「西友買収」で売上高1兆円超え【299円かつ重】を生み出した「トライアル」の全貌:ガイアの夜明け


ガイア
12月26日(金)に放送した「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「激安スーパーの大勝負!~トライアルの西友改革~」。

【動画】「西友買収」で売上高1兆円超え《299円かつ重》を生み出した「トライアル」の全貌

2025年7月、九州を中心に334店舗を展開するディスカウント店「トライアルHD」が、首都圏の駅前を中心に245店舗を展開するスーパー大手の「西友」を買収した。
買収額は約3800億円。自社の時価総額にも匹敵する大型M&Aで勝負に出たトライアルは、合算の売上高が1兆2000億円を超え、食品小売業界では「セブン&アイHD」、「イオン」などに次ぐ巨大チェーンとなった。

今回の買収を機に、本格的な東京進出を果たしたトライアルは、すぐさま「西友改革」に着手。さらに、スーパーだけでなくコンビニ型店舗の「トライアルGO」も東京に初出店させることに。
これまでITを駆使した売り場づくりやマーケティングでコストダウンを図り、「流通情報革命」を宣言しているトライアルの戦略は、物価高に悩む消費者の心をつかめるのか。小売業界の大改革を、ガイアは「西友買収」の直前から独占取材で追いかけた。

トライアルの「西友改革」、老舗スーパーの復活なるか


ガイア
11月28日、スーパー業界を変える新たな店「トライアル西友 花小金井店」(東京・小平市)が誕生した。
価格の高騰が続くタコが100グラム213円(※取材当時 以下同)と破格の安さ。店内調理にこだわった弁当や惣菜も店の売りで、299円の「ロースかつ重」は、作ってもすぐに売り切れ状態に。

プライベートブランドも激安商品が並び、物価高に逆行する牛肉のセールでは、上質な国産和牛のステーキ肉が100グラム398円。普段買うかどうか悩むような贅沢品が次々と売れていく。
この店は、2つのスーパーが融合して生まれた第1号店で、生み出の親は九州の若き風雲児「トライアルHD」永田洋幸社長(43)だ。

ガイア
7月、九州発のスーパー新興勢力「トライアルHD」が、名門老舗スーパー「西友」を約3800億円で買収、スーパー業界の大再編に打って出た。
「流通情報革命をトライアルと西友、一緒になって進めていく」(永田社長)。

ガイア
1956年、「西武百貨店」から独立して生まれた西友は、総合スーパーとして、都市部の駅前を中心に次々と出店。「ファミリーマート」や「無印良品」を生み出すなど、日本の小売業界を牽引する存在になったが、1990年代後半から業績が悪化。
2005年にはアメリカの「ウォルマート」の子会社となり、「安売り路線」に大きく舵を切る。それでもV字回復には至らず、さらなる身売りを余儀なくされた。

ガイア
一方のトライアルは、1992年に初出店。以来、九州を中心に郊外型のディスカウントストアを次々と出店し、今では334店舗を展開している。

ガイア
急成長の理由は安さを生み出すさまざまな仕掛けで、その一つが「レジカート」だ。欲しい商品のバーコードをカートについた端末でスキャンすれば、レジに並んで会計する必要はない。
トライアルのアプリやカードがあれば、簡単なチェックだけで会計が終了するため、人件費も抑えられる。
さらにレジカートの端末には、その日のオススメ商品やおトク情報がクーポンとして表示され、「ついで買い」のきっかけをつくる販促ツールにもなっていた。

元々IT企業だったトライアルは、レジカート以外にもさまざまなシステムを独自に開発。色を認識するAIで商品の減り具合を分析。欠品や廃棄を減らし、コストダウンにつなげている他、商品の棚割りにもAIを活用。どの商品をどこに、どれくらい並べれば売れるのか、最適な陳列方法を割り出す。

ITを活用し、スーパー業界の常識を変えてきた永田社長。
「流通業は、まだ無駄・ムラが多い。私たちが頑張れば頑張るほど、お客様に豊さをもっと提供できる」。

東京に誕生!「トライアル西友」の逆襲


ガイア

6月30日、トライアルが西友を買収する前日。永田社長が会議室に、西友改革のキーマンとなる出口直樹さんを呼び出した。既存の西友の店舗をトライアル流に変え、東京へと進出する大勝負の責任者だ。

「西友とトライアルが一緒になった統合店舗をつくる。店舗の選定は7月中に完了させるつもり」(出口さん)。

7月31日、出口さんは、統合1号店となる「西友 花小金井店」へ。出口さんが「ここで勝負する」と決めた理由は、店長・鳥谷部和世さんの存在だった。


花小金井店は、出口さんが今まで視察した店の中でも品ぞろえが良く、刺身など、他の店が展開していないものも。
「厨房責任者が『マグロを買うなら西友 花小金井店で』という目標を立ててくれているので、マグロを積極的に売り出している」(鳥谷部さん)。
出口さんは、鳥谷部さんの売り場づくりに感銘を受けていた。

西友一筋32年の鳥谷部さんは、「元々商品を売る、商売をすることが好きで32年間続けているので、トライアルでも西友でも変わらない。お客さんが感動してもらえる現場に立ち会えるのは楽しみ」と話す。

しかし、そんな鳥谷部さんを悩ませるのが、2階にある生活用品売り場だ。
鳥谷部さんによると、西友は2階フロアの品ぞろえを縮小している傾向があり、衣料品や生活雑貨の売り上げが低迷、足枷になっていた。
花小金井店では、お客さんの1割弱しか2階に上がらないという。

西友の生活用品は、低価格で品ぞろえも豊富。うまくお客さんを呼び込むことができれば、逆に大きな伸び代となる。
「なんでも置いているけど特徴がないよりは、振り切ってそのカテゴリーに特に強い店になった方が、より面白くなる」(出口さん)。

ガイア
9月上旬。出口さんは鳥谷部さんを、大型店舗「トライアル 福岡空港店」に案内した。トライアルの売り場づくりを伝えるためだ。
特に見せたかったのが酒コーナー。あえて食料品とは別のフロアに売り場をつくり、圧倒的な品ぞろえと陳列で客を惹きつける。
「酒の強化が、2階にお客さんに上がってもらう一番のフックになる」(出口さん)。
「西友 花小金井店」で課題だった2階…。そこに、売り上げが大きい酒コーナーを移すことで、生活用品の「ついで買い」を促そうという、常識破りの戦略だ。「いろいろチャレンジしてみる。ダメだったら変える」(出口さん)。

ガイア
一方の花小金井店では、九州からトライアルの社員が応援に駆けつけ、急ピッチで準備が進んでいた。トライアルと西友の今後の試金石となる1号店…失敗は許されない。
店には、あの便利なレジカートが100台以上も運び込まれ、マグロ売り場では、買い物を楽しくする演出も。さらに、今までの西友にはなかった“とっておきの場所”がつくられていた――。

西友買収 もう一つの狙い


トライアルは、東京でもう一つの挑戦を始めていた。そこには、西友を買収した大きな狙いが。

ガイア
東京・渋谷区 笹塚。トライアル東京進出のもう一人のキーマン、廣石 財さんは、この夏、都内のあちこちで人の流れを観察していた。

ガイア
廣石さんが笹塚にある小さな空き物件の前でパソコンを広げて見ていたのは、この地域の商圏データ。これはトライアルが独自に開発したシステム。地図上で範囲を指定するだけで、地域の人口や世帯数はもちろん、世帯あたりの人数や収入まで細かく見ることができる。
廣石さんは、こうしたデータを駆使して店舗を開発するスペシャリストで、2022年から福岡などで展開している小型店「トライアルGO」の東京1号店を出店する場所を探していた。

ガイア
コンビニサイズの「トライアルGO」。店内で目立つのが弁当や惣菜コーナーで、コンビニでは珍しい本格的な握り寿司も並ぶ。
廣石さんは「トライアルGO」出店の陣頭指揮を執り、福岡を中心に急拡大させてきた人物で、コンビニ激戦区・東京に「トライアルGO」を初出店させようと計画していた。

10月30日、「トライアルGO」東京1号店が杉並区 西荻窪に出店することが決まり、準備が進む。去年まで別のコンビニチェーンが入っていた物件だが、廣石さんは倉庫や調理スペースをなくした。
「店内調理は一切しない。西友の中につくったセントラルキッチンから持ってくる」。
「西友」の周りに「トライアルGO」を集中的に出店し、「西友」で作った出来立ての弁当や惣菜を仕入れて売るという。これが、トライアルが西友を買収したもう一つの理由だ。

ガイア
トライアル本社(福岡市)でも、東京進出に向けた戦いが始まっていた。
食品開発の大塚長務さんは、あの300円を切る「ロースかつ重」を生み出し、1300万食を売り上げたヒットメーカー。
今回大塚さんが力を入れているのが、「トライアルGO」向けのスイーツだ。ロールケーキの中にプリンが丸ごと入った大胆な新商品もあり、大塚さんはスイーツのコンセプトについて「手作り感満載」と話す。

そして迎えた11月7日、「トライアルGO」東京1号店オープンの朝。
早速、西友のキッチンで作られた弁当が運ばれる。看板商品の「ロースかつ重」は、入ってすぐの目立つ場所に。大塚さんが手がけたスイーツも並んだ。
報道陣が注目する中、迎えた東京上陸の瞬間…果たして客の反応は――。

この放送が見たい方は「テレ東BIZ」へ!
※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
x
x