で流行の兆しが見えると、メーカーに掛け合いイベントを開催。ブームに再び火をつけた。

流行に常にアンテナを張り、ルミネを特別な施設に変えている。

「『ルミネエスト新宿』のお客様が好きそうな商材を持ち寄って『これがいいのでは』と決めることが多いです」(ルミネエスト店販売促進グループリーダー・立川南)

「ルミネはメーカーではないし、自社でキャラクターを持っているわけではないので」(ルミネエスト店販売促進グループ・近藤珠樹)

「我々はマーケットをつくる会社なので、お客様が『使ってみたい』『経験してみたい』と思うものは全て超えること、それをどれだけルミネがやれるかが大切だと思います」(表)

話題の新施設がオープン~経営人生の原点は「駅弁」?


2025年9月、高輪ゲートウェイ駅のそばにオープンした最新施設「ニュウマン高輪」。177店舗が入ったルミネの中でも最大規模の施設だ。

目玉の一つが3300平方メートルの広さを持つ大型書店、「ブンキツ トーキョー」。カフェラウンジでは1時間1100円(フリードリンク付き・料金の上限あり)で店内の本をゆったりと楽しめる。無料のエリアには子どもと本を読んだり、遊んだりできるコーナーがある。これが表の目指す商業施設だ。

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「モノを買うだけであればECで手に入ります。リアル(店舗)でこそ伝えられる喜びをどんどんつくっていきたい」(表)

客の満足を求め続ける表。そんな経営者はJRの歴史の中で生まれた。

「ルミネ新宿」の開業は1976年。当時の国鉄の駅ビルは男性サラリーマンの客が多かったが、そこに女性向けのファッションビルとして新設された。

1987年、国鉄が分割・民営化されJRが発足。そんな大転換の翌年、表はJR東日本に1期生として入社した。早稲田の大学院を出て就職先にJRを選んだのだが、やりたいのは鉄道事業ではなかったと言う。

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「これからは鉄道事業だけでは成長できない。むしろ鉄道の周辺事業、生活サービス事業を伸ばしていきたい。それをやりたいと入社した。ものすごいポテンシャルがあると感じました」(表)

入社後はホテルや住宅など生活サービスを手掛ける部署に配属され、業績を上げた。順風満帆のサラリーマン人生だったが、36歳の時に驚きの辞令が下る。

「いきなり『2週間後に社長をやってもらうから』と辞令が出て、『すぐ記者発表をするので準備してほしい』と言われました」(表)

社長を命じられたのは駅弁を作っていたグループ会社「日本レストラン調理センター」。JR東日本の中でも最年少での社長抜てきだった。だがその会社は赤字寸前。当時、コンビニ弁当が普及し、駅弁は押されていた。

そこで表が提案したのは「お買い得だ値駅弁」(480円・現在は販売していません)。コンビニ弁当と同じように透明なふたで中身が分かるようにし、安くておかずがいっぱいだとアピールした。

表は自信満々だったが、これが全く売れなかった。

納得がいかない表は売り場に行き、客に直接聞いてみることに。すると客からは「入っているおかずが丸見え。電車の中でふたを開ける瞬間まで楽しみにしておきたい」と、思ってもみない答えが返ってきた。

「私自身、お客様が旅に行くときの駅弁に何を期待しているか、全然思いをはせていなかった。コンビニ弁当のおいしさ、安さだけを求めているだけではない。旅の楽しみでもあるのですから」(表)

客が駅弁に求めるものは何か。表は考え続け、商品ラインアップを一から見直す。そして作ったのが東京駅限定販売の「東京弁当」だ。

ふたを開ける楽しさを倍増させようとひもを付け、おかずも徹底的にこだわった。日本橋の名店「魚久」の看板商品、「ぎんだら京粕漬」に、「浅草今半」のご飯がすすむ名物の「牛肉たけのこ」。東京の有名店の「これは」というおかずを一つの駅弁に詰め込んだのだ。

「老舗店の社長のところに飛び込みで行って、『何とか食材を使わせてほしい』とお願いして出来上がったんです」(表)

2002年に発売すると、1600円という高めの値段にもかかわらず、多くの客が手に取ってくれた。発売から20年以上たった今も「東京弁当」(2050円)は愛されるロングセラーとなった。

「東京弁当」の成功後も表は駅弁を次々とヒットさせ、5年後の2004年度には「日本レストラン調理センター」の売り上げを約50%もアップさせた。

この功績を買われた表はその後、「グランスタ東京(2007年)」の開発や「ルミネ有楽町(2011年)」の立ち上げなど要職を歴任。2023年にはルミネの社長に抜てきされた。

駅ナカにマルシェ?~「未来の駅ビル」も建設中


新宿駅の構内の売り場で売られていたのは香川・「フジカワ果樹園」の温州みかん。山梨・「甲斐の里グループ でいたらぼファーム」のシャインマスカット、巨峰もある。

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これは全国の生産者に出店してもらっている「ルミネアグリマルシェ」。ルミネが毎月4日間、開催している。

一方、ルミネ最大規模の「ニュウマン高輪」には新たな施設が建設中。2026年3月開業予定の「ニュウマン高輪 ミムレ」だ。

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現在はまだ工事中の現場にいち早くカメラが入った。飲食フロアには京都の老舗珈琲店が手掛ける全ての調理工程を見せるベーカリーなど約20店舗を誘致。ルミネならではの厳選した店を集める。

「今回は出店者様と構想段階からやりとりして施設を組み上げていきました。価値をみんなと一緒につくっていく」(ニューマン高輪店・加藤真子)

未来の駅ビルがもうすぐ産声を上げる。

※価格は放送時の金額です。

~村上龍の編集後記~
表さんの履歴は独特。早稲田の大学院理工学研究科を修了し、1988年、東日本旅客鉄道に入社した。2000年、日本レストラン調理センター社長にグループ最年少で就任する。2022年、常務執行役員マーケティング本部副本部長となり、100年先の心豊かな未来へとつながる「品川開発プロジェクト」などを推進。常に、客に「生きる歓び」を伝えていくこと、それしか頭になかった。スタジオでどんな質問をしても、最後には「客」という言葉が返ってきた。「客の思いの先を読み、期待の先を充たす」という理念だ。

<出演者略歴>
表輝幸(おもて・てるゆき)1963年、石川県生まれ。1988年、早稲田大学大学院理工学研究科修了、JR東日本入社。1989年、帝国ホテルへ出向。2000年、日本レストラン調理センター社長就任。2023年、ルミネ社長就任。

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