「悪いのは私じゃない」【モンスター他責】が急増!振り回されないための防御策

「なぜ、あの人は言い訳ばかりなのか」「自分が悪いのに、どうして社会や人のせいにするのか……」 。
職場の上司、部下や同僚、SNS上の見知らぬ誰か、私たちの周りには、驚くほど「何でも周りのせいにする人」があふれている。
なぜ今、「他責思考」の人が増えているのか。
「テレ東プラス」は、「何でもまわりのせいにする人たち」(フォレスト出版)を出版した心理カウンセラーの小日向るり子先生を取材。他責思考のある人が生まれやすい現代特有の背景から厄介な相手への対処法、他責に陥らないための心の整え方まで話を聞いた。
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現代は「保身の時代」他責思考が増える背景とは?
――先生のご著書によると、「自分に起きた不都合をまわりのせいにする人たち」が増えているそうですが、なぜ今、こうした現象が起きているのでしょう。
「今の時代を象徴するキーワードは“保身”だと思います。著書でも詳しく触れていますが、他責思考の人が増えている背景には、以下のような要因があると考えています。
1. 保身の時代:失敗が許されない空気感
2. 行きすぎた「あなたらしさ」:個性の尊重が、わがままの正当化にすり替わっている
3. ネットの台頭:匿名で誰かを攻撃できる環境、自分の考えが「正義」として確立されることが可能に
4. 高齢化社会:頑固さの増幅
5. 論破への賞賛:相手を論破する様を「カッコいい!」と賞賛する雰囲気
6. 貧富の差の拡大:相対的な剥奪感。SNSによる比較文化、他人の「幸せそうに見える姿」への嫉妬
(※「何でもまわりのせいにする人たち」より抜粋)
――他責思考が強い人にはどのような特徴があるのでしょう。本の中では「宇宙人」という例えもありました。
「自身の生きづらさを“私は宇宙人だから地球に馴染めない”と解釈する人のお話ですね。これは極端な例ではありますが、その本質は“自分以外の何かのせいにすることで、自分を肯定している”というところに行き着きます。
主な特徴としては、以下が挙げられます。
1. 謝ることができない:謝罪=負け、または自分の存在否定だと思い込んでいる
2. 自分より弱い者に攻撃的:立場が下の人、または「反撃してこない」と踏んだ相手をターゲットにする
3. 「正義」をふりかざす:自分の不満を社会正義にすり替えて他者を攻撃する
4. 変化を嫌う:現状を維持し、傷つく可能性が少ない方を選ぶ。
一方で、周りが変化して進んでいくことを見ているしかできないという状態が不安や焦りなどのストレスを生むことに。そのやり場のない感情が自傷や他害に向かう
5. 身元を明かすことを嫌う:過剰な自己保護の心理
6.スピリチュアルに傾倒する:運勢や先祖、神様など、人生が上手くいかない要因を不可抗力のせいにする
(※「何でもまわりのせいにする人たち」より抜粋)
――周囲も振り回されてしまいそうですが、何かいい対処法はありますか?
「まず“その人は、あなたの人生にとって命をかけて付き合うべき人かどうか”ということを見極めてください。人生にとってそこまで必要な人ではなくむしろ自分を消耗させるだけの人であれば、離れていいと思います。
一方で、家族や大切なパートナー、あるいはどうしても付き合わなければならない人の場合、一つの策としておすすめしているのが“負けるが勝ち”という心持ちです。
謝罪を一つの“テクニック”として使うのです。相手の非を認めさせるのではなく、謝罪をすることで相手に対する受容を表現する。
他責思考の人は、実は“誰にも受け入れてもらえない”という深い孤独を抱えていることが多いです。私は犯罪者の成育歴を追った書籍を読むことが多いのですが、他責思考が肥大化することで悲惨な事件を起こす人たちの生い立ちを知ると、その背景にある深い孤独が見えてくることがあります。もちろん罪は許されませんが…。
他責思考がある人たちの背景を深く理解することで、こちらの心に余裕が生まれます。“ああ、この人はこうせざるを得ない背景があるんだ”と一度受け入れる。そして時には『こちらの配慮も足りませんでした』と、テクニックとして先に謝ってしまう。すると相手は“受け入れられた”と感じ、攻撃的な心が少しずつ柔らかくなっていくことがあります」
――他責思考の人に生じるデメリットは?
「そもそも“自分では気づきにくい”ものなので、そこが難点でもありますが、具体的には、孤立する、自己成長が鈍化する、怒りの感情に支配される、思考能力の低下などが挙げられます。自分の他責グセに気づくことができたら、半分は修正できたと言っても過言ではありません。まずは気づくことが大切です」
――最後に、自分自身が「他責」に陥らないために、日々心がけることがあれば教えてください。
「生活に余裕がないとイライラしがちで、深い思考もできなくなります。それゆえ自分に不都合なことが生じると要因を深く考えず、短絡的に“なぜ私ばっかり? 〇〇が悪いのに”と他責という自己保身に振れてしまいがちです。
そこで、月に一度でもいいので内省(リフレッシュと自己点検)の時間をつくってほしいです」
1. 書き出す(アウトプット): スマホではなく、手を動かして紙に書く
2. 「あるもの」と「ないもの」を5個ずつ書く: 今の自分に「あるもの(恵まれている点)」と「ないもの(不足している点)」を書き出し、客観的に自分を眺めてみる
3. 脳と体のバランスを整える: 考えるための左脳ばかり使わず、五感を楽しむ右脳の時間を意識的に持つ
「マインドフルネスや軽いリズム運動を就業時間の合間に取り入れている企業もありますが、これは“自分を点検する時間”や“左右の脳バランスを整えること”が業務能率アップにつながる行為だと考えているからだと思います」
――自分のことを客観的に見るのは難しいからこそ、こうした点検が大切なのですね。
「その通りです。この本が、自分自身の生き方を振り返るとともに、周りの人間関係を見つめ直す一助になればうれしいです。自分にとって本当に大切な人は誰か、そして自分はどうありたいのか…それを見極めることで、他責の人に振り回されない自分の軸が育っていくはずです」
▲「何でもまわりのせいにする人たち」(フォレスト出版)【小日向るり子 プロフィール】

(社)日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。JAAアロマコーディネーター。
1971年静岡県出身。同志社女子大学短期大学部英米語学科卒業後、増進会出版社(現:Z会ホールディングス)に入社。勤務しつつ活動していた社団法人での自殺予防電話ボランティア相談員としての4年間の活動がカウンセラーを志すきっかけとなる。
退社後、(社)日本産業カウンセラー協会産業カウンセラー資格を取得。2010年より労働局にてセクシャルハラスメント相談員として勤務し、2011年3月任期満了にて終了。
2012年「フィールマインド」を設立。対面・電話・メールでカウンセリングを行なう傍ら心理・恋愛関連の執筆活動も行なう。相談受付件数6500件超(2025年4月現在)。著書に「何でもまわりのせいにする人たち」(フォレスト出版)がある。
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